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【全集】池澤夏樹の個人編集「日本文学全集」はセレクトが超大胆!

全く自由に、自分の感覚で、
日本文学全集を編んでいいよ、
ってオファーが来たらどうですか。
きっとプレッシャーになるし、
びびりますよね?
でも、妄想するなら自由ですね。
今日はちょっと僭越ながら
個人編纂の文学全集を考えて
みたいと思います。

あ、そもそも、これは
作家・池澤夏樹が河出書房の依頼で
編み上げた日本文学全集が
それまでの文学全集の
イメージを打ち破る大胆な
ラインナップで面白かったから
自分も妄想でやってみようかと。

池澤夏樹編纂のラインナップは
以下のようになってます。

(1)古事記
(2)万葉集、百人一首、
(3)竹取物語、伊勢物語、土佐日記、
(4)源氏物語…上巻
(5)源氏物語…中巻
(6)源氏物語…下巻
(7)枕草子、徒然草、方丈記
(8)今昔物語、日本霊異記
(9)平家物語
(10)曽根崎心中、忠臣蔵
(11)好色一代男、雨月物語
(12)松尾芭蕉、小林一茶、与謝蕪村
(13)樋口一葉、夏目漱石、森鴎外
(14)南方熊楠、柳田国男、折口信夫
(15)谷崎潤一郎
(16)宮沢賢治、中島敦
(17)堀辰雄、福永武彦、中村真一郎
(18)大岡昇平
(19)石川淳、丸谷才一、辻邦生
(20)吉田健一
(21)開高健、日野啓三
(22)大江健三郎
(23)中上健次
(24)石牟礼道子
(25)須賀敦子
(26)~(28)近現代作家集
(29)近現代詩歌
(30)日本語のために

まずビックリするのは
夏目漱石と森鴎外は樋口一葉と
まとめて1冊にしてある。
普通は、漱石で1冊、鴎外で1冊、
みたいに始まるところを、
池澤夏樹の扱いでは
もうそれは古い発想なのでしょう。

宮沢賢治と中島敦がセットに
なっているのも面白いですね。
どちらも日本文学っぽくない
非日本的な作品が多い意味では
よく似ているから。

谷崎は入っている。
あ、でも、谷崎とよく一緒にされる
川端康成や三島由紀夫は入っていない。

いやいや、よく見たら、
島崎藤村や志賀直哉も、
武者小路実篤も入ってない。
新しい日本文学全集を編むなら
いっそこれくらい画期的な
ラインナップにすべきですよね。

川端康成や三島由紀夫は
たしかにその作品が孕むテーマは
もう古びている。

谷崎だけは、たしかに
フェチズムやマゾヒズムなど、
現代性があるといえばありそう。

島崎藤村や志賀直哉は
確かに文学オタクでない限り、
その孕んでいたテーマはもう
現代に通じていない。

それにしても、池澤夏樹は
スパスパと自由に大胆に
切り捨てていますねえ。

他にも、芥川龍之介や泉鏡花や
幸田露伴も国木田独歩も入っていない。

一方で、中上健次は一人でまる一冊。
評価がすごく高いなあ。
日野啓三や丸谷才一が入ってるのも
現代文学集としては嬉しい。
驚くのは、石牟礼道子さん。
それから須賀敦子さんが、
まるまる1人一冊で入ってるところ。
池澤夏樹はこの二人が大好き
ですからねえ。

ところで、私なら古典はなくして、
(13)の樋口一葉から始めるかなあ。
それで、追加として、
太宰治と村上春樹は1人一冊。
あ、安部公房も1人一冊。
それから、向田邦子と幸田文で一冊。
小川洋子と川上弘美で一冊。
高橋源一郎と忌野清志郎で一冊。
星新一と筒井康隆で一冊。
川上未映子と柳美里で一冊。
小島信夫、遠藤周作、後藤明生で一冊。
宮部みゆきと北村薫で一冊。
伊坂幸太郎と中村文則で一冊。

ゴチャゴチャ増えましたねえ。
それに、大事な人で、
入れ忘れてる人もいっぱいいそう。
でも、考えるのは楽しいですね?
今度は、エッセイで
日本随筆全集みたいなの、
考えてみようかしら?(笑)

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