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出版社に行く気はなかったのに、就活の面接でシャドーピッチングしたら受かってしまった話

★最近、昔のことを思いだすことが増えました。たぶん齢です。
楽しいことも辛いこともありましたが、思い出日記として記事に書いてみようと思い立ちました。
過去を振り返ることで、失ってしまった大切ななにかを取り戻せたりするかもしれない。しないかもしれない。そうです。人生に迷っています。
そんなわけで、過去の思い出日記を始めることにしました。いわば鍵付きの日記のようなものなので、珍しく有料記事にしてみました。たくさんの人に読んでもらいたくて書くわけじゃないけど、もし興味ある人がいればその人がそっと読んでくれればいいや……くらいの気持ちです。
なので「鍵をかける」という意味で有料設定にしています。ご理解いただけると幸いです。金額設定はコンビニのコーヒー価格です。
いつか無料公開にするかもしれないし、記事を消しちゃうかもしれません。続くのかどうかも不明です。
なお、主観に基づく思い出日記なので、とくに中身はありません。全体的に温かい目で見守っていただけると幸いです。


出版社に勤めて、15年近く経ちます。
怠惰で意識の低い人間なので、転職することもなくぬぼーっと今の会社にいます。営業・編集・デジタルマーケとかいろいろやってきました。
そんな長いこと出版にどっぷり浸かっている僕。
嘘だと思われるかもしれませんが、出版業界に行くつもりはありませんでした。

※※※

もうずいぶん前のこと。大学3年生になった僕は慢心していました。
もうすぐ就活が始まるけど、先輩の話を聞いてると売り手市場らしい。まあ、どっかの会社に潜り込めるだろう。さて、そろそろ就活も始まるから企業研究でも……とか思っていた矢先の9月。
リーマンショックが起きたのでした。

いや、聞いてない。
こんなに就活がキツくなるとか、マジで聞いてないわ。

話ぜんぜん違うやん……と焦りながら就活をはじめた僕は、おもに文具メーカーを中心に応募していました。希望企業に出版社はいっさいナシ。
そう、就活していたとき、出版社に行く気は一ミリもなかったのです。
理由は簡単。好きなことを仕事にしては不幸になると思ったから。

小さいころから本が大好きでした。それくらいしか好きになれたものがなかっただけかもしれません。
大学の選考は文学部文芸学科。ゴリゴリの文系で、同級生が目指すのは出版社か新聞社。
そんな中で。僕は出版社を目指さないという選択をしました。
好きを仕事にしてしまうと、たぶん純粋に本を楽しめなくなる。それは嫌だったんです。でも少しは本に関わりたい。
だから本にまつわるもの――物語を紡ぐための「文具」に目を付けて、文房具メーカーを目指そうと思っていました。
いや、嘘です。一社だけ目指したい出版社がありました。
僕は大のSF好きなので、某SF系出版社に対する憧れを持っていました。なので、そこだけは選考に参加したかったのですが、卒論担当の教授と話していた時に「○○に行きたいんですよね~」と言うと、「○○はね。新卒取ってないんだよ」と言われ、ああそうなのかと諦めていたら、普通に新卒採用をしていたことを募集終了後に知り、マジかああ!と嘆いた思い出があります(完全に僕が悪い)

というわけで、いたって普通にメーカー中心の就活を続けていました。インターンに行くこともなく、意識の低い就活生の一人としてぬるぬる活動をしていたのでした。

そんな怠け者の僕でも採用したいと言ってくれる企業が現れ、内定をもらうことができました。
もちろん出版とは無縁の会社。完全にそこに行く気でいたときに、たまたま見つけたのです。ポプラ社の新卒採用を。

子どもの時から、ポプラ社の本で育ちました。
かいけつゾロリにズッコケ三人組。おばけのアッチに少年探偵団、地獄堂霊界通信やルパン。小学校の青春はポプラ社と共にありました。
だから思っちゃったんです。
めっちゃ会社見てみたいなーって。

内定もあるからダメもとでいいし。
面接まで行けて会社見れればいいやーくらいで。
不純な気持ちモリモリで書類を送ったら、まさかの書類通過。
マジかー!と喜びながら向かった一次面接。

すてきな社屋にトキメキながらグループ面接の会場に向かいました。
何人ものライバルと共に会議室で座って面接官を待っていたところ、ダンディな年配の人がすたすたと会議室に入ってきました。
これは偉い感じの人だな……と思っていたら、「君たち、社長が来たんだから、こういう時は立つものだよ」とその人に叱られ、目を白黒させながら全員起立し、よろしくお願いします!と叫んだのでした。

そう、グループでの一次面接で現れたのは、当時の社長だったのです。
あの当時も驚いたものですが、今でも自信を持って言えます。
だってさ! 新卒の一次面接に社長が来るなんて思わないじゃんよ!!!

先制パンチを受けて着席したのち、いよいよ面接がスタートしましたが、社長が僕の顔を見て急に言いました。
「君、誰かに似てるな…」

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