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『寄付してよかった』から『寄付者であり続けよう』へ

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

寄付を継続して行う方法として、例えば毎月支払いを行う月額寄付(いわゆる「マンスリーサポーター」)などがあります。こうした継続寄付には、日本の寄付者の意識が変わる可能性があるのではないかと考えています。

1.継続寄付の成り立ち

日本の非営利組織では、以前から「正会員」「賛助会員」という会員制度を設け、年1回の会費を頂く方法がありました。この制度の特徴は、課題に共感した"仲間"感を創出できることでした。一方で、税制上では「寄付」扱いではないため、寄付者は税額控除という金銭的な利点を受けられませんでした。加えて、時代としての非営利組織への世間の視線などもあり、会員になることへのハードルは高いようでした。

そうした中で、10年ほど前からファンドレイジングの手法が国内でも浸透し始め、世間の寄付に対する意識も徐々に変化し、さらにクレジット決済などのテクノロジーの進歩も相まって、継続寄付の仕組みを設ける組織が増えてきました。

しかしながら、寄付者に継続して関わってもらうための方法や考え方は、まだまだ発展途上であるように思えます。

2.継続寄付のポイント~「寄付してよかった」から「寄付し続けよう」へ

それは例えば、寄付獲得に向けて組織として一所懸命に動き、寄付してもらったらすぐに心から感謝を伝えることが重要視されてきました。一方で、組織としての労力や、また寄付者としての気持ちのピークは、この寄付時点になることが多くあるように感じます。その後は、メルマガに登録して、年数回の会報を送る(手厚くしたくでも人的リソースの問題もあるとは思いますが…)。寄付者の気持ちが下がってきたと思われる数か月後に、寄付の依頼をまた一所懸命に行う、とう流れが多いように感じます。
これは決して悪いわけではなく、一つの方法と言えます。寄付者からすると、その都度で「寄付してよかった」と感じられるでしょう。

ただ、継続寄付においては、この方法では限界があるように感じています。それは、団体と寄付者との関係は、先の方法では主に"点"で繋がっていることに対して、継続寄付においては"線"で繋がることが求められるからです。
継続寄付は、寄付して終わり、ではなく、寄付して始まります。いかに、寄付者の気持ちを下げずに、関心を持ち続けてもらえるか、といった"線"、言い換えると時間軸を持ったコミュニケーションが必要になってきます。

このように、継続寄付は、寄付者からすると「寄付してよかった」から「寄付し続けよう」へと気持ちが変わることがポイントではないでしょうか。

3.寄付者の変化に繋がる関係づくり

実は、さらにこの発展系があるのではないかとも考えています。それは、組織と寄付者との繋がりが強くなることで、寄付者の社会課題に対する意識が、一層深化する可能性があるのではなかということです。
興味があって寄付していたなかで、寄付先とのコミュニケーションを通じて、社会が抱える課題を深く知り、その課題解決への意識が一層高まる(組織が扱っている課題だけに限らず、そこから拡がっていくこともあり得る)。その結果、寄付者の日常的な行動や考え方にちょっとした変化が生まれるかもしれません。
一つの理想的な形としては、社会を構成する一個人としての自覚が芽生え、自分として何ができるのかを考えたなかで、寄付という行為をより一層納得して、「寄付者であり続けよう」と思える。こんなことが、できたら素敵な気がします。

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

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