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ファンドレイジング「単発寄付」の新しい捉え方

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

ファンドレイジングにおいて、寄付のリピートは大切な意味を持ちます。例えば、始めての寄付を得るためのコストはマイナスになりやすく、リピート寄付を得るコストはプラスになりやすい、と言われており、リピート寄付の増加は、財政上の安定に繋がります。

このリピート寄付を得るための手法として、「RFM分析」が有名です。

寄付としてRFMを捉えると
・Recency(最新寄付日)
・Frequency(寄付頻度)
・Monetary(寄付金額)
になります。

基本的な手法は、寄付者をRFMの観点でグループ分けして、コミュニケーションをとっていきます。

今回は、データという観点から、特にRecency(最新寄付日)とFrequency(寄付頻度)を見ていきます。

最新寄付日によってリピートの可能性が変わる!?

リピート寄付をしやすい人の最新寄付日には傾向が見られます。

【傾向】
リピート寄付者の最新寄付日が2年以内
(寄付して2年以内にもう1度寄付する)

この情報があることで、様々なアクションが変わってきます。例えば、ダイレクトメールなどの郵送の基準として捉えて、2年以上前の寄付者に送らないことでコストを削減できます。また、寄付の収益シミュレーションの精度も上げることができます。

寄付回数によってリピートの可能性が変わる!?

初めて寄付した人が、2回目のリピート寄付する確率と、(2回目の)リピート寄付した人が、3回目のリピート寄付する確率とが、大きく異なる傾向が見られます。

【傾向】
初回寄付→2回目寄付
この確率は20(~30)%

(2回目)リピート寄付→(3回目)リピート寄付
この確率は60(~70)%

この情報があることで、例えば、初回寄付者へのコミュニケーションにリソースを集中させる判断や、逆にリピート寄付者へリソースを集中させる判断などができます。

さらに、2回目以降のリピート確率は同じパーセンテージで推移する傾向もあります。パーセンテージから回数を計算すると、2回目寄付した人は、その後は平均4-5回は寄付し続ける、と言い換えられます。

つまり、初回寄付した人が2回目寄付という狭き門させ乗り越えられれば、あとはなだらかな道で寄付し続けるのです。

単発寄付はスポット(点)なのか!?

単発寄付は、文字通りの「単発」または「スポット(点)」と見なされています。マンスリーサポーターなどの継続(が保証された)寄付との対比としては、その表現通りです。

しかしながら、リピートを促すコミュニケーションで考えると、2年という時間軸のなかで、初回→2回目→3回目の寄付、という連綿とした流れがあります。ある意味では"継続"的な寄付とも言えます。そして、マンスリーサポーターで使われている「LTV(ライフタイムバリュー)」という考え方を適応させることもできます。20や60というパーセンテージは「LTV」を上下させる数字になります。

もし20%を30%に上げたら「LTV」はどれぐらい変わるでしょうか、60%が50%に下がったらどうでしょうか。団体の寄付単価を加味して計算してみると、単発寄付者の捉え方が違って見えてきます。そして何よりも、"流れ"で捉えることで彼らへのコミュニケーションを変える必要性に気が付くかと思います(私がそうでした)。

最後に

初回の寄付を得ることは本当に大変です。多大な労力がかかります。しかし、この時点ではコスト的には赤字になりがちです。しかし、2回目寄付という狭き門を開くことで、黒字の道が開けてもきます。そして、確率を上げることで「LTV」が増え、黒字の幅が高くなります(≒財務の強化ひいては支援活動の充実)

~営利・非営利のソーシャル事業の成長が、社会課題の解決を加速させ、より良い社会を築くと信じて執筆~

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