見出し画像

長野・山梨 5つの休眠預金活用事業

甲信地域5地域
八ヶ岳の北にある上田別所温泉
八ヶ岳の南にある富士見町
富士見町の西、南アルプスから発する釜無川が甲府盆地に入るところが韮崎
韮崎から太平洋に向かう途中南アルプス市、富士川と名前を変えるあたりが富士川町
山から川へ、という5ヶ所の事業が始まります。

スクリーンショット 2021-09-18 9.00.56

●長野県上田市別所温泉の事業
主体:地域活性化工房 杜の風舎
事業名:別所温泉 里山アグロフォレストリープロジェクト
長野県(上田市)
助成金合計:11,988,800 円
事業:国際的には SDGs や SATOYAMA イニシアチブなど、自然と調和した日本の里山の暮らしの価値が見直されている中、本事業では昨年のワークショップで明らかになった地域課題を踏まえ、上田市塩田の野倉地区上手地区に森の生態系にそったアグロフォレストリーを作り、そこを拠点に里山暮らしの知恵と技を伝承し、次世代が地域資源を活用して起業できるよう支援する、講座、ワークショップ、体験受け入れなどを行う。里山文化を伝える地域の名人も高齢化していることから、里山暮らしを記録し、映像を通じた伝達も行う。
また、この過程で、次世代の地域資源へのアクセスの障壁となっている所有者不明山林、空き家問題などの課題を抽出し、所有者と利用希望者を民間が丁寧に仲介する仕組み、新規参入者と古い住民との相互理解を深め、里山の荒廃を食い止める仕組みなど、若者と共に新たな里山ビジネスを作りながら他地域のモデルとなるような取り組みを模索していく。

審査委員会では、多様なプレーヤーが揃う団体で、地域との信頼関係もあり、地域課題をよく捉えており、推進への期待値がある。また、準備段階一年のリサーチ実績と地域の大学との関りも評価している。
全国的な課題である空き家対策と衰退する林業を結び付ける面白い試みである、という評価と、懸念点として、当事者となる住民や住民間の関係が見えにくく、事業化に向けた合意形成が重要。
任意団体であり、法人設立がこれからだが、ガバナンスやコンプライアンスを担保してほしい。
助成金の使途が外注や委託が多く見られるが、参加者を募って手がける方が社会関係資本の蓄積にもなるのではないか。
適切で効果的になるよう伴走支援を期待する。という、審査委員会の意見があった。

●長野県富士見町の事業
主体:特定非営利活動法人 こどもの未来をかんがえる会(幹事団体)+合同会社きざし 3団体コンソーシアム
事業名:富士見・八ヶ岳山麓地域の未来のまちづくり・ラボ実現プロジェクト
助成金合計:10,713,000 円
事業:長野県富士見町及び八ヶ岳山麓地域(山梨県北杜市、長野県諏訪地域等を含む)で地域の資源や宝を生かして、町民のニーズに対応し、町の課題解決につながる商品やサービスの創造を民間団体、事業者、行政、町民が一体となって取り組むリビングラボを実践する。
具体的には、地域の経済循環の実態を分析するワークショップの開催等を通じて地域の関係者がつながるプラットフォームと学びと行動を促すリビングラボを地域内に生み出し、地域経済循環の取組を促す契機とする。同時に、子ども・若者の学びと育ちを支援する多世代の居場所づくりを継続的に行い、高校生たちの参加も得て自立的な活動に発展させていく。
プラットフォームづくりを契機に、規格外の野菜などの未利用の野菜の地域内供給の仕組みを構築。これらの野菜等を活用して、上記の居場所に参加する子ども達や女性など多様な人たちの参加により、縄文文化を生かした新しい食のメニューを開発する。開発された食メニューをプラットフォームやリビングラボを通じ広く普及し、食の地域循環を促す仕組みづくりを通じて新たなソーシャルビジネスを生み出す基盤をつくる。

審査会では、これまでの活動実績に基づき、交流の場、活躍の場、創造の場づくりを通じてソーシャルビジネスを創出しようとする先駆的な取り組み。
また、複数の関係者を巻き込んでの推進体制とここまでの取り組み成果を評価。モデルとなるよう頑張ってほしい。富士見町を基点にしながら県境を越え、北杜市を含む八ケ岳地域をつなぐ事業。。
また、複数の関係者を巻き込んでの推進体制とここまでの取り組み成果を評価。モデルとなるよう頑張ってほしい。富士見町を基点にしながら県境を越え、北杜市を含む八ケ岳地域をつなぐ事業へ。という期待も込められた

●山梨県韮崎市の事業
主体:特定非営利活動法人 河原部社
事業名:SOCIAL FOOD DELI 「ニラサキサラニ」 
→改名 ニラサキサラニ 〜実践型若者プレイヤーズ育成プロジェクト〜
助成金合計:15,366,000 円
事業:申請時は韮崎駅に隣接しているテナントを活用し、「若者×食×地域」で韮崎入り口の風景を生み出す、SOCIALFOOD DELI「 ニラサキサラニ」(飲食事業)をゼロから立ち上げ、地域調査、事業構想、計画、資金調達、ハード面ソフト面整備を 1 年目に。飲食事業運営、さまざまなステークホルダーとの協働企画を 2 年目に。引継ぎ、事業自走化を 3 年目に行い、「若者の働く場」づくりを、実際に若者自身が実践することで、「地域の若者プレイヤーを育んでいく」3 ヶ年プロジェクト。
4 年目以降は自走させ、事業の運営を通して持続的に若者プレイヤーがここから生まれていく循環を目指す。
というプロジェクトでした。
事業開始前の事前評価で事業自体のタイトルも変更し、より若者自身が地域を変える、創る力を持っていくプロジェクトへシフトしています。(詳細は後日)

審査会では、若者の流出という問題に対して、働く場づくりを通じて地域の担い手を育成していこうとする意欲的な取り組み。若者の行動力に期待。
シェアリングエコノミーやコレクティブインパクトの発想もぜひ活用してほしい。
という期待の声が聞かれた。
また、事業終了後の自走を視野に入れた計画が練られているものの、アウトカム指標の設定及び測定方法を検討されたい、という声もあった。

この事業はしっかりとした事前評価で事業計画の変更もされている。その詳細は後日レポートしたい。

●山梨県南アルプス市の事業
主体:特定非営利活動法人 bond place
事業名:社会的処方を目指した生態系モデル構築事業
助成金合計:13,818,000 円
事業:社会的処方、リンクワーカーというアプローチで「地域課題の明確化」「地域資源の発掘」を通して、⼭梨で起きている社会課題を解決する持続可能な地域づくりを⽬指す。
実践を通じての学びの機会を⽣み出していくことによって、若者には現場での実践を通した教育を⾏い、多くの⼈を巻き込んでいくリーダーシップの発揮とフォロワー⼈材とのつながりづくりを狙う。
本事業を通じて地域資源がリンクワーカーによってつなぎ直されることによって、⼩さな活動にも意味と価値を与え、社会的孤⽴の解決へ⼀歩でも先に進めるためにアクションできる⼈材を増やしていく。

審査委員会では、社会的処方の重要性が評価された。
また、「リンクワーカー」の育成により、地域の新たなつながりづくりを目指している点も高評価だった。
また、組織的にも活動が長く行政事業受託など実績もある。
課題としては、目指すべきビジョンに対して、アウトカム指標及び事業内容に具体性を欠き、その実現に向けた道・目指すべきビジョンに対して、アウトカム指標及び事業内容に具体性を欠き、「社会的課題の解決を担う若者の能力開発支援」への実現に向けた道筋と具体的な効果が見えにくい。
現実の地域社会の中で小さくても良いので地域の課題が具体的に解決されることを指標にして欲しい。
助成金終了後の展開と持続性を求める。
など事業実施に向けての事業計画の練り直しを求められた。

南アルプス市の活動場所である古民家、またオンラインでスタッフと密度の高いミーティングを何回も重ね、ブラッシュアップした。具体的な道筋を描いた改訂版事業計画は追ってご紹介したい。

●山梨県富士川町の事業
主体:特定非営利活動法人スペースふう
事業名:リユースお弁当箱がつなぐ地域デザイン事業
助成金合計:15,604,000 円
事業:しんどさを抱えやすい家庭(0 歳児のいる家庭や中学 3 年生の子どもがいる家庭)へのニーズ調査及び配によるコミュニケーション。
リユース弁当容器の運営による仕事(洗浄や検品等)やお弁当づくり、配送作業等を働きにくい若者や小さな子どものいる母親等に働く場を提供する。
このしくみを実施する上で、関わる人たちの研修を受ける。

審査会では、リユース食器によるお弁当の宅配サービスを通じて、相談と働く場づくりを行う意欲的な取り組み。
事業計画内容も現実的で妥当。事業は若い世代が対象であり、この事業を通じて、組織の中心になる若手メンバーを育てて欲しい。そして県内や近隣間県のイベントでは全てリサイクル容器に置き換える位でさらに活躍してほしい。
女性や貧困対策で、具体的であり、期待が持てる。
と、これまでの団体活動の実績も評価された。
課題としては、アウトカム指標や事業の具体性や事業の継続性がどのように担保されるのか不明で、事業スキームや実施体制などの明確化が必要では。
また、事業の持続可能性を明確に。という意見がでた。

この団体は町会議員も含む地域へのしっかりとした視点を持つメンバーで構成されている。その分、事業におけるアウトカムへの期待、フォーカスが欲張りになり、事前評価の段階で一直線なヒアリングで課題感が溢れてきた。そこの整理からしっかり行ったことで、目指すアウトカムが明確になり、スタートが楽しみである。

これら5のつ事業。どんな若者たちが、あんな大人たちが、素敵な若者たちへ、地域づくりを自ら、そして一緒に行動する。始まったばかりだ。