見出し画像

精神覚醒ノ肥後虎 ACT.14 「生徒会からの挑戦状」

あらすじ


 ひさ子が不二岡にさらわれたと聞いて、虎美は登校前にも関わらず豊後街道へ立ち寄る。
 彼女を救出するために不二岡とバトルになり、精神毒状態になりながらも勝利を手にした。
 学校には遅刻寸前になりながらも、無事登校できた。

 全ての学校の日課を終えて放課後。
 うちらは自動車部の部室におった。
 コンビニで買ってきた沢山のおやつを平らげようとしとる。

 クレープを食べながら部長からの言葉を発する
 
「むしゃむしゃ。えぇ……今日の部活の内容は……」

 そアナウンスが聞こえた。

「3年の加藤虎美さん、生徒会室へ来てください」

「何か呼ばれているわよ。むしゃ……むしゃ」

「むしゃ……むしゃ…虎ちゃん、行かんとあかんたい」

 おやつを食べるのを中断して、部室を出る。
 黒い脚で走りながら、口に残ったクレープば胃袋のなかに入れる。

 生徒会室へ来ると、緊張が止まらんかった。
 うち、悪いことしたんだろうか?

 生徒会室には、会長の女子生徒、副会長の女子生徒、書記の女子生徒がいた。

 会長の女子生徒は、大和撫子を思わせる黒髪を1本に纏め、凛々しい顔つきに、制服であるセーラー服の上にクリムゾンのカーディガン、右腕には「生徒会長」と描かれたオレンジのタスキ、うち同様脚は黒のタイツを履いている。

 副会長らしき女子生徒は、黄色いヘアバンドに紫のロングヘアーをツーサイドアップに纏め、可愛らしい童顔の顔つきに、足は太ももまで覆った白いニーハイソックスば履いている。

 書記の女子生徒は、金髪の長い髪をおさげに纏め、顔は赤縁のメガネを掛け、セーラー服の下には白いハイソックスを履いている。

「菊池生徒会長。なーして、うちを呼んだとですか!?」

 生徒会長こと、菊池鯛乃が口を開く。

「加藤、部活ば作るのは悪かと思わん。ばってん、まだ申請しとらん」

 さらに、菊池生徒会長は昨日のことを知っていた。

「あんた、箱石峠にてレースで部長を決めたんやろ? さらには今後開催予定のスプリントレースに参加するのも聞いとる」

 その話を聞くと、うちの身体は震え出す……。

「は、箱石峠でのバトルって……今は全ての峠が廃道になって実質サーキット化された今は構わんじゃあなかですか……!?」

「それも悪かとは思わん。ばってん、ほんまに実績ば残せるんか? 部ば作って日が浅かな上に自動車部はあんた以外に飯田と森本と3年しかおらん。もう少しで卒業やけん、そしたら部員がおらんようになるばい」

 さらに続く。

「今は免許が16歳から取れて、維持費が安かやけん生徒の大半がクルマば所有しとるばい。クルマばテーマとした部活ば作るんなら、麻生北のドライバーとしての誇りば持たないかん」

 菊池生徒会長は考えた。

「自動車部の実績を残せるんか試したる。私たち生徒会ばはじめとした、麻生北の車通学する生徒たちと勝負ばい。生徒たちには後日参加するかせんか伝えとく自動車部のどれか1位ば取るなら、実績を残せる部活として認めたる。バトルを断ったり、どれかが1位を取れんかったら今後の活躍に期待せんから部活動を辞めるんやな」

 副会長の山中ルリ子も、書記の大内胤子も、口を開く。

「ルリ子たち、結構速かよ」

「どうするんばい?」

 うちの答えはこれしかなか

「挑みます。絶対にあーたたちば倒して見せますばい!」

「決まりやな。日程は来週の土曜日、コースは乙姫3周ばい」

「ルリ子たちに勝てるんばい?」

「覚悟すっばい」

 こうして生徒会たちとの勝負が決まった。

 自動車部の部室へ戻る。
 飯田ちゃんとひさちゃんはまだおやつを食べていた。

「もぐもぐ。おかえり、何があったのかしら?」
 
 生徒会室であった話を飯田ちゃんとひさちゃんに伝える。

「えぇ、生徒会ら麻生北の生徒たちとレースすることになったの? 負けたら期待されなくなるの!?」

 飯田ちゃんは菊池生徒会長のこつを話す。
 衝撃的な話だったばい。

「菊池生徒会長は遅くない相手よ。学校のトップの祖母の夫で、生徒会長から見れば祖父に当たる人は元レーサーだったらしいわ。祖父の英才教育の影響で運転がプロ並みに上手なのよ。愛車のケンメリGT-R(4代目スカイラインことKPGC110型の愛称)も祖父から譲られ、スーパーチャージャーを着けたV8のVK45を換装し、アテーサET-S(日産の4WD技術)方式の4WDを搭載させてかなりの改造されているらしいわ! 私たちに勝ち目あるのかしら?」

「わしら勝てるか不安ばい……」

「それまでに速くならんと」

「来週の土曜日まで時間がないわよ!」
 
 生徒会をはじめとした麻生北との戦いはもう始まっている。
 負けたら後はなく、執行猶予は少ない。

 午後10時、箱石峠。
 ここはうちら自動車部のホームコースとなっとる。
 うちが大竹を倒したのも、部長を決めたのもここ。
 例えるなら、自動車部の第2の部室みたいな場所だ。

 うちらは学校のセーラー服から私服に着替え、暗闇の峠の中で愛車を走らせとった。

 右へ、左へと見えないコーナーが迫り来る夜の復路を何度も攻める。

 復路のゴール地点である稲荷神社前へ着く。
 クルマから降り、タイムについて話す。

「飯田ちゃん速かね。さっすがこの3台の中で一番パワーがあるクルマ乗っているだけあるばい」

「感心している場合じゃあないわよ。あんたも速くならないと行けないわ。生徒会長たちに勝つには最低でも5秒縮めないといけないわよ。私は人のことを言えないから、今のタイムに満足してないけど」

「そうたい。飯田さんの言う通りばい。わしも速くならんと……」

 2人から辛辣な言葉を食らった。
 まだ勝てないとは……。

「じゃあ復路も行くばい」

 愛車に乗り込み、タイムアタックを再開する。
  
 決戦の来週までの日々は少ない。
 速くならないといけない。

 しかしい、後でとんでもないアイテムでものすごい走りを手に入れるんだった……。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?