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笑顔を引き出すATM: ともだちインタビュー13:まさよさん

今回のインタビューを書きながら
僕の頭の中にはずっと
「情熱大陸」のテーマが流れていました。

自己受容、
精神的な危機
を乗り越えて
大きな挑戦をした
コーチまさよさんの物語です


彼がコーチングを始めたきっかけでもあり

人生の転機でもあったのは

残念ながら辛い出来事だった。

誰もが知る大企業

に新卒から勤めていたが
2年前に休職する事になった。

社内での常態化したパワハラによって

同僚の退職者が頻発する中

まさよも「ひどい個人攻撃」を受け
精神に限界をきたしたのだ。



休職中に病院に通った結果
適応障害と併せて
「前から
なんとなく思った通り」
ADHDだという診断を受けた。

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自分は必要のない人間だ

とずっと思ってきた。
自分はいない方がいい。
その方が、迷惑がかからない。

昔から「当たり前」ができない時があった
家に鍵をしょっちゅうおいて出かける
買ってもらったばかりのコートを
どこかに置いてくる
何かにつけてミスをおかし
「物忘れとサボりぐせがひどいダメな子供」

として親に怒られる日々だった。

学校でもいじめられたり
良い扱いをされない事も多く
「何度も死のうと思いました。
自分が認知されていない

孤独だと思うと辛かった」

ただ勉強はとてもできた。
高校も大学も偏差値の高い所へ進んだ。

それで親や同級生に褒められたりは?

「全然なかったですね。」

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自分を肯定できないまま進んだ大学。
ここで、大きな出会いがある。


ジャズダンス

だ。

劇団四季のバックダンサーに触発され
面白そうと思って始めたが
これにハマった。

「ダンスは抽象度が高くて
正解が何、とかないですから

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「当たり前」ができないまさよにとって
当たり前でなくていい世界。

自分が思い切り表現できる手段だ。
高圧的に否定されてきた時代は終わり

自分を自由に表現できる時代に。
とても楽しかった。
10年近く経った今でもダンスは続けている。


卒業して件の大企業に入社したが、
そこで待っていたのは、また

正解・不正解のある世界

だった。
また「当たり前」ができない自分に
向き合わなくてはいけなかった。
入社して2年目、
ミスにより億単位の大きな失注をし

そこからは上司に辛い扱いを受けた。


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またあの時代に、、、


その辛い時期が続く中、
唯一以前と違ったのは
妻の存在だった。

自分で自分を責め続ける時でも

自分を認知し、肯定してくれた。


しかしそんな妻にすら
迷惑をかけていると
いう事が苦しい

という時期もあった。
子どももでき苦労が多い中、
迷惑ばかりかけている自分。

「今思うと全然本質じゃないんですけど
当時は何を残して死ねば良いか

どう死んだら迷惑がかからないか
ずっと考えてしまいました。

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コーチングに出会ったのは
休職中に人から勧められて。


「最悪な時期だったんですけど

ひどい状態にある自分を

評価判断する事なく
ただ聞いて、受け入れてくれて

その姿勢に心が動かされた

この人は、本当に僕の事を見てくれている

そう感じる事ができた。

コーチングで

「自分は今何を考えているのか」
「どんな感情を持っているのか」
「これから何をしたいのか」
に3ヶ月間向き合い続けた。

その
結果様々な思考や感情が整理された後に
残っていたのが

「どうしても拭えない怒り」


である事に気づいた。

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自分はまだマシな方だった、という印象がある。

ひどい状態で退職したり
突然書き置きをして消失した
人々もいた。

ひどい言動をする管理職にも

それを放置し社員を大事にしない会社にも

「なんでなんだ」という怒りが湧き

その怒りをエネルギーに

4ヶ月後、職場に復帰した。

休職からそのまま退職する事もできたし、

そういう同僚もいた。

しかし、
心から湧き上がる気持ちをぶつける事を選んだ。
これまで自分は仲間の役に立ってこなかった。

迷惑をかけてきた
。
しかし、

今彼らを救いたい。



これまでの会社生活とは
全く逆の行動に出た。
職場の現状、辞めた人々、交わされる罵詈雑言

それを自分はどんな職場にして、
どう変えていくのか。

それを、役員に直談判したのだ。

「跳ね返されるかもと思って
必死の覚悟で向かいましたが、

驚くほど真っ直ぐに聞いてくれました」


役員と何時間も話し合い
、
一緒に自分が何をして職場を変えたいのか

それを突き詰めた。


その熱意により、業務改善の部署へ転籍。
これまでとは違う
「この職場を変えてみせる」

というミッションを胸に抱えて
同じ会社で、違うスタートを切った。

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そのミッションの一つが

管理職向けの
コミュニケーション改善だ。

「飲みに行くと良いおじさんなのに

仕事になると人が変わったような
態度を部下に取る。」

その人達にコーチング技術を通じて
ストレスを産まないコミュニケーション、
傾聴やマインドセット

そういったものを自分なりに工夫して作り

人々に伝え始めた。

「最初は、はあ?みたいな態度でした。
頭おかしくなったのか?って」

しかし脇目も振らず続けていると、
徐々に

響く人が出てきた

そうやって徐々に賛同者を増やし

今は手応えを感じている。
「最初協力者は1人でした。

今は、3〜40人が
チームとして動いている気持ちでいます」

自分の信念を貫いて、人々に届いた。
その体験は自身にとっても大きかったんじゃない?

「そうですね。
人の役に立っている実感が、今はあります。
 家に帰って、息子に

「パパ今日も頑張ったよ」

って言えるんですよね」

自分は必要ない、どう死のうか
そう考えていた自分は、いなくなった。
「今は仕事が楽しくて仕方ないです」

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会社での挑戦と並行して勉強を続け

最近国際コーチングライセンスを取得した。
社内コーチとしても活躍している。
「最近コーチングが話題になったりもして

徐々にやりたいって人も増えてきました。」

それを受けた人の評判を通じて

輪が広がっているイメージがある


これからは何したい?

シンプルな質問をしてみた。

「今自分が周りの人にできている事を

数万人の会社全体に届かせたい。

その為に自分ひとりではできないから

もっと仲間たちと一緒にやっていきたい。」

自分の周囲だけでなく、
もっともっと、やりたい。
簡単でない事をやろうと思える程
自分を信じられている
から。

「ATMが金を生む

って言ってるんですよ。会社で。

(A)明るく
(T)楽しく
(M)前向きに、です。

社内でも取引先でも、
きっとそういう方が
仕事うまくいくんじゃない?って」

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コーチングをきっかけに人生が変わり

コーチにもなったまさよに


コーチングを受けた方がいい理由

を聞いてみた。

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ん〜、しばらく考えた後、、、

「人生を車で例えた時に

自分でハンドルを握って動かせるようになる

って伝えるかも」

「どこに行くかはそれぞれだし

うまくいくかどうかはわからないけど

どの方向のどんな道を選ぶかを

誰かじゃなく、自分で選んで進めるよって」


自分がどんな人間に生まれようと
どんな環境にあろうと
自分で道を選ぶ方法はある。
そしてそれは
想像していた以上に
革命的な体験なのだ。


うんうん、って思いっきり頷いて聞いていた。

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(みんな、この写真はツッコむとこやぞ)


あとがき

「人は種類じゃなく、状態だ」
というのが僕の持論です。

世の中に
「強い人」「弱い人」
「賢い人」「だめな人」
がいるわけではなく
「強い時、弱い時、賢い時、ダメな時」
を全部ひっくるめている。


勉強はできても「当たり前」
ができなかったまさよさん
「もう死にたい」が口癖だったのに
役員に自分の信念を訴え「人を救いたい」
と行動し始めたまさよさん

「変わった」のではなく
どれも彼自身のいち要素に過ぎない。

あなたが良く思う「ダメな自分」も
周りの人に言われる「あなたらしさ」も
ただの一部だし、
あなたにはもっと、もっとたくさんのあなたがいる。
その中の「どの自分」に人生のハンドルを握らせるのか
大事な決断をさせ、毎日を預けるのか。
その為にどんな環境や、どんな人達と過ごすのか。

まさよさんの物語が僕らに教えてくれる事は大きい。

そして何より、辛くて休職した後に戻ってきた彼が
年上の管理職達にインパクトを与えていく様は
痛快で勇気が湧いてくるのである。


サポートされたら、俺はその倍額を寄付する。倍返しだ。