GENERATIONS「X」を聴きました

エクストのサービスが終わってしまった。私をこの千尋の谷底に叩き落としたあのライブ体感アプリ「Extreme LIVES」である。わずか1年という長く短い祭だったが、与えた影響は計り知れない。
去年の今頃の自分が「まるで6年前から推していたような存在しない記憶に苛まれる」と言っていたのがサービス開始から1週間ほどの3/8だった。良い感じに狂っている。また別のアカウントでSUPERSHINEのリンクをツイートしてこんなことを言っていた。

アルバム発売ちょうど1年前

今となっては誰がかわいくて誰が屈強に見えたのかわからない。なぜならGENERATIONSはみんな屈強でみんなかわいいからだ。

そんな新規強火オタクが人知れずこの世に爆誕してから1年。待望のニューアルバムがリリースされた。GENERATIONSとして7枚目のオリジナルアルバム「X」である。FFユーザーは何の躊躇いもなくテンと読む。シリーズ最大級のヒット作を彷彿とさせるタイトルだ。ちなみにFFの方のもうひとつのシリーズ最大の人気作はⅦ(7作目)だった。色々縁起が良い。
アルバムのリリースが公表されてからというもの、GENERATIONSの活動は色々と派手だった。YouTube配信にテレビ出演に新規動画、全国プロモーション活動にリリースイベントとメンバーもスタッフチームも休まる暇がなかったことだろう。リアルタイムで追っかけてるファンが休まらないレベルの供給というのはそういうことだ。その合間にレギュラーの仕事や定期配信もこなしているのだから、彼らの体力の底なし具合には感嘆の一言である。とはいえいつどんなタイミングでガタが来るかわからないので、どうか休めるときに休んでほしい。健康な人ほど自分の限界には気付きにくい。

SNSを追っていると実にいろんな意見を目にしたのだが、個人的な見解を述べるとGENERATIONSというグループは非常に事務所に大事にされていて、まさに秘蔵っ子、大事な寵児なのだなと思った。アルバムプロモーションにここまで時間と労力(とそれに伴う経費)を傾けるのって珍しい気がする。自分の興味関心が向くものの中で最もメジャーなコンテンツがGENERATIONSなので、さして他のダンス&ボーカルとかアイドルとかの界隈に詳しいわけではないが、音楽を見聞きして楽しんできたこれまでの色々を考えても業界屈指の推され具合ではないだろうか。どれだけの大人が関与して今のこの仕事に繋がったんだろう……社会人のかなしい臆測である。
それはつまり、それだけ良いものを確かに彼らが拵えているということの証明でもあるし、正しく知れば確実に好意を持たれるだけの自信が(事務所にも当人たちにも)ある、ということだろう。亜嵐さんが今年はフェスにたくさん出る、と言っていたように、フェスやラジオといった「非ファンの目に触れる」機会が増えれば増えるほど財産だと思う。そこから確実におちてくる奴がいる。私みたいに。私みたいに(大事なことなので強調しておいた)。

・アルバム「X」とは
・ビジュアルについて
・曲順について
・曲について
・アルバム全体を通して

・アルバム「X」とは
3/8発売。14曲収録。バージョン違いがいくつかある。BD同梱版とDVD同梱版があってハード対応も良心的。
シングルA面曲が5曲、配信リリース曲やカップリング曲が3曲、のこりがオリジナル曲という編成。
リード曲は「ワンダーラスト」。これと「NOW or NEVER」のみMVが作成され収録されている。
ボーカルのみならずパフォーマー勢もラップパート等でがんがん音源参加しているし、楽曲制作にも携わっている。48分収録。
Xは「テン」。点、天、転、10と同音異義語への言及があったほか、個人的には展、伝、恬なんかも見出している。何せ示唆に富んだ名付け。

・ビジュアルについて
モノトーンを軸にした逆光の構図。メンバーがずらっと並ぶのも壮観だが、手袋やハイネック、ジャケットといった今まであまり使われなかったアイテムがビビッドに効いてるのが印象的。メンバーの半分が30代になるという世代的なものも感じて好印象。あとモノクロ写真の中に一枚だけカラーで入り込んでくるソロショットがめちゃくちゃかっこいい。写真が良い。私は亜嵐さんの缶ミラーを買ったんですが、美しすぎて変な声が出ました。美の概念を具現化すると白濱亜嵐になる。私は最近亜嵐さんの作画担当がミュシャなんじゃないかと思っていますし、先日のPKCZのMVでマッシュルームのヅラを抱えた亜嵐さんを見て「ヨカナーンの首を持つサロメだ…」と割と本気で思いました。すみません。

・曲順について
曲順はこんな感じ。
1 ワンダーラスト
2 PARTY7 〜GENEjaNight〜
3 Unchained World
4 新しい世界
5 愛傷
6 Brand New You
7 Fiction
8 My Turn feat. JP THE WAVY
9 to U
10 TIME SLIP LOVE
11 PICTURE PERFECT
12 NOW or NEVER
13 チカラノカギリ
14 X 〜未来への手紙〜

開幕でぶち上げておいて中盤のバラードで少し落ち着かせて、また終盤にかけてアゲてアゲてアゲきって最後に感謝を込めるエンタメ全振りの1枚。
一言でいうならそんな感じ。

・曲について
【ワンダーラスト】
リード曲。縦型のMVはYouTubeで見られる。縦型が3つ並んだ豪華なやつが同梱版。SNSで毎日なんらかの踊ってみた動画があがってるから、ちょっとでもGENEに興味あったら絶対見てるはず。各種番組でも必ず披露してる。
ワンダーラストはWanderlustで「放浪癖」の意。LDHはEXILE以来の伝統で「放浪」という単語を肯定的に、非常に伝統的に運用してきた歴史があるので、その伝統も感じさせつつJ-POPのど真ん中の風潮をいくような、爽やかで華やかなアップチューン。まさにリード曲に相応しい。タイアップもたくさんついてほしい。
※と思ってたらなんかラジオの仕事決まってた。曲がシンプルに評価される風潮うれしい。さすがわかってる人はわかってる。
今までの歴史とこれからの展望を繋げるような、結節点めいた歌詞がまさに10周年に相応しい。コレオもボーカルアレンジも好きなところはたくさんあるけど、まずイントロの数原さんの「ワンダーラスト」と高らかに歌い上げるところがめちゃめちゃ好き。たぶんGENEのファンはみんな好きだと思う(クソデカ主語)。

【PARTY7】
集団幻覚の誹りはどこへ行ってしまったのか。堂々と鎮座するメンバー紹介曲、というていのコールレスポンス楽曲。持論だがこの曲を聴くだけでは逆にメンバーに対する「それどういうこと…?!」という疑念が深まるばかりなのではないかと一周回って思ったりする。たぶんファンになったばっかりの人が「この単語の由来はいかに…」と深堀りするきっかけになるのではないか。まあ見てたらわかります。(諦めんな)
ライブでコールアンドレスポンスを想定するようなつくりになっているので次のツアーが見どころですね。いよいよ本編入りするのか…この曲が…

【Unchained World】
この曲が序盤にきてると頭がWONDER SQUAREを幻視するからなんかアア〜ってなったしなんなら何も言ってないのにセンターステージに7人揃ってパフォーマンスしてる図が出てきました。ワンスクの後遺症
この曲と次の「新しい世界」は世界worldという単語で共通しているのですが、描いているものや語義運用が対照的で面白いし、やっぱりワンスクを幻視する
MVも勿論好きですが中務先生のソロダンス動画を永遠に見てしまいます。楽曲全体が攻め攻めでめちゃくちゃ好きなのでツアーでまたやってほしい

【新しい世界】
WONDER SQUAREは私にとって初めて参加した非常に印象的なツアーとなったし、実はこの曲も自分がGENEに興味を持って最初に配信された新曲、最初に解禁されたMVにあたります。
全体的に夜明け前を予感させるような色調の空、準備段階を彷彿とさせる作業着の彼ら、白背景に真っ黒な衣装と「これから始まる何か」を匂わせまくっていて、このあたりリアタイで追ってたら楽しみで仕方なかっただろうな〜とこればかりは時間の不可逆性を恨んでいる。
ラップとボーカルが絡み合いつつ高いクオリティのダンスを見せつける、ダンスボーカルユニットとしてはこういう曲を1曲持ってるとめちゃくちゃ強いしカッコいいし、GENE以上にこの曲を説得力持ってパフォーマンスできるグループが思いつかないなーとしみじみしました。素敵です。

【愛傷】
テーマ性が重いからこのアルバム全体の流れの中で碇のような存在感を放ってる気がする。ガラッと雰囲気を変える重厚なアレンジが他の楽曲にはなく、異色を放ちつつきっちりと時系列も感じさせる。
この表現力やメッセージ性をカタチにできるのはGENEの技量と年齢帯あってのことで、グループの活動や表現に高校生を模したような演出が随所にありながらも、本質的にはJr. EXILEの長兄ポジションであり、年相応に大人びた思慮深さがあることと無関係ではないと思う。後輩たちの言からその辺りが見て取れる。
こういう曲を持ってるのもGENERATIONSの強さというか、表現幅の広さだと思う。

【Brand New You】
この曲の曲調が好きすぎて初めて聴いた時からのたうち回っていた。普段から自分が聴いてる音楽のテイストにめちゃくちゃ近いので、こういうアレンジを数寄のテイクで聴けると思っていなかったし、2人とも上手いな〜っていうのを改めてしみじみと思った。こういう雰囲気の曲を表現しきるのって並の歌い手にはできないことだと思うので…
ファルセットもミックスもウィスパーも声の使い方が贅沢で、やっぱこの人らのボーカルテイク間違いないわ〜と痺れまくりました。
歌詞の世界観もコンセプトも見事なまでに自分好みで、かつこういうのって昨今の流行りじゃないんかなあと思っています。白濱プロデューサーの楽曲分析が効いてきてる気がする。この曲単体でラジオでオンエアとかめっちゃされてほしい。たぶんこれ好きな人は世の中にたくさんいる。
あとこの曲をどうやってライブでパフォーマンスするのか想像するだけでめちゃくちゃアガる。都会的でスタイリッシュにきめてくるのか、ストーリー仕立てで演出してくるのか。いずれにしても情緒が掻き乱されそう。
時代の変遷と個人の変容を肯定的に歌い上げる歌詞も好き。ワンスクの演出に感じた温故知新の概念をここでもまた感じる。GENERATIONSは伝統的でかつ革新的。

【Fiction】
この曲も曲調が好きすぎてのたうちまわってた。チルでメロウな昨今の流行りじゃないですか。何ならそういうプレイリストにめちゃくちゃ入れてほしいよ。Apple musicのTokyo highwayリストとか!(具体性)
亜嵐さんが言うように佐野さんの声は特徴的でいいので、そういう聴いてみたくなるフックをきっかけに色んな人に聴いてほしい。ある意味でこの曲はLDH「らしさ」からは最も遠いアレンジだと思うし、事務所をよく知らない、食わず嫌いしてる人にこそ刺さる楽曲だと思う。たぶんGENEを知らなかった頃の私がYouTubeとかで自動再生でサジェストされたとしても絶対好きになる、そういう楽曲。
徹夜明けの朝方の鼻につんとくる冷気とか、ちょっと酒が残って気だるい足取りとか、そういうものはたとえ虚構の物語であったとしても誰しも覚えがある解像度で、この曲を午前5:30に聴きながら夜行バスを降りたいなーと思った。フィクションってそういうことだと思う。移入しなくても、そのままでなくても、知っていることと引き付けて思考する営み。そういう創作性も含めて、GENEの好きなところがまたひとつ積み重ねられるような気分でした。物作りの刺激を受けた気分。こういう引き出しがあるのもまたGENERATIONSの豊かさ。

【My Turn】
この曲とMV、実は去年出たGENEのたくさんの楽曲の中で個人的には一番好きでして、きっかけにDリーグ見始めたのもそうだし、ダンスカルチャーというものを自分が積極的に掘り始めたきっかけとも言えます。
更に言うなれば初期EXILEが好きだった人間には堪らないYour Eyes Onlyのサンプリングだったり、現在のJ HIP HOPシーンを語るに欠かせないJP THE WAVYがガッツリ関与してたりで、あまりにイケ散らかしていて永遠に聴いてられる…都合の良い我々の妄想じゃないだろうか…と思ってしまうほど。JP THE WAVY氏は自分が好きなところ好きな方面をちょっと掘ったらすぐぶち当たるので、たぶんもうこの人のファンを名乗ってもいい気がしてきた。
MVでDリーガーの皆さんをみながらわかる人が増えてきたなあ…の顔をしています。幸せなことです。

【to U】
この曲はひたすらとにかく白濱ボーカルがめちゃくちゃいいんですよね 敢えてのね GENERATIONSは優れたボーカルがすでに2人いるのに、プロデューサーでボーカルでパフォーマーっていう白濱亜嵐さんの精神的支柱感が実に良いバランスとして機能しているな〜というのをこの曲を聴くたびに思いますね。
曲順も作用してなのですが、この曲ってずっとファンに向けた感謝の楽曲なのかと思ってたしその側面ももちろんあるんだろうけど、何よりメンバーに向けて、一緒に歩んできた人に向けての曲なんだなというのが痛切に理解できてめちゃくちゃ良かったです。横にいてくれて、という語彙運用に納得できた気持ち。前の曲とひとつあとの曲に挟まれたらこれはそうとしか聞こえないわ。音楽への愛と仲間への愛。苦楽を共にしてきた人たちへの感謝が嫌味なく雑味なく伝わるのも音楽の良さだと思いました。

【TIME SLIP LOVE】
TSLはそれこそツアーでも幾度となく聴いていたのに、この流れの中で聴くと尚更メンバー愛が強調されて聞こえるというか、時代を切り取った表現がまた異なった聞こえ方をするのが不思議でした。メンさんのラップもまたテイストが違って聞こえる。というかもうメンさんがラップ担当のレギュラーメンバーと化している。表現力ありますよね。
メンバーが歌やダンスで若い頃からずっと向き合ってきた音楽への愛が結晶化しているようで、まさしく同じ時代を生きてきた音楽好きとしてはわかる部分が非常に多く、この曲に関しては移動中の電車で、イヤホンを使って聴くのがめちゃくちゃ好きです。そのロケーションからしか得られない立体感がある。音楽の持っている物語性への信頼を感じます。それはおそらく彼らがいちばんよくわかっているのでは。

【PICTURE PERFECT】
しかしながら彼らはパフォーマーであり、であれば音楽のみならずの表現全般を担う側面も持ち合わせており、いつも写真を見るたびに思うわけですね…かっけぇなあって…
そういうビジュアライズの側面や大事な人と過ごす瞬間の心跳ねる喜びを表現していて、この曲もまたライブでの映え方がめちゃくちゃ楽しみです。
そもそもマイク5本使ってボーカル&MCアクトが行われるわけで、それ絶対楽しいよなあと思います。
歌詞がボーカルパフォーマンスだけじゃなくてリズム感の表象に使われるのが最近個人的に楽しいなあと思っていて、そういう音楽の多様性を感じられるのも良い。ジェネは歌ものも勿論上手いんだけど、ご機嫌なダンスチューンも、半ば洋楽みたいなこういうナンバーもうまいこと出してくるのが最高…
あとシャッター音好きです。レカペでも好きだった。

【NOW or NEVER】
スカが生音とは思わなかったしやっぱギターがめちゃくちゃカッコいい。長崎のフェス見てる限りジェネ史上最強のアゲ曲らしいのでライブでどう化けるのかめちゃくちゃ楽しみだ…
楽曲の持つメッセージ性も歌詞もそうだけど、ミュージシャン亜嵐さんの魅力が最大限発揮されててファンとしてはほんと幸せだなあと思う。こんなに実力あって魅力的なコンポーザーをプレーヤーとして戴くことができるグループは世界を見てもそんなにいないと思うし、やっぱり自分たちの強いところや見せ方をいちばんわかってるのは自分たち自身、自分自身なんだなと思うとめちゃくちゃ嬉しかったです。活動してるアーティスト自身が自分たちのこと、作るものを愛しているほどファンとして嬉しいことはないので。
そんな亜嵐さんが心血を注いだ楽曲を120%以上のクオリティで表現しきるジェネの在り方が好きです。GENERATIONSが好きでよかった〜と思える。欲しい言葉を、欲しい表現を、バイアスなく本人から受け取れる喜びって大きいですね。この曲は10年経っても20年経っても今の瞬間のまま色褪せないんだろうなあ。

【チカラノカギリ】
2022年のGENERATIONSを象徴する1曲。町田さんの主演作を彩ったという実績もさることながら、泥臭く、カッコつけず、自信を持って足掻くというメッセージ性が究極にGENERATIONSらしいなと思います。この曲がこのタイミング(10周年を目前に控えてる)で出たというのも非常にパワーのあることで、キャリアとして充分なものを持ちながら常に攻めの姿勢を忘れないGENERATIONSの強気さを感じます。私も至る所でプッシュしていました。応援歌はやっぱりどストレートな方がいいよね。そういうシーンでたくさん使われてほしさがありますね。

【X 〜未来への手紙〜】
掛け合いとボーカルテイクが理想的。多くの方が言及していましたが、ライブで聴いたらおそらく涙する…歌詞の良さもさることながらこれを歌い上げる感情の昂りをおそらく正面から受け取ったら平静を保つのが難しい。
ボーカル2人のハーモニーが美しく高低音に別れていて、一見なにもかも相反する2人がなぜこのグループの両翼を担ったかを音で理解させられる幸福な体験をしました。かと思えばユニゾンで歌われる箇所もあり、重なりながらまた離れて、調和して支え合って、ボーカルテイクで物語を描いているような構造が刺激的で挑戦的だと思いました。
GENERATIONSは何度も言うけど事務所の築いてきた「らしさ」をどんどん打破するグループで、しかし確実に受け継いできている強気さ、勝負感のようなものもあり、いわゆる守破離でいうところの離を体現している段階だなと改めて思います。それは先輩グループが軸をぶらさないからだし、後輩グループも挑戦的であり続けるからで、守りに入って再生産を繰り返すメリットよりも変わり続ける選択を重んじたことのゆえではないでしょうか。らしい、という枠組みの中に収まらない奔放さに救われている人はたくさんいると思います。だからこそこの楽曲は曲調こそ穏やかではあるものの並々ならぬ情熱に満ちた決意表明でもあり、宣言を受け取ってしまったな…という気持ちになりました。
そういう多様性を内包した「ひとつの心」を楽曲全体の重石として最後に置く、音楽への愛と表現への矜持は存分に受け取ることができました。
彼らと同じ時代に生きられることを幸せに思います。

・アルバム全体を通して
MVはいいのがわかっているのでワンダーラストとNOW or NEVERを寝かせています。というかあれらを浴びてしまうと楽曲そのものの話ができなくなる気がしたので、そちらはまた稿を割いて追々言及しようと思います。
パッケージのシンプルなドットは今まででいちばんシンプルですし(You&Iの配信ジャケットみたい)、これもまたTRIBEらしからぬおとなしさだと思いましたが、聴いてみてたしかに、この楽曲たちのどれにも通じるビジュアルというのを提示する方が困難だなと納得しました。前回の「 Up&Down」がコロナ禍で作られた作品であり「手元に届ける」というコンセプトだったのに対し、世界が再びすこしずつつながり始め、ゆるやかに形作られていく次元に至った今、ユニバーサルデザインはシンプルに集約されるのかなとも少し思っています。言うなれば象徴物や意匠が元々持っている思想性を脱却するような、何の象徴とも異なる、どんな既存の概念とも異なるものを作ろうとする試みを感じたというか。飽きが来ない、飽きるほどのモチーフ性がない。たしかにジャケ買いはしないかもしれないけど、どんな部屋にでも置けるCD、どんなプレイリストにも混じることができる見た目というのは、ひっくり返せば強みかなと。厳しいことを言えば今の時代ってファン以外にCDショップでわざわざCDを買う時代ではないから、サブスクで聴いてみるのにジャケット画像はいらないんですよね。めっちゃ小さいし。
なんかそういうことを色々考えてる作りなんだなーと思いました。あと箱に入ってるのが某PCメイカー製品を意識した作りと知って、あーそれにも近い、そのユニバーサルデザインはめっちゃ近いぞ、シンプル、と納得した次第です。
世界中の人に聴いてほしい普遍さを感じました。良い。

色々思ったことを書いていると長くなってしまいました。
私はGENERATIONSマジで好きだなーと思うところがいくつかあって、でも真っ先に挙げるのはこの「作ること」への真摯さと情熱だなと改めて感じました。7人全員でいろんな表現を通して「作ろう」とする姿勢の鋭さというか、感度というか。関係性の豊かさも確かにそうなんですが、このクリエイター気質に惹かれまくってるな〜というのを改めて思いました。出したくて出してる感じというか。作ったもの形になったものを「早くファンに聴いてほしい」といろんな角度から、いろんな媒体を通してメンバーが何度も口にしたこと。それが全ての自分にとっての魅力の源泉だなと改めて思いました。だから彼らのクリエイティブな精神が枯渇しない限り、たとえパフォーマーとして表に出てこなくなったとしても、ずっとずっとその表現を何らかの形で受け取ることは出来るんだろうなと勝手に思っています。そういう将来がマジで楽しみ。どんな表現もまずは受け取ってみたい。これほど刺激的な存在は、自分にとってなかなかないと思います。
芸能人の在り方としてどうなのかは知らないけど笑、そのへんを怒るのは私の仕事じゃないんで、これからも作るものを大事に受け取っていきたいと思います。

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