最近の記事

豚の膝を買ってしまった

僕の家には今、豚の膝がある。 話は先週に遡る。スーパーにて、お肉コーナーを物色するもめぼしい物がなかなか見つからず、棚の奥の奥の方へと手を伸ばしてみると、鮮やかな色をした新鮮な赤身肉を発見。迷わず購入した。 家へ帰り、冷凍保存するために開封。買う時には見えなかった部分が露わになり、僕は言葉を失った。真っ赤なお肉のその裏側は、皮膚だったのだ。浅黒い何色とも言い難い濁った色をした皮膚。細短い毛が散見され、それに、なんかシワシワしている。 パッケージに書かれたハンガリー語を翻訳

    • ありがとう、スパ

      今日もまた練習を終え、僕が意気揚々と向かう先はジムである。このジム、バレエ団員であれば無料で使えるのだが、設備がとても充実している。ありとあらゆる筋トレ器具があるのはもちろん、ちょっとしたリゾート並みの豪華なスパが隣接しているのだ。このスパが良すぎるので、少し案内させて欲しい。 まず扉を開けて見えるのは、暑すぎずぬるすぎない、絶妙な温度で優しく体を包み込むジャグジー。延々と入っていられるその居心地の良さは、うちのおじいちゃん家に匹敵する程。横にちょっとしたプールもあるが僕は

      • 初めてのDATSUMOU

        治療室に案内され、見るとベッドの上に紙切れのようなものがくるっと丸まってぺっと置いてある。 これをどうやら履く、らしい。 全ての衣服を脱ぎ、その、パンツと呼ぶにはあまりに薄く、頼りない、何かを履いた僕はベッドに横たわり、生きた心地をほんの少し失った。 上から申し訳程度にバスタオルを被せる女性。治療に関する説明をすらすらと述べた後、手際良く準備を進めていく。見事な仕事ぷりだが、ベッドに横たわる紙パンツ一丁の男を目の前にして工程を淡々とこなしていくことが、果たして人として自然な

        • ハンガリーへバレエをしに来たはずが、絵を描いている。

          早いもので半年が経った。ハンガリーへは、バレエをしに来た、はずだった。 1ヶ月ほど前、絵を描き始めた。iPadとアップルペンシルで何やら色々描いている。思いの外ハマってしまった。バレエの練習より絵を描いてる時間の方が長い日も出てきたくらい。 バレエはやっている。リハーサルが無い中で、とりあえずやっておくか、というスタンスでバレエ団はクラスを受ける環境を整えてくれたのだが、いかんせんとりあえず感が強かった。教える側のモチベーションは驚くほど低く、それに応えるように受ける方も

        豚の膝を買ってしまった

          近況報告2

          皆さんお元気でしょうか。 僕が住んでいるハンガリーではコロナ感染者数が未だ右肩上がり。バレエ団は一時的に閉まることになりました。かろうじて続いていた40分簡単レッスンも無くなり、ついにスーパーフリー状態に突入です。 そんな時期にもかかわらず、先日予想外の人から連絡がきました。その人とは、バレエスクール時代に同じクラスだった人。彼は現在ドイツのバレエ団に所属しているのですが、何やら近々オーディションをしにここへ来るらしいのです。しかもうちに泊まらせて欲しいとのこと。 この

          近況報告2

          近況報告

          ここ最近ハンガリーのコロナ状況は悪くなる一方で、新規感染者数が毎日のように過去最多記録を更新しているというなかなかやばい状況。 政府は先日新たに二週間の制限措置を発表。スーパー以外のほとんどのお店が閉まってしまいました。 影響はバレエ団にも。二つのグループに分かれて行っていた朝のクラスが8人ずつの12クラスに。スタジオは三つしかないため、時間帯もクラスによってそれぞれ。朝9時からの人もいれば12時からの人もいる、という感じ。早起きが他の何よりも苦手な自分としては是非とも1

          近況報告

          忘れられない55回の腕立て伏せ

          皆さん。思い出に残る腕立て伏せはありますか? 僕は今まで何回もの腕立て伏せをやってきたが、あの時の55回のプッシュアップは今でも心に深く刻まれている。 それは先シーズンのこと。 この年に僕は初めてバレエ団で働く、という経験をしたのだが、振り返ってみて、まず、思うようにはいかなかった。 踊れる機会が全くと言っていいほど与えられず、果たしてディレクターは自分のことが見えているのか、、!?と思うほどだった。 それに加えて、来シーズンに向けてオーディションをしにアメリカやヨーロ

          忘れられない55回の腕立て伏せ

          R.I.P. 僕の鼻

          コロナ対策として、バレエ団では二週間に一回くらいのペースで簡易検査を受けに行くことになっている。 昨日がその日だった。 朝早くから長い綿棒のようなもので鼻をぐりぐりされる。とてもいい気分ではない。 特にこの日の担当の人は綿棒の扱いがやや乱暴で、ぐりぐり、というよりぐるんぐるんだった。鼻の奥でコーヒーでもかき混ぜているようだった。 目に涙を浮かべながら検査の結果が出るまで待機していると係の人がこちらへやってきた。 検査結果がうまく出なかったからもう一回やらせてほしい、

          R.I.P. 僕の鼻

          オーディション

          1月からここハンガリーのバレエ団に所属している僕だが、先日舞台リハーサルを客席から見ていてふと、このバレエ団で自分は本当に働いているんだなと不思議な感覚に見舞われた。 思えば一年前は自分が今ここにいることを想像すらしなかった。 というのも、僕は去年、このバレエ団のオーディションを現地で受け、そして落ちたのだ。 そのオーディション終わりに観光へ行った僕は、ブダペストにまたがる大きな橋で手すりのような部分の上に立ち、『ここが僕のアナザースカイ』ポーズで写真を撮った。 観光を

          オーディション

          ギターを買った日

          約1ヶ月前に暇を持て余してフラーっと楽器屋に立ち寄った僕は30,000円のギターを衝動買い。掃除機もまだ買ってないのに、ギターを買ってしまった。炊飯器もまだなのに、ギターを買ってしまった。 楽器屋を後にして家に帰るまでの間、僕は自問自答をし続けた。 本当にこれでよかったのか、、? 今、自分は、30,000円のギターを、買ったぞ、、? 背中に担いだギターは信じられないほど重く感じた。 それからバレエの練習を終えて家へ帰ったらあとはひたすらギターをかき鳴らす生活が始まった

          ギターを買った日

          ハンガリーのクリスマス

          ハンガリーに来てから1ヶ月以上が経った。 思えばクリスマス、年越し、それに加えて誕生日。 一年のビックイベント三連発をこの地でひとり迎えた。 異国の地で一人暮らし、というだけでも少々堪えるのに、そういう特別な日となると、無性に切なさが込み上げてくるものだ。 どれも365日の中のただの1日だというのに、どうしても意識してしまう。 特にクリスマスに関してはタチが悪い。まず何日も前から町中が無駄にピカピカと光り始め、 みんなのお待ちかねのあの日、もうすぐ来ますよ。 と

          ハンガリーのクリスマス

          Residence Permit

          僕は、ここに到着してから今日までまともにバレエをしておらず、(家の中でできることはしていた、これほんと)明日から初めてバレエ団クラスを受ける。 僕がハンガリーについたのは今月の12日。気づけばだいぶ経っていた。 今ハンガリーでは、到着したら、まず10日間隔離をしなくてはいけない。それを見越して早めに出発したのだが、運よく僕の渡航は、ビジネストリップとして認められたため、隔離は免除に。 それでは到着してから僕は一体何をしていたのかというと、まずはresidence par

          Residence Permit

          チキンサンド

          昨日はクリスマスだったのでお店はほとんど閉まっていて、外へ出てみたのはいいもののできることが何もありませんでした。 今日こそは外出て携帯を契約したり何なりするぞ!と思いショッピングモールへ向かうも開いてない、、 どうやらここハンガリーではまだクリスマス気分が抜けていないらしく、昨日と同じく、ほとんどのお店が閉まっていました。 しょうがなく家へ向かって歩いていると、地下道で馬鹿でかいチキンを売っているお店を発見。壁にはそのチキンを使用したさまざまな写真が貼ってあり、なかで

          チキンサンド