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R.I.P. 僕の鼻

コロナ対策として、バレエ団では二週間に一回くらいのペースで簡易検査を受けに行くことになっている。

昨日がその日だった。

朝早くから長い綿棒のようなもので鼻をぐりぐりされる。とてもいい気分ではない。

特にこの日の担当の人は綿棒の扱いがやや乱暴で、ぐりぐり、というよりぐるんぐるんだった。鼻の奥でコーヒーでもかき混ぜているようだった。

目に涙を浮かべながら検査の結果が出るまで待機していると係の人がこちらへやってきた。

検査結果がうまく出なかったからもう一回やらせてほしい、とのこと。

2回目はさらに乱暴だった。

納豆をかき混ぜる勢いでこられた。

僕の鼻をなんだと思っているのか。

やるせない気持ちで再度結果を待つ。

すると、乱暴男が僕をまたまた呼び戻す。

実は1回目、slightly positive だったんだ。2回目は陰性だったんだけど、念のためPCR検査もしときます。

とのこと。

slightly positive とは?と戸惑いつつ、3回目のぐりぐりが今ここに確定したことに絶望した。

なんの迷いもなく男は新しい綿棒を取り出し、僕の鼻をいよいよ殺しにかかる。

乱暴度合いは最高潮に達していた。

魔女が大きな釜で毒入りスープを作る時のかき混ぜ方だった。

僕の鼻は見事に破壊された。

それでも男は平然としていた。

たぶん大丈夫なんだけど、一回目に slightly positive が出た以上、PCR検査の結果が出るまでは一応家で安静にしといて。

たった今、あなたのせいで大丈夫ではなくなったけどね

と口から出そうになったのをグッと堪えて家へ帰り、一日中心と鼻を労った。

とは言え身体はいたって健康、鼻も破壊されたとはいえ匂いは普通に感じられるままだし悪い結果が出ることはまずないだろう。

案の定翌日つまり今日、陰性の知らせが届いた。


昨日の仕打ちはなんだったんだ、ともどかしい気持ちが募るが、結果が良くて何より。

しかし、また少ししたら次の検査が待っている。


早くコロナが落ち着いてほしい。

僕と僕の鼻からの切実な願いである。












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