『竜馬がゆく』司馬遼太郎を読んで

 夏休みに司馬遼太郎を読んだということを母に報告したところ、なぜ竜馬がゆくではないのか?ということを言われ、竜馬がゆくを電子書籍(kobo)で単行本8巻をダウンロードした次第です。

 そもそも竜馬がゆくはドラマなどに何度かなっている気がするしなぁというのが率直な意見であった。前回読んだ「世に棲む日日」(単行本4巻)よりも倍の巻数であるということもあった。

 結果的に何年、何十年たっても傑作と言われる所以が分かった気がしました。一つは土佐藩という屈折とした環境と郷士という立場、坂本龍馬という死ぬまで「日本」というスケールでものを考え、また倒幕後のことを考えていた非常に数少ない志士・・その魅力たるやそりゃ歴史上の人気の人物第一位になりますわ、という感想でした。当時の時代の人たちは、竜馬のスピードでは恐らく何が起こっているか知らなかったことでしょう。竜馬の視点で描かれるからこそ、幕末の転換期のスピードは舞台の煙幕のように素早く、くるくると転換していく。その時代に生きていたら、確かに、身近でその変化を感じていたかったであろう(乙女姉さんの気持ち)

 事をなすのに天は役者を配置し、役割を得た人が与えられた幕を演じ切る。幕末は余りにも短期間に主役が切り替わるため面白いし、わかりやすい。

 この小説では竜馬が大政奉還直後に亡くなってしまうため、そこで物語も終わる。司馬遼太郎のすごいところは、歴史は見る立場によって異なるし、それら全ての人の想いが重なって交差してねじれて離れて成り立っているということを教えてくれる。全然関係ないけれど今日は巨人中日戦をドームに観戦に行ったのだけれど、相手のピッチャーの気持ちや、打者の気持ちを想像しながら観れました。(飽きやすい私でも想像すると面白かった)私が大人になったのか、小説のおかげで想像力が身に付いたのか、想像するくせが付いたのか、はわからないけれど独りよがりにはならず、他者の気持ちを理解できる人間でありたい、そんな風に思った。

 この小説を読むと、時代の転換期でもある現代求められているのも、やみくもに現状をただ変えたいと思うだけではなく、幕府を倒した後の未来を描いた勝や竜馬のような力が求められているんだなと感じた。時代や国は続く、現状に不満を持つだけではなく、その後の未来にも責任が持てる人になりたい。

#読書感想文 #司馬遼太郎 #竜馬がゆく #坂本龍馬 #幕末

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