精神疾患持ちの私が語る妊娠と出産、そして不妊について
「将来、よしペンくんの赤ちゃんが欲しいな!」
少し浮かれた気分の私に、「お母さんの前でそんなこと言うのやめてくれる?」
妹は大きなため息をついて言ってきた。
「え? どうして?」
私は妹にとって天然にできているらしい。妹は再びため息をついて「そんなの、無理に決まっているじゃん。お母さんも同じ意見なんだよ」と言ってきた。
「妊娠、出産ってさ、どんだけ大変か分かっているの?」
妹の発言に私は多少イラッとしていた。経験してないのに、分かる訳がないのと、彼女はいつも上から目線で私を見ていたからだ。そんな妹は2人の母親でもあった。正論を言われた感じがして私は悲しくなった。
「それに、あなたは精神病を持っているじゃん。そんなあなたに、妊娠、出産は絶対に無理!」
妹の言葉は容赦なく、私の心を刺してくる。いつものことなのだが、今回はひどい刺さりようだ。何にも言えない私はただ悔しかった。
この出来事をきっかけに、私は深く考えるようになってしまった。
私の母は、夫(私にとっては父)を早くに亡くしている。
女手一つで私たち姉妹を育ててきた、その大変さを私は間近で見てきた。
母はいつでも鬼のような形相をして、私たちを叱っていたので「お母さんって本当は鬼なのかもしれない」と感じていたくらいだ。
分かっている、母は余裕がなかっただけなのだ。
私は、そんな「お母さん」になりたいとは思えなかった。
そして、妹のいう「精神病」を抱えていて、さらには「子宮腺筋症」だということも分かっていた。
数年後、同じ病気を抱えた友人が女の子を出産したらしい。
「じゅんちゃんも、早く子供を作りなよ! かわいくて仕方ないよ!」
Hちゃんは「お母さん」になりたかったらしい。うらやましい気持ちと悲しい気持ち、「おめでとう」という気持ちが混じり合った。私は多少目眩がするくらい混乱していた。
そんなこともあって、「こども」と言うキーワードに少し敏感にさえなっていた。
いつも通っていた整形外科の病院では、おせっかいなおばあちゃんたちが「あんだ! 早く子作りしなさいよ! 早い方がいいんだから!」
その言葉をいつもはスルーできるのに、その日はできなかった。
「私、子供産みたくないんです。怖くって」
そう言うと、おばあちゃんは「ありゃー、駄目なんだよぉー」
その返事を聞いて(言わなきゃよかった)と即座に後悔した。
数年後に私は、避妊するのを辞めた。
妊娠を私たちがコントロールしているのに違和感を覚えたのだ。
そしてやっぱり私は「不妊症」だと再確認した。
妊娠、出産は確かに大変だと思う。
でも、それ以上の何かがあるから、子供を作る人がいるわけで。
それは、とてつもなく素晴らしい愛だったり、子供の成長だったりするわけで。
私はやっぱり、そんな経験に憧れている。
神様、私はね、生まれ変わったら「お母さん」になりたいな。
沢山の愛を感じてみたいな。すごく贅沢なお願いかもしれないけど。
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