DUN AROMA(ダンアロマ) ──しっとり上質。オトナな珈琲時間
都立大学駅から徒歩すぐ
仰々しく飾らず、トンと丁寧に本棚に本を置くように、そこに喫茶店が構えてある____ダンアロマさん
今回取材を快諾してくださったマスター(神永さん)は、渋い喫茶店の所謂『マスター』というよりも、想像よりお若い方で、
スラリとスマートな立ち振る舞いに、シックなお店とのギャップを感じ、思わず一瞬どぎまぎしてしまう
ダンアロマらしさ
神永さんは今年で24年目。
先代のオーナーさんから今のダンアロマを引き継ぐ形でカウンターに立っていらっしゃる。
ダンアロマの特徴は、まず備え付けの棚に並ぶカップ&ソーサーが、それぞれソーサー立てに置かれていること。
ソーサーが見えてこそ、器の美しさが俄然立ち顕れている。
この食器を絵付けしたり、デザインした方が喜んでいるだろうとさえ思う
先代のオーナーさんの集めたものから、神永さんが実際に見、選んだよりすぐりのカップたち。
大倉陶園、ノリタケ、ウェッジウッド、マイセンからブルガリ、エルメスまで_____
「どのように選んでらっしゃるんですか?」
とお伺いしたところ、
_____『最初は陶器の博物館(愛知県陶磁美術館)とかに行ったり、展示会に行ったり。そこで見たものや感じたものが沢山あって、器の奥深さを知ったんです。
それからできるだけ実際に手に取って良いと感じたものを選ぶようにしていて』
「陶磁器の歴史まで学びに行かれたんですね!」
なんとなく「ノリタケっていいよね」「やっぱりマイセンでしょう」という気持ちで選んでいるのではなく、
しっかり陶磁器の歴史を学び、そこから神永さんが得た知識やセンスから選ばれている
意外と楽しいものだよ、と朗らかに笑う姿も印象的だった。
そんなカップ&ソーサーたち。
浮ついた気分で眺めていると
_____『どれがいい?』
と尋ねてくださった。
せっかくなので、と、The・ウェッジウッドのデミタスカップを選んだのだが、常連さんの中にはお気に入りのカップがある方がいるらしく、
____『このマイセンがお気に入りの年配の方がいらっしゃるんだけど、たまたまその日、他のお客様にそのカップを出しちゃってて……
それで「ちょっと、いつものじゃないじゃないか(笑)」
「すみません、今ちょっと出てて……(笑)」
なんてこともあったり、ね、(笑)』
そんなやり取りもまた常連客ならでは。
「ちなみに自分で選ばない場合はマスターさんが選ぶ感じですか?」
____『そうだね、その時の服装や雰囲気なんかを見て選んでますよ』
「あ、じゃあちなみに私に、ということでしたら……」なんて好奇心から伺うと、
『可愛らしい花柄でも、かっこいいシンプルなカップでもどちらでも出せるなぁ』と仰ってくださり、
なんとなく嬉しい気分に♡
そして2つ目の特徴は
【カウンターのみ】
こじんまりとした空間に、ほんのり柔らかい暖色の灯りがともる喫茶店。
1人静かに珈琲を嗜む時間にはもちろん、
友人と隣通しでゆったり談話なんていうのも粋かもしれない
低温抽出珈琲
なんといってもダンアロマのコーヒーは『自家焙煎』で『低温抽出』であることが最大の魅力。
自家焙煎のお店らしく、生豆の状態のコーヒー豆が店内入口付近にて販売されている。
提供される珈琲はネルドリップ式で本当に1滴、1滴
ぽとん。ぽとん
と淹れては蒸し、
また1滴、1滴注いでは蒸す。
この繰り返しによって生まれる低温抽出珈琲は、まろみと香りが引きつ。
初めて体感する低温での上質なコーヒーに思わずうっとり……
しっぽり浸りたいと思う至極の逸品。
✔︎︎︎︎デミタスコーヒー(ウェッジウッドの写真)
✔︎︎︎︎カフェ・オ・レ
ずっと気になっていたエルメスのカップ。
「ぅう、気になる……気になる……」と内心疼いていると
『良ければ飲む?』とご好意でカフェオレをいれてくださった。
こちらもなんとも美味。
デミタスの深くもまろやかな味わいとはまた異なり、優しい味わいに😌
デミタスの後にも関わらず軽く飲めてしまったので、普段珈琲をあまり飲まない方はおすすめできるメニューだと思う
____『上司や仕事関係で来られる方もいて、そういう方の中には珈琲があまり得意でない方もいるんだけど、
そういう時は飲み口の広いカップに入れるとかして、飲みやすいように工夫したり。
見た目でもそういうことできると思うんです』
紳士的な配慮が神永さんのお人柄とともに伝わってくる。
他にもトーストやケーキなどのメニューがあるので、次回来店時は必ず頼もうと決めている🧸
100年物の……
お店の内装を見させてもらうと目に付いたのがこの旧式のレジスター
装飾品のひとつだと思っていたら『まだ使ってるよ』とのこと!
100年物のレジスターはボタンを押して右側のレバーを回すと「チン!」と音を立てる
他にも昔のタイプライターなどが置いてあり、薄暗い店内に昔ながらの素敵な調度品が置いてある
壁紙はウィリアム・モリスのブドウ柄🍇
____『これモリスなんだよ〜』
「ですよね…!そうだと思いました!」
____『うちのお店がブドウがモチーフだから、それに合わせてブドウ柄で。ひとつの房からたわわに実ることから先代のオーナーがつけたみたいで』
扉口のステンドグラスには、お店のモチーフのブドウがデザインされている
外光を受けてステンドグラスがより一層輝いていた。
都立大学という立地に根ざしているダンアロマ
ちょっと贅沢な気分も味わえる時間と空間がそこにある。
普段都立大学付近に訪れない方には是非ともおすすめしたいお店である。
きっと上質なオトナな時間を過ごすことができるに違いない
店舗情報: ダンアロマ
アクセス▶︎ 都立大学駅から徒歩2分
営業時間▶︎ 12:00-18:00/20:00-24:00
定休日▶︎ 月曜日
http://dunaroma.com/
https://www.instagram.com/junkissa_and_i/
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