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20年ぶりに再会した三角のあいつの話。


昨日と何も変わらない多分いつも通りな午後のこと。

それは本当に突然訪れた君との再会となる。

正直に言うともう君のことなんて忘れていた。記憶のどこにも君は居なかったかのように過ごしてたのに、どこか辛くて心に大きな鍵をかけ忘れようとしたのに、一瞬であの日、君が最後に見せた泣き顔を思い出したよ。

今まで本当にごめんなさい。。

確かにあの日そこに居た君に僕は何も言わずに別れ、置いてきた事を今ではとても後悔してる。。

お互いあの場所で別れて以来、離れ離れに。


こんな形で再会することになるとは思わなかった。

お互いにどうしても埋める事ができない距離が二人をこれまで遠ざけてきたのかもしれない。ずっとこんなに近くにいたのに、君が僕だけに見せるその優しい笑顔に気がつけなくて。。


なぁ、三角。

あの頃にもそう言ってたと思う。君が嫌いなあだ名。


忘れもしない。

もう20年以上前のあの日、初めて君と出会ったことを思い出した。

京都から転校してきた君は登校初日に若干の遅刻をして、「まだセーフですか?」という第一声とともに教室に駆け込み、担任に「アウトに近い三角やっ!!」と言われクラス中の爆笑さらう。初対面での掴みと印象は100点だと思った。

誰にでも好かれるようなタイプの子。親しみがあってユーモアもあって、誰に対しても裏表のない感じの女の子。いつの間にかクラスのみんなからの人気者、独特の雰囲気というかオーラも感じる。三角ってあだ名はこの日の出来事がきっかけで、男子の中では親しみを込めて呼んでいた感じ。多分、みんな彼女のことが好きだったと思う。

誰にでも気さくな君は多分お年寄りにも好かれるタイプだよね?って言ってちょっと怒らせたこともあったっけ?大人っぽいことがちょっとコンプレックスみたいな感じだったんだと今では思う。


忘れたことも多いけど、今でも覚えてることもやっぱりちゃんとあって。。


普段見慣れない浴衣姿のあの日の君は、まだ子供だった僕から見てもいつもと違う少し大人っぽい雰囲気が香る。色白で美しい君の姿に僕は何も言葉に出来なかった。

「ねぇ。ねぇ。似合う??」

「おっ。。おう。」

「もっと褒めろぉぉぉぉ!!」

と、漫画みたいなやりとりをした。

この感情はなんなんだ?いつも一緒にはしゃいでいた君の変わり様に全く対応できない、理解できなかったという表現の方が正しいかもしれない。

少し背伸びをした僕と君との距離は近いようでそれでも遠く。君を知れば知るほど届かない、心のどこかで君にはきっと振り向いてもらえないと諦めていたのかもしれない。

君に相応しい、しっかりと寄り添える男になるためにと君からの僕に対する心からの気持ちをあの日、正面から受け止めることが出来なかった。。



突然、家にやってきた君はあの日のまま。。

変わらない三角形の姿で。懐かしくどこか切ない。。

お互いに成長したねって照れた笑顔を思い出す。そんな味がしたんだ。。


八ツ橋の味ってこんなだっけ?

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