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「ARTS SEED OKITAMA 2016 文化の種をまく。育てる。ひきつぐ」②

*ARTS SEED OKITAMA 2016 の開催に合わせ、地元のミニコミ「まどあかり」に寄稿したものです。以下、本文です。


 「ARTS SEED OKITAMA 2016」(7月15日~26日)は、おかげさまをもって無事終了した。あっという間の11日間で、多くの方に楽しかった、とのお声もいただきほっとしている。

 このかたち(複数の展示を同時期に開催してマップにのせる)で開催するのは今回がはじめてだが、大きな混乱もなく、むしろグループ展を主催するより楽だったようにも思う。それは、きちんと団体にし事務局をおき、役割分担をお願いしたからでもあるが、企画自体にも無理がなかったのだろうと思う。なにはともあれ一重に賛同し参加協力いただいた皆様のおかげに他ならない。この場をお借りして感謝したい。一か所に負担がかかるようでは、継続が難しいのでとても大事なところだ。

 さて、大きな混乱もなくとは書いたが、まったくなかったわけでもない。具体的に言えば、展示のひとつの開催があやぶまれた。作家の連絡不足によるもので、会場にもご迷惑をおかけしたし、事務局にも対応をお願いすることになった。「ほう・れん・そう」の話だから、この企画にかぎったものではないかもしれない。アーティストであれば社会通念に疎くても許される、なんてことはないと思う。むしろ、人と違う生き方であれば、なおのことモラルは大事だろう。フリーランスは信用第一。損をするのは作家本人なのだ。
 
 前号にも書いたが周辺人口をふくめ約30万人の地方にあって、アートのマーケット、文化は作れるのか。当企画のミッションであり、チャレンジだ。
 マーケットはそうそう増えるものではないし、むしろ年々歳々疲弊していくのを在廊するたびに感じる。正直、大きくする以前に、いかに小さくしないか、下り坂をどうゆっくりくだるかの話かもしれない。でも、それはこの地方特有の話ではないはずだ。だからこそ、文化の大事さに早めに気が付いたところは将来的にましかもしれない。
 
 と、いう話をすると「地域おこし」の話に思われるかもしれないが、そこは少し違う。アートを地域おこしに利用する、それは否定しないが、本来であれば順番が違うのではないか。アートは消費材ではない。
 地域を盛り上げるために、アートを使うのではなく、アートが元気に行われるような地域であるから元気なのではないか。つまり、作家、アーティストのような人種が元気に活動できる地域は、おのずと元気になるのではないか。本来、文化芸術とはそういうものではないだろうか。

 人が何に魅力を感じるか、それこそ人それぞれかもしれないが、なにより人は人に魅力を感じるものだろう。アートの良いところの一つは色々であってよいこと、多様性を感じられることだろうと思う。色々なアートが見れ、色々な人が活動している地域は、多様性があり、魅力的ではなかろうか。地方は人口が少なく、なおかつ同調圧力が強い。であるからこそ、地方で楽しく豊かに暮らすにはアートは有用ではないか。

 当企画は、各展示の売上から一割を当団体に寄付してもらっている。それは、自主財源となりフリーハンドで企画が行えるようにするためだ。自分たちがよいと思える、文化、地域の形は自分たちでつくり将来に残したいではないか。そういう意味で売上は多いに越したことはない。むしろ売上が立たなければ作家活動にもならないではないか。卵が先か鶏が先か。できるところからするだけか。
 よい作家やよい会場が、よい展示を作ってくれるだろうし、よい展示がよい作家やよい会場を作るではないだろうか。

 置賜にも多くの魅力的な作家がいる。魅力的な場所があり、魅力的な展示がある。それが、また多くの魅力的な展示を作ってくれると思う。来年2017年の募集要項も発表になった。置賜だけでなく、県内、県外の作家の皆様にもぜひ参加いただけたらと思う。詳しくは、ARTS SEEDホームページ(http://artsseed.tumblr.com/)またはFacebookまで。(2016年9月吉日)

(まどあかり 2016秋号 掲載)

BeHereNow企画 代表 菊地純


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