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【札幌×ミュンヘン】自転車の街-雨が多くて寒いのに自転車を大切にする街ミュンヘン

ミュンヘンに来た当初、よく自転車に乗っている人から「チャリンチャリン」とされたものだ。

どうやら自分は自転車専用レーンを歩いていたらしい。

ミュンヘンには、街の生活道路の大半に自転車専用レーンがあって、そこを歩いていると容赦なく自転車に乗っている人から警笛音を鳴らされる(ときには怪訝な顔をされることも)。

写真左:自転車専用レーン 写真右:歩行者レーン

自転車専用レーンは十分なスペースが確保されているので、自転車のスピードも速い。迂闊にここを歩いていると本当に危険な目に遭うのである。

最初は、自転車にやさしい街だな、という印象であったが、冷静に考えてみると、ミュンヘンは冬、寒く、天気もすこぶる悪い。

そんな街で、自転車専用レーンを作ってもそれほど利用者はいないのではないか、そんな疑問を持った。

しかし、ミュンヘンで生活していくうちにその疑問はナンセンスであることに気づかされるのである。

ミュンヘンで生活している人々は、天気が悪かろが寒かろうが雪が降ろうが、自転車に乗っているのである。

日本ではあまり見ないが、きちんとヘルメットをして、防寒着は多くのドイツ人が愛用するjackwolfskinを着用している。お洒落より機能重視である。

また、安全面にも余念はない。先日、とあるドイツ人弁護士が自転車で帰宅するということで見送っていたら、スーツにコートを来て、さらに一般的には工事現場で着用する黄色く発光するベストを着用して、颯爽と自転車で帰宅していった。

このようにファッショナブルという概念よりも自転車にいかにして乗るか、ということを追求しているため、ドイツでは天候を原因に自転車には乗らない、という選択肢はないように思われる。

そして、女性の自転車愛好率にも驚かされる。

私が所属している機関の同僚女性の多くは自転車で通勤している。スイスから来ていた同僚に至っては、自転車を1台スイスから持参したうえ、ミュンヘンで、さらにもう1台自転車を購入してスイスに帰国していった。なぜ2台も必要なのか、最後までわからなかった。

ともかく、ドイツ人(及びドイツ語圏の人々)は、無類の自転車好き、というのが私の率直な感想である。

したがって、自転車専用レーンは、いつも盛況でどんな天気であれ、誰かしら走っている。そして、観光客とおぼしき人が自転車専用レーンの存在を知らず、誤って専用レーンに立ち入って警笛音を鳴らされているシーンは、ミュンヘンでは当たり前の光景となっている。

翻って、最近では東京でも自転車で通勤する姿はよく見かけるようになったが、東京の道では少々あぶなっかしく感じてしまう。現に東京で車を運転していると自転車に乗っている方々と接触しそうになって危なく感じることは少なくない。

この危なっかしさは、おそらく道路全体の狭さ・自転車専用レーンの少なさに起因するのだと思う。

現在、東京オリンピック・パラリンピックに向けて東京都は「東京都自転車走行空間整備推進計画」を策定し、自転車推奨ルートの整備に取り組んでいると聞く。

自転車は運動にもなって健康にも良いし、エコでもあるので、そういった取組みが進むことを大いに歓迎したいところであり、ミュンヘンのこうした自転車専用レーンの整備というのは参考になるのではないだろうか。

【×札幌】

札幌に住んでいた時は、小さい頃から、そして高校に通うときも大学に通うときも自転車をよく利用していた。

当時の札幌にはサイクリングロードなるものがいくつか存在していたが、生活道路に自転車専用レーンはなかったように記憶している。

しかし、調べてみると平成24年から「自転車走行空間」なるものが札幌市中央区北1条通にできたというではないか。

ただ、ミュンヘンでは歩道に専用レーンを設置しているのに対し、札幌では車道にレーンを設けているため、駐停車の車が邪魔であるなどいくつかの問題が指摘されているようだ。

まだまだ改善の余地はあるようだが、札幌市が「札幌市自転車利用総合計画」を策定し、行政として積極的に対応を行っているという点は極めて評価できると思う。

また、近時、(提訴の是非はともかく)大通公園内で自転車と人が衝突し、障害を負った方が「札幌市」に対して損害賠償請求を行っているという報道もなされており、こうした提訴が「札幌市」に対してなされる時代であることに照らせば、一層の対応を求められると言わざるを得ないだろう

札幌の自転車専用レーンインフラ整備の一環として、ミュンヘンの事例が参考になれば幸いである。



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