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【札幌×ミュンヘン】休日の過ごし方-買い物ができない街ミュンヘン

ミュンヘンも寒くなってきており、冬の到来を感じる今日この頃。

今回は、ミュンヘンに来て、もっとも驚いたことの一つ。休日の過ごし方について書いてみようと思う。

ドイツには「閉店法」(Ladenschlussgesetz)という法律があって、日曜日に営業することができる業種が限られているということをご存じだろうか。

具体的には、薬局、ガソリンスタンド、駅、空港、観光地のお店のみが日曜日営業できるとされており、デパートやスーパーは軒並みシャッターを閉じている。

こうした閉店法に関しては、ドイツ国内の他州では、緩和の動きがみられるが、ミュンヘンが属しているバイエルン州は、カトリックの影響が強いため緩和の兆しはあまり見られないようだ。(ミュンヘンはカトリック教徒が占める割合が多く、日曜日には教会に行く人が多いということをよく耳にする。)

閉店法により、日曜日に買い物ができないので、当然、土曜日に買い出しに出かけなければならない。そのため、土曜日のスーパーやデパートは多くの人で賑わうことになる。

では、日曜日をどのように過ごしているのか?

ミュンヘンの人々は、日曜日、家族とゆっくり過ごしたり、自分の趣味の時間に当てているようである。

具体的な過ごし方は様々だ。子供と一緒にサイクリング、夫婦でサイクリング、一人でサイクリング(ミュンヘンの人は本当に自転車が大好き)、趣味のDIYをしたり、自転車や車の修理をしたりしている人をよく見かける。

そして、天気の良い日は、ミュンヘンにあるとてつもなく巨大な公園English Garden(なぜミュンヘンなのに「英国公園」なのかは謎)に集まる。

English Gardenで、日光浴しながら読書している姿や、併設されたビアガーデンで大人はビールを飲み、子供は横にあるアスレチックで遊ぶ家族の姿をみることもできる。また、友人で集まって芝生の上でおしゃべり、家族でピクニックをしている人たちも多い。そして、ときに、日光浴を楽しむ裸族の方々も拝見する・・・。

このように過ごし方は様々であるが、多くのミュンヘンっ子たちは天気の良い日はEnglish Gardenに集まって思い思いの時間を過ごし、5時ごろになると帰宅の途につく。

ミュンヘンに来た当初は、お店がどこも閉店しているせいで、日曜日の過ごし方に戸惑った。正直、時間を持て余した。

このとき、自分がどれだけ休日を買い物などの「消費」に時間を費やしていたのかを思い知ったのである。そして、ポーランドで働く日本人に「東京で働いていたときは考える時間がなかった。」という言葉を思い出した。

ミュンヘンでの時間が経つにつれ、ゆっくりと時間が流れる日曜日に慣れてきて、考える時間も増えた。

「消費生活」と「充電生活」のバランスをとることができてきて、翌週の労働意欲も増した。こういう時間の使い方は日本、特に東京ではなかなか難しい気がする(自分だけかもしれないが・・・)。

ミュンヘンの人々は、日曜日を充電日として過ごし、それ以外の日に一生懸命仕事をする。そんな生活リズムをこの現代でも維持し続けている。

【×札幌】

札幌は東京に比べ、格段に休日をゆっくり過ごせる土地だと思う。自然も身近にあり、大きな公園もたくさんある。夏には大通り公園や円山公園に多くの人が集まり、短い夏を楽しむ。

ミュンヘンと似ている部分は多いように思う。

閉店法を日本に導入すべきという気は毛頭ないが、まったく「消費」しない日を週に一度つくって、天気の良い日は家族でお弁当をもって、大人はクラシック(北海道限定ビール)を持って大きな公園に行ってはどうだろうか。趣味の時間をたっぷりとってみてはどうだろうか。

なぜだかわからないのだが、一日何もモノを買わない、ということが精神的な「ゆとり」をもたらすように思う。

札幌にはそういうことをできる環境がある。

ただ、残念なニュースも聞こえてくる。北大構内の芝生に保育園児が入ることが問題になっていて、大学側はこれを規制しているという。理由は、小さい子が走り回って芝生を傷めるからだ。

大学という社会のなかでもっとも時間の流れがゆったりとしている場所こそ、社会に開かれた場所であってほしいし、広大な敷地の一部を開放するなどして市民の充電の地となるような大学であってほしいと一卒業生としては強く思ったりするのである。





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