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ラストランコンサート


昨日、2024年12月末で引退を表明している名指揮者、井上道義氏のN響定期公演を聴きに行った。

77歳。指揮者としてはまだ若い。

昨今では90歳越えの現役指揮者も珍しくない。

井上道義氏
「自分で始めたドラマだから、終わりも自分で決めたいじゃない?」

なんというかっこいいセリフだろう😎

自分の身体のことは自分が一番よくわかっていらっしゃるのだろうと思う。


NHKホールの観客席は指揮者の登場前から熱気に包まれていた。

後半のプログラム

ショスタコーヴィッチ
交響曲第13番
変ロ短調作品113「バビ・ヤール」

バビ・ヤールの悲劇

バビ・ヤールは、現在のウクライナの首都キーウ近郊にある谷。第2次世界大戦中、当時はソ連 だったこの地に侵攻・占拠したドイツ軍が、2日間で3万人以上という想像を絶するユダヤ人の 大量虐殺を行ない、その後も10万人以上のユダヤ人がバビ・ヤールの地に葬られた。

フィルハーモニー2024年2月号より抜粋


こんなに真剣にプログラムに載っている歌詞対訳を見ながら演奏を聴いたのも初めてだったかもしれない。

ロシア出身の男性歌手(バス)とスウェーデンで設立された90人ほどの男性合唱団のロシア語の研ぎ澄まされた歌声、ハーモニーが静かに胸を打った。

社会主義体制の旧ソ連を生き抜いた芸術家ショスタコーヴィッチの苦悩に、井上氏は自分自身を重ねてきたという。

深く重い題材の交響曲だが、演奏が終わると井上氏はとてもお茶目でユーモラスな表情をみせながら観客の止まないカーテンコールに何度も舞台へ現れ、お辞儀をし拍手に応えていた。

大人気の指揮者だ。

やはり華麗で踊る指揮者というイメージがある。

今年いっぱいとは勿体無いなと正直思った。


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