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【109.水曜映画れびゅ~】"Littele Women"~4つの原作と、2つの映画~

"Littele Women"若草物語は、L・M・オルコットによる自伝的小説シリーズ。

1994年に『若草物語』として、2019年に『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』として映画化されている作品でもあります。

私と『若草物語』の出会い

私が『若草物語』のことを知ったのは、大学2年の時に履修していた「米文学史」の授業でのことでした。その時は「1800年代に女流作家が活躍していたなんて、すごいな」というくらいの感想しか持ちませんでしたが…。

それからしばらく経って、2020年に『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』が日本公開。アカデミー作品賞にもノミネートされ、何よりも私が大好きなシアーシャ・ローナン主演ということもあり、とても気になる一作でした。

しかしその時に頭をよぎったのが「米文学史」で学んだ原作の『若草物語』のこと。私は、信条として、古典的名作の映画化作品を観るならば原作を予習すべき、と思っていました。なので、ミーハーかまして映画に飛びつきたいのをぐっと押さえて、Amazonで『若草物語』を買うことにしました。
(その選択は間違っていなかったと、今振り返って思います。)

すると、なんということでしょうか!
『若草物語』って全4巻もあるんですね!

しかし、もうこうなれば乗りかかった船です。私は全巻購入して、『若草物語』シリーズの読破に臨みました。

ということで今回は、そんな原作『若草物語』シリーズ全4巻に加え、1994年公開の映画『若草物語』、そして『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』の紹介を一挙にしていこうかと思います。

※『若草物語』の映画化は上記の2作以外にもございますが、私はそれらの作品に関して未見ですので、今回の記事での紹介は控えさせていただきます。

4つの原作

まず『若草物語』とは何かといいますと、1800年代に出版されたL・M・オルコットによる"Littele Women"から始まる自伝的小説シリーズのこと。

貧しい家庭のなかで育つ4人姉妹が、理想や夢を思い描きながらも、良心を拠り所に慎ましく生きる様を描いた作品です。結婚などの慣習や当時の価値観に囚われない4姉妹の姿は、私を含め、現代でも多くの読者を魅了しています。

ちなみに、谷崎潤一郎著作の名作『細雪』は『若草物語』をモデルに作られたと言われています。

ということで、
『若草物語』を読み終わった後、
『細雪』も買っちゃいました~

そんな名作『若草物語』全4巻について、それぞれの魅力を交えながら紹介させていただこうかと思います。

『若草物語』

原題は、"Little Women"。

1作目のこの作品は、マーチ家の4姉妹メグジョーべスエイミーのそれぞれの個性を目一杯盛り込んだ群像劇。

貧しい暮らしに文句を垂れるシーンが目立つ4姉妹ですが、様々な事件や失敗を経験し、そして敬虔な母マーチ夫人の支えもあり、多くの教訓を学んでいく姿が明るく描写されています。

様々なエピソードが綴られる今作ですが、私個人的には「第七章 エイミーの屈辱の谷」で描かれる”ライム事件”が一番好きです。

ちなみに、後述もしますが、『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』公開時に、この第1巻に「映画公開記念」の帯がつけられて売り出されましたが、実はこの第1巻は完全な映画原作とはいえません。

『続 若草物語』

原題は、"Little Women Married, or Good Wives"。

『若草物語』から数年後の、大人になった4姉妹の姿が描かれます。

メグの結婚生活、ジョーの作家活動、ベスの病、エイミーの留学…。着実に大人になっていく4人の人生の岐路がそれぞれ描かれています。そして何より、ジョーとエイミーに恋模様が…!?

全シリーズのなかでも、最もドラマチックかつロマンティックな一作。一番人気がある1冊だともいえるかもしれません。

ちなみに国によっては、『若草物語』を第1部、『続 若草物語』を第2部として、1冊で売り出されています。

『第三若草物語』

原題は、”Little Men: Life at Plumfield with Jo's Boys”。

この作品から、4姉妹のお話から次の世代のお話へと転換します。なので、それまではオルコット自身の自伝的な要素も大きかった『若草物語』シリーズも、この作品からフィクションが多分に含まれるようになっています。

作品の中心となるのは、ジョー夫妻が設立したプラムフィールドのベア学園に集まる12人(+α)の少年少女。

活力に満ち溢れた子もいれば、引っ込み思案な子も、読書家の子も、食いしん坊の子なども…。個性豊かな子どもたちの姿と、それを見守るジョー夫妻が、プラムフィールドを舞台にのびのびと描かれています。

個人的には、全4巻のなかでこの作品が一番好きですね。(その理由は後ほど…)

『第四若草物語』

原題は、"Jo's Boys and How They Turned Out"。

『第三若草物語』から数年後が舞台。プラムフィールドで育った少年少女たちが大人へなっていき、仕事を始めたり、結婚をしたりする模様が描かれます。

『第三若草物語』発表後に続編の要望が多数寄せられたことにより、オルコットは筆を執りましたが、今作の最後には『若草物語』シリーズの完結を明言しています。そしてオルコットは、この作品発表の数年後にこの世を去り、この作品以降で筆を再び執ることはなかったと言われています。

2つの映画

ということで、ここまでは『若草物語』の4つの原作について紹介させていただきました。

そしてここからは、映画化された1994年版『若草物語』と、2019年に公開された『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』を紹介させていただこうと思います。

『若草物語』(1994)

戦地に赴いた父が不在のマーチ家で、母のもとで暮らす四人の姉妹。物語は彼女達のときめき、戸惑い、夢に生きる毎日、そしてやがてそれぞれの人生に翻弄されてゆく姿を、叙情的に、かつ新鮮に描いてゆく。

YAHOO!JAPAN映画より一部抜粋

ジョー役にウィノナ・ライダー、マーチ夫人役にスーザン・サランドンが配役。また、マーチ家のお隣に住む青年ローリー役にはクリスチャン・ベールが、幼少期のエイミー役には子役時代のキルスティン・ダンストが起用されており、今なお活躍する俳優たちの若かりし日の姿が見れるのが魅力的な作品です。

ちなみに、音楽は名作曲家のポール・ニューマンが担当。

ストーリーとしては、『若草物語』を前半で、『続 若草物語』を後半で描く構図となっています。ジョーを中心としながらも、4姉妹の群像劇として要素が強く、4姉妹一人ひとりの魅力が存分に伝わってきます。

ただ欠点としては、2冊分のボリュームを1つの映画にまとめているので、原作を知っている立場からすると、終始駆け足気味になっている感が否めませんでした。

また日本語字幕を戸田奈津子さんが担当しているのですが、「エイミー」を「エミー」と訳していたりと、原作ファンからすると少し残念な字幕になってしまっています。

『ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語』(2019)

しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない作家志望の次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、作家になる夢を一途に追い続けていたジョーは、性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと想いを寄せる幼なじみローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進もうとしていたのだが……。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語。

ソニー・ピクチャーズ公式サイトより

『レディ・バード』(2017)、そして今夏の公開を控える『バービー』を手掛けたグレタ・ガーウィグが監督を務めた作品。

第2巻『続 若草物語』を軸にしながら、第1巻の『若草物語』を回想としてはさんで・・・・展開していく構成。その分、1994年版と比べてエピソードを厳選しており、また1巻と2巻の内容を連動を持たせた脚本になっているので、詰め込み感の無いスッキリした印象でした。

そしてなんといっても、この作品は豪華俳優陣の共演が楽しい!

主人公のジョーには、"アイルランドの女神"シアーシャ・ローナン。メグ役にはエマ・ワトソン、エイミー役にはフローレンス・ピューが配役され、今をときめく若手実力派女優が揃い踏みしています。

そしてなんといっても、ローリー役にティモシー・シャラメが大抜擢っ!もうローリー役が彼ほど似合う俳優はいないと思えるほど、適役でした。

さらには、ローラ・ダンメリル・ストリープなどベテラン女優たちも脇を固めて、原作好きの私としても大満足な出来栄えでした。

今後観てみたい『若草物語』

ということで今回は、私の大好きな『若草物語』シリーズの、原作全4巻と、映画化作品2作を紹介させていただきました。

今回紹介した映画作品以外の映画作品やテレビドラマ化作品など、これまで何度もメディア化されている名作小説で、これからもまたこの『若草物語』を原作とした作品が作られると思われます。

そんななかで今回は最後に、今後私が観てみたい『若草物語』の映画化作品の構想をつづってみようかと思います。

少年ダンの物語
『第三若草物語』・『第四若草物語』より

私が映像化を望むのが、『第三若草物語』から登場するダンという少年の物語です。

ダンは孤児の少年。正義感が強いが、貧しい環境で育ってきたことがあり、粗野そやでヤンチャな性格をしています。ジョー夫妻が設立したプラムフィールドで暮らし始めますが、その性格が災いして、目に余る行動を度々起こしてしまい、最終的にはプラムフィールドを追い出されてしまうような男の子です。

このダンというキャラクターが、私にとっては尊い存在なんですよね。すごく生意気なんだけど、心の奥底では更生しようと努める姿が、第3巻と第4巻を通じて節々に描かれていて、すごく応援したくなります。

特に第3巻では、一度追い出されてしまったプラムフィールドから身一つで戻ってくるシーンがあり、私はそのシーンが大好きです。

ということで、このダンに焦点を当てた映画なんかをとても観てみたいなと思います。希望としては『ストーリ・オブ・マイ・ライフ』と同じグレタ・ガーウィング監督で、ジョー役は引き続きシアーシャ・ローナンで、続編的な形で『ストーリ・オブ・ダン』としてやってほしいな、なんて希望を持っておりますが、実現してくれるでしょうかね?

淡い希望を持って、待ってみたいと思います。


前回記事と、次回記事

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次回の更新では、待望のスパイダーマン最新作"Spider-Man: Across the Spider-Verse"スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースを紹介させていただきます。

お楽しみに!


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