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【34.水曜映画れびゅ~】"The Wolf of Wall Street"~レオナルド・ディカプリオによる至高の演技~

"The Wolf of Wall Street"ウルフ・オブ・ウォールストリートは、2013年に公開されたマーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の作品です。

あらすじ

22歳でウォール街の投資銀行へ飛び込んだジョーダンは、学歴もコネも経験もなかったが、誰も思いつかない斬新な発想と巧みな話術で瞬く間になりあがっていく。26歳で証券会社を設立し、年収4900万ドルを稼ぐようになったジョーダンは、常識外れな金遣いの粗さで世間を驚かせる。全てを手に入れ「ウォール街のウルフ」と呼ばれるようになったジョーダンだったが、その行く末には想像を絶する破滅が待ち受けていた。
映画.comより一部抜粋

描かれすぎたウォール街の裏側

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実際にウォールストリートにあるランドマーク

世界金融の中心地 ウォールストリート。

その地において"ウルフ"と呼ばれた男 ジョーダン・ベルフォート

彼の回顧録 『ウォール街狂乱日記 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』が本作の原作。

クスリ、カネ、オンナ…。
すべてに関して狂いきった彼の生涯、そして狂いきったウォール街での日々を綴ったこの本はベストセラーとなったようです。

この本に目をつけたのが、本作で主演を務めたレオナルド・ディカプリオ

マーティン・スコセッシに企画を持ち込み、映画化に至りました。

それゆえディカプリオの製作会社Appian Way Productionsと、ディカプリオ自身が製作として本作にクレジットされてます。

そして映画においても、女性のお尻を叩きながらコカインをむさぼるディカプリオが初っ端から登場するなど、狂乱に満ちたウォール街の裏側をありありと描きすぎている衝撃的な作品となっています。

狂乱へのハミング

そんな本作で最も象徴的なシーンが、ベルフォードがウォール街の一日目に上司のハンナとランチをするシーン。

この食事の場でベルフォードはウォール街での成功の秘訣は「マスかき」と「コカイン」と教えられ、彼のウォール街での非日常的な日常が幕を開けます。

一緒になって胸をたたきながらハミングをする部分が、狂乱へのアンセムとなります。

ちなみに、このハミングをするというアイデアはもともと台本には存在していなかったらしいです。

そのことについて、ハンナを演じたマシュー・マッコノヒーはこのように語っています。

「僕はシーンを撮る前、いつもリラックスするためのルーティンとして胸をたたくんだ。あのシーン(ランチをするシーン)は5テイクほど撮った時点で僕も監督もすでに満足して、それで次のシーンへってときにレオナルドが『ちょっと待って、撮る前に毎回やってるそれは何?』って僕に聞いたんだ。それで理由を話したら『それ、シーンに入れちゃおうぜ』っていうから、そうすることになったんだ」
Matthew McConaughey explains how the famous humming from Wolf of Wall Street is because of him & Leoより

「レオナルド・ディカプリオの最終形態」 ここに在り

そんなハリウッドのトップ俳優 レオナルド・ディカプリオ

そんな彼の最高傑作を聞かれれば、この『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を私は真っ先に挙げるでしょう。

その理由は映画自体が面白いのはもちろん、彼の俳優キャリアの中でも大きな意味を持つ作品に思えるからです。

19歳でアカデミー賞ノミネート
そして世界的大スターへ

若いうちから天才俳優であったディカプリオ。

その証拠に『ギルバート・グレイプ』(1993)において知的障害の青年を演じ、若干19歳でアカデミー助演男優賞にノミネートされます。

その後は『ロミオ+ジュリエット』(1996)、そして今や誰しもが知る『タイタニック』(1997)において、ハイウッドにとどまらず世界的スターへなっていきました。

美少年からシリアス路線へ
ースコセッシとの出会い

しかし『タイタニック』での人気が災いしたのか、その後美少年のイメージが拭いきれず、一時期伸び悩んだといわれています。

そんな中での転機が2002年。
マーティン・スコセッシとの出会いです。

『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)で主演を務めたディカプリオは、ひげを伸ばして髪を長髪にし、今までのイメージを一新。演技も、復讐と従順という相反する感情を持つ複雑な役柄を見事に演じました。

その後も『アビエーター』(2004)や『ディパーテッド』(2006)などスコセッシと度々コンビを組み、演技の実力を着々と蓄えていきます。

シリアスすぎた2000年代後半~2010年代

しかし今度はシリアスな役を演じまくったことで、シリアスな役柄にとらわれ始めます。

スコセッシのほかに、サム・メンデス(『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』、2009)やクリストファー・ノーラン(『インセプション』、2010)、クリント・イーストウッド(『J・エドガー』、2011)といった名だたる監督ともタッグを組みますが、どれもこれも人生のどん底で苦悩を味わうような主人公で常に眉間にしわが寄っていました。

そんなディカプリオに新たな一面を見出させたのが、クエンティン・タランティーノ

『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)にて、悪役に抜擢しました。

非常に表情豊かであるかつ爆発力のある演技を見せつけ、ただシリアスなだけではないことを証明しました。

そして、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』へ

そして再びスコセッシとのタッグに戻り、作り上げたのが『ウルフ・オブ・ウォールストリート』。

スコセッシとしても珍しいコメディ調の本作において、凄まじい演技を魅せてくれています。

この演技を可能にしたのは、人気俳優であるとともに演技派俳優であるディカプリオならではのキャリアの変遷が由来しているのでしょう。

そんなキャリアの集大成の如く、カッコイイ部分もシリアスな部分も、そして新たなコメディな部分もすべての演技を曝け出した本作だからこそ、レオナルド・ディカプリオの最高傑作と言いたくなってしまいます。

最後に:
ディカプリオ+スコセッシが帰ってくる。

この『ウルフ・オブ・ウォールストリート』以来のレオナルド・ディカプリオ主演、マーティン・スコセッシ監督作品が現在進行中。

タイトルは"Killers of the Flower Moon"

FBI誕生秘話についての作品で、現在撮影自体は終了しているとのこと。

公開は早くて来年といったところでしょうか。

ちなみにロバート・デ・二―ロも出演。
ディカプリオとは『ボーイズ・ライフ』(1993)以来、約30年ぶりの共演となります。

期待が膨らみます!


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次回の記事では、今年のアカデミー脚本賞をした受賞作品"Promising Young Woman"プロミシング・ヤング・ウーマン(2020)について語っています。