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【96.水曜映画れびゅ~】"Babylon"~音楽に昇天させられた…~

"Babylon"バビロンは、今年2月から日本公開されたデミアン・チャゼル監督の最新作。

今年のゴールデングローブ賞で作曲賞を獲得し、先日行われた米アカデミー賞においては3部門にノミネートされていました。

☆ノミネート
衣装デザイン賞・作曲賞・美術賞

第95回米アカデミー賞 結果一覧

あらすじ

1920年代のハリウッドは、すべての夢が叶う場所。サイレント映画の大スターのジャックは毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。会場では大スターを夢見る新人女優ネリーと、映画製作を夢見る青年マニーが、運命的な出会いを果たし、心を通わせる。恐れ知らずで奔放なネリーは、特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていく。マニーもまた、ジャックの助手として映画界での一歩を踏み出す。しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。映画界の革命は、大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。果たして3人の夢が迎える結末は…?

公式サイトより一部改編

ハリウッドの栄枯盛衰えいこせいすい

1920年代のハリウッド。

豪華絢爛なパーティーが連日行われるその地で、マニーは豪邸の使用人として働いていた。

象の糞尿にまみれたり、ドラッグのやりすぎでぶっ倒れた女優の介抱をしたりする仕事に勤めながら、マニーは密かに映画製作への夢を抱いていた。

そんなある日のパーティーで、運命を変える二人の人物に出会う。

一人は、駆け出しの女優であったネリー
パーティーに忍び込んでいた彼女は、天真爛漫にネリーと夢を語らい、共にハリウッドで成功することを約束する。そしてネリーは、そのパーティー翌日の撮影現場にて、一夜にしてハリウッドスターへとなってしまうのだ。

もう一人は、大物俳優のジャック
パーティーで泥酔した彼を自宅まで送ったマニーは「俺のつきびとになれ」とジャックに言われ、ハリウッドの世界へと足を踏み入れる。

煌びやかなハリウッドでそれぞれ歩みを進める三人。
そんななか、サイレント映画からトーキー映画へ、時代の潮目が変わろうとしていた。

冒頭30分で昇天したっ!

『セッション』(2014)や『ラ・ラ・ランド』(2016)を世に送り出した”ハリウッドの貴公子”デミアン・チャゼル監督の最新作『バビロン』。

1920年代を舞台に、サイレント映画からトーキー映画へと変わるハリウッドの景色を、時代の変遷に翻弄された三人の人生とともに描く歴史映画となっています。

製作費およそ3000万ドル(約40億円)費やされた超大作の本作ですが、そのなかでも魅了されたのが、冒頭30分もの時間をかけて描かれる当時のハリウッドのパーティーシーン。

ドラッグ・セックス・放尿など、とにかくハチャメチャな無法地帯。人によってはあまりの酒池肉林ぶりにクドさを感じるようですが、私は存分に堪能させていただきました。

何がいいって、とにかく音楽が最高なんですよねっ!

スクリーンに広がるのは、確かに滅茶苦茶アナーキーで、ある種グロテスクな映像なのですが、そこにジャスティン・ハーウィッツの手掛けるジャズミュージックが重なると、たちまちゴージャスな光景へと様変わり!

思わずステップを踏んでしまうほどリズミカルな音調とは半面、どんどんヒートアップしてくる酒池肉林ぶり。しかし気づけば、もう夢中になって見入ってしまっていました。

特にマーゴットロビー演じるネリーが、マニーを誘惑しながらパーティー会場で煌びやかに踊り狂うシーンなんかは、バックで流れる"Voodoo Mama"という音楽と相まり…

もう最高すぎて「一生このシーンが続けばいい」と思う程でした!

これでもかというくらい、最高の音楽に魅せれる冒頭30分。
そのオープニングアクトで私は幸せすぎて昇天して骨抜きになってしまうほど、最高のシーンでした。

好き嫌い分かれる映画…?
私は好きだった!

「冒頭30分に魅了された」とばかり書きましたが、その後のストーリーももちろん・・・・堪能させていただきました。

サイレント映画時代特有の今では考えられない撮影現場の光景

そこからトーキーへと変わりゆく時代の変遷と、その変化に適応できる者と適応できない者の葛藤

そんな今まで知らなかった映画の裏側を存分に体感できる素晴らしい映画でした。

一方で、莫大な製作費にもかかわらず、思ったほどのヒットではなかったという本作。

確かに同監督作の『ラ・ラ・ランド』に比べれば、万人受けはしない作風だったと言え、好き嫌いが分かれる作品かもしれません。

ただ、私はすごく好きでした!
本当に、2023年で今のところ一番好きな作品です。

それは私だけではないようで、ドはまりした人のなかには、劇中で用いられる音楽の"Finale"にのせて『バビロン』のラストシーンさながらの二次創作映像を作っている人が多数います。

同じ”バビロン”ファンとして嬉しく思っていますね。


前回記事と、次回記事

前回投稿した記事はこちらから!

これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!

次回の更新では、今年の米アカデミー賞にて4冠を達成した"Im Westen nichts Neues"西部戦線異状なしを紹介させていただきます。

お楽しみに!