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【9.水曜映画れびゅ~】クリストファー・ノーラン特集"PART II"~”ノーランMYSTERY”の魅力~

クリストファー・ノーランは『ダークナイト』(2008)を含むバットマン三部作『ダークナイト・トリロジー』で監督・脚本を務めた方です。

『ダークナイト・トリロジー』のほかにも見る者を圧倒させる数々の至極の映画を撮られているノーラン監督。

今回は2週にわたり、そんなノーラン作品の魅力を紹介させてもらいます。

第一弾は"ノーランSF"と題して『インセプション』(2010)や『インターステラー』(2014)といった作品を紹介させていただきました。

そんな風にSFの印象が強いノーラン監督。

しかし、その魅力はSFだけにとどまりません。

1998年に長編映画監督デビューをしたノーラン監督ですが、デビュー当時からSF志向だったわけではなく、売り出し中だった2000年代に公開された彼の作品はミステリー映画に偏っていました。

そこで今回はそんな”ノーランMYSTERY”の魅力を深堀してみようと思います。

『メメント』

強盗犯に襲われて妻を失い、頭部を損傷し、約10分間しか記憶を保てない前向性健忘という記憶障害になったレナード。彼は、ポラロイド写真にメモを書き、体中にタトゥーを彫って記憶を繋ぎ止めながら、犯人を追う。 

映画.comより一部抜粋

『メメント』(2000)はノーラン監督の出世作。

封切時は11館だった上映劇場は500館以上に拡大しましたとともに、2002年のアカデミー賞で脚本賞と編集賞にノミネートされ、この作品を機に名実ともに一流監督の仲間入りをしました。

映画の原作は弟のジョナサン・ノーランが書いた短編小説で、ノーラン監督がそれを脚色して出来上がりました。

ネタバレになるので多くを語りませんが、とにかく物語の構成が複雑かつ繊細でありとあらゆる伏線が映画のそこら中に散らばっています。

『プレステージ』

作品のプレビューはこちらから。
(動画が埋め込めませんでした)

"プレステージ"とは手品用語で「最後のオチ」を表す。
ボーデンとアンジャーはかつて同じマジシャンを師に持つ弟子同士であったが、数々の因縁からライバル関係となる。互いに互いに超えようとするため、最高の”プレステージ”のマジックを極めようとする。その極地として二人が達したのが「瞬間移動マジック」。この「瞬間移動マジック」の”プレステージ”の種明かしが、二人の人生を揺るがしていく。

ヒュー・ジャックマンクリスチャン・ベールスカーレット・ヨハンソン、さらにはデヴィッド・ボウイなど、なかなかのメンツがそろった豪華な一作。

原作はイギリスのSF作家クリストファー・プリーストの同名小説です。

これまた『メメント』同様に特殊な物語構成で展開していき、伏線もいたるところに張り巡らされています。

事実、映画開始直後のワンシーンからもう伏線です。

ちょっと語るだけでネタバレになる可能性があるのでもうやめておきますが、とにかく終盤の伏線回収は驚愕の連続でした。

”ノーランMYSTERY”

紹介した2作はSF要素も有りはしますが、映画ジャンル的にはミステリー映画に分類されると思います。

冒頭でも触れましたが、いまでこそSFのイメージの強いノーラン監督は初期の作品では意外にこういったミステリー映画が多いです。

今回紹介した2作以外にも、ノーラン監督の長編映画デビュー作 『フォロウィング』(1998)や2002年公開でアル・パチーノ主演作『 インソムニア』などもミステリー映画となっています。

”ノーランMYSTERY”の魅力

そんな”ノーランMYSTERY”ですが、『メメント』と『プレステージ』の紹介でも触れたようにストーリー構成がかなり複雑です。

特に物語の時系列を異常なほどにいじくってくるので、「今がどの時点の話なのか?」「どのシーンとどのシーンがつながっているか?」など混乱することがしばしばあります。

しかし心配ご無用。

クリストファー・ノーラン素晴らしいのは、最終的にはその混乱は解消すること。

脚本も務めるクリストファー・ノーランは、伏線回収をしっかり心得ているます。

たとえ途中よくわかんなくても、最終的には面白かったとなります。

それは今も昔も変わることなく、前回紹介した「ノーランSF」も基本的には序盤は何が起きているのかよくわかんないですが、しっかりその帳尻を合わせてきます。

それはもしかすると、ノーラン監督の初期作品群”ノーランMYSTERY”で伏線回収の脚本の書き方を極めたからこそ、現在の複雑な物語設定を要した”ノーランSF”が絶賛されるのかもしれません。

さいごに

今回は2週にわたり、クリストファー・ノーランを特集してみました。

『ダークナイト』の監督として認知されていることが多いですが、『インセプション』をはじめとする近年のハリウッドSF超大作を多く手掛ける大人気監督の一人です。

今回の記事ではそんな彼の初期作品群に多いミステリー映画について特集したことで、彼の監督としての新しい一面が紹介できたのではと思います。

このほか第二次世界大戦におけるダイナモ作戦を描いた戦争映画『ダンケルク』(2017)も代表作の一つです。

2018年のアカデミー賞で作品賞や監督賞を含む8部門にノミネートされ、編集賞・録音賞・音響編集賞の3部門を受賞した本作。

かなり評価の高い作品で、奇才クエンティン・タランティーノが2010年代で公開された中でお気に入りの映画の一つと評したほどです。

そんなノーラン作品を、ぜひ!


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次回の記事では、チャドウィック・ボーズマンの遺作となったNetflixオリジナル作品"Ma Rainey's Black Bottom"マ・レイニーのブラックボトム(2020)について語っています。