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【44.水曜映画れびゅ〜】"Skyfall”~今だからこそ、007最高傑作を語りたい!~

今月遂に、007シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開されましたね。

567感染拡大の影響で延期に再延期が重なり1年半の時を経て、待望の公開となりました。

私もつい先日観てきました!
(その感想は記事の後半で。)

ところで現在、007歴代シリーズ全作品がAmazonプライムで配信されているのはご存じでしょうか?

今年の初めごろにAmazonがMGMを傘下にしたことも関係しているのでしょうが、とにかく映画ファンにはたまらないサプライズです!

そんな歴代の007シリーズのなかで最高傑作と名高いのが、今回の記事で紹介する"Skyfall"007 スカイフォール

実はこの『007 スカイフォール』は、最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』へとつながる物語でもあります。

そこで今回の記事では、英国アカデミー賞でシリーズ史上初の英国作品賞受賞した本作の魅力、そして『ノー・タイム・トゥ・ダイ』へと繋がるその世界線をみていきたい。

あらすじ

各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追いつめるが、MI6の長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるが、これを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。

映画.comより一部抜粋

ダニエル・クレイグ版ジェームス・ボンド:
『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』

最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』で見納めとなるダニエル・クレイグによるジェームス・ボンド。

その初登場は今から15年前の『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)まで遡ります。

今でこそ「ダイエル・クレイグといえばジェームス・ボンド!」となっていますが、この一作目の公開までは、今までのボンドに比べて低身長であることやちまたで噂されていたヒュー・ジャックマン待望論などがあり、否定的な意見が多かったようです。

しかし『カジノ・ロワイヤル』の公開でそんな意見をぶっ飛ばしたダニエル・クレイグ。マッツ・ミケルセンとのクールで痺れる心理戦を繰り広げ、英国アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

このように上々のスタートとなったダニエル・クレイグ版007シリーズですが、2作目の『007/慰めの報酬』(2008)は期待に反して残念な出来となってしまいました。

脚本家たちによるストライキが撮影と重なったことで十分な脚本が仕上がってなかったという背景があったようです。

加えて、監督を務めたマーク・フォースターにアクション映画を撮る才能が壊滅的になかったのも一因でした。『チョコレート』(2001)や『ネバーランド』(2004)で高い評価を得たフォースターですが、この『慰めの報酬』と『ワールド・ウォーZ』(2013)で監督としての評判を落としてしまいました。

復活をかけたドリームチーム

『慰めの報酬』の酷評により評判を落としてしまったダニエル・クレイグ版007ですが、再起をかけて製作された『007 スカイフォール』は前述のとおり英国アカデミー賞英国作品賞を獲得するほどの大傑作となりました。

その理由は一新された製作陣をみれば明らか。

アカデミー賞常連の史上最高峰のドリーム・チームの手によって『スカイフォール』は作られたのです。

サム・メンデス

監督を務めたのはサム・メンデス

長編映画デビュー作の『アメリカン・ビューティー』(1999)にて彗星の如く現れ、アカデミー監督賞受賞した天才監督がメガホンをとりました。

『アメリカン・ビューティー』や『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008)などでみられるように、登場人物の複雑な心理を描写することに長けているメンデス。

彼の下で作られた『スカイフォール』も例外ではなく、自身の衰えに直面する新しいジェームス・ボンドの姿を我々に見せてくれました。

ちなみに次作『007 スペクター』でも監督を務めましたね。

トーマス・ニューマン

音楽を担当したのは、アカデミー賞ノミネート回数15回を誇るトーマス・ニューマン

『ショーシャンクの空に』(1994)や『ファインディング・ニモ』(2003)、『ウォーリー 』(2008)などの音楽はこの人の手によって作曲されました。

またニューマンとメンデスは盟友であり、『アメリカン・ビューティー』以来ほとんどのサム・メンデス監督作品の映画音楽を手掛けています。

そんな彼が歴代で脈々と受け継がれてきた007の音楽に新たなるエッセンスを加え、なんと007シリーズとしては異例のアカデミー賞作曲賞ノミネート、さらに英国アカデミー賞においては作曲賞を受賞してしまいました。

ロジャー・ディーキンス

極めつけは、アカデミー撮影賞ノミネート15回/受賞2回を誇るロジャー・ディーキンスが撮影監督を務めました。

『ノーカントリ―』(2007)や『1917 命をかけた伝令』(2019)など「名作にこの人あり」とよく言われます。

ディーキンスといえば『ジェシー・ジェームズの暗殺』(2007)などで象徴的な”逆光を利用したシルエットシーン”

本作では初っ端からそのディーキンスの技術フル回転で、真っ暗なところから徐々に明らかになっていくジェームス・ボンドの姿に大興奮です。

さらに注目なのはオレンジの背景。

燃え盛る炎を映すよりもオレンジ色に染まった空をバックに撮影を展開する手法で、スクリーンに美しい情景を映し出しました。後に撮影監督を務めた『ブレードランナー 2049』(2017)でも同じ手法が使われましたね。

その素晴らしい映像美で、ディーキンスはアカデミー撮影賞にノミネートされました。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』へと繋がる物語

このようなドリーム・チームにより、『スカイフォール』は大成功。
興行収入もシリーズ歴代最高を記録したとのことです。

さらに、この『スカイフォール』は現在公開中の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』をより楽しむために欠かせない作品でもあるのです。

というのも、前2作の『カジノ・ロワイヤル』と『慰めの報酬』はストーリー性に繋がりのある連続的な作品でしたが、この『スカイフォール』からその世界線が一新されました。

そして『スカイフォール』から始まる物語は、次作『スペクター』そして最新作の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』へと繋がっていき、一種のトリロジーとなっているのです。

実際に『スカイフォール』から参戦したレイフ・ファインズナオミ・ハリスベン・ウィショーがこの3部作で欠かせないキャラクターを演じおり、それゆえ『スカイフォール』が『ノー・タイム・トゥ・ダイ』を理解するうえで重要な作品といえるのです。

なので、もしこの記事をご覧になっている方で「『ノー・タイム・トゥ・ダイ』見たいんだけど、ストーリーが知らないからなぁ…」なんてお思いの方は、ぜひ『スカイフォール』からの予習をお勧めします!

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』:
ダニエル・グレイグの有終の美を、ぜひ劇場で

ということで今回は、007シリーズ最高傑作として名高く、最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』へと繋がる物語の出発地点でもある『007 スカイフォール』の紹介をさしていただきました。

そして最後に現在公開中の最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』についてちょっとだけ感想を記そうと思います。

まぁ一言で言えば…

めっちゃ面白い!

今回の作品ではサム・メンデスが監督を退いたため正直言ってあまり期待してない部分があったのですが、「そんなこと思って申し訳ありませんでした!」ってエンドロール中に反省しました(笑)

なんといっても最大の見どころは、15年間ジェームス・ボンドを演じきったダニエル・グレイグの集大成ですね。しかも今まで通りのクールな一面もありつつ、また新たな一面を魅せてくれて最高でした!

そしてもう一つの見どころとしては、音楽。

トーマス・ニューマンの跡を引き継いだハンス・ジマーの音楽が本当に素晴らしかったです。

もしかしたら『スカイフォール』以来のアカデミー作曲賞ノミネートがあるかもしれません。

現在全国で絶賛公開中。
まだご覧になられてない方は、ぜひ劇場で!


前回記事と、次回予告

先週投稿した記事はこちらから!

これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!

来週は、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)以来となるマット・デイモンとベン・アフレックの共同脚本作品"The Last Duel"最後の決闘裁判をレビューしようと思います。お楽しみに!