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【45.水曜映画れびゅ~】"The Last Duel"~マット・デイモン×ベン・アフレックが帰ってきた!!~

現在公開中の"The Last Duel"最後の決闘裁判

『エイリアン』(1979)や『グラディエーター』(2000)など数々の名作を世に送り出してきたリドリー・スコットの最新監督作品です。

あらすじ

1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語を描く。騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は罪人として死罪になる。そして、もし夫が負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑を受けることになる。人々はカルージュとル・グリ、どちらが裁かれるべきかをめぐり真っ二つに分かれる。

映画.comより一部抜粋

マット・デイモン×ベン・アフレック、共同脚本!

本作の脚本には、俳優のマット・デイモンベン・アフレックが携わっています。

この2人による共同脚本作品というのは実に24年ぶり!
伝説のタッグ復活に大興奮です!

その24年前に共同脚本を務めた作品が『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)。

当時全くの無名だった彼らにアカデミー脚本賞をもたらしました。

オスカー受賞の瞬間に興奮を爆発させる初々しさたるや、印象的ですよね。2人とも若い!

『グッド・ウィル・ハンティング』以降、一気にスターダムを駆け上がった二人。

マット・デイモンは『ボーン・レガシー』シリーズで主演を務めるなど、世界的な人気俳優となり、ベン・アフレックは俳優活動とともに映画監督としても活躍して2013年には『アルゴ』(2012)でアカデミー作品賞を受賞して再びアカデミーの壇上に立ちました。

現代版『羅生門』

そんな二人が再びタッグを組んだのが本作『最後の決闘裁判』。

物語の舞台は中世フランス。

起点となるのは、マルグリットという一人の女性に起きた強姦事件。

しかしその事件に目撃者はおらず、真実の行方は最終的に決闘裁判に委ねられます…

「では、その事件の真相はいったい何だったのか?」

決闘裁判を前に、マグリット、マグリットの夫であるカルージュ、強姦をしたとされるル・グリの3人の視点でそれぞれの真実が描かれていきます。

しかしその描かれる真実というのは、それぞれの視点で異なっているのです。

ここまでの物語の筋書きでなんとなく既視感がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そう、つまりこの作品は現代版『羅生門』(1950)なんですよ。

世界に黒澤明の名を知らしめた名作『羅生門』。
一つの出来事を異なる人物視点で描き、人間のエゴイズムを見事に捉えたこの作品は後世の映画作品に多大な影響を与えました。

その『羅生門』的ストーリーテリングが、本作においてほぼ忠実に再現されています。

実際に監督を務めたリドリー・スコットは、マット・デイモンからオファーの連絡を受けた際に「(マットは)取り憑かれたように『羅生門』の話をしていた」と明かしており、『羅生門』を強く意識して脚本が執筆されたことがわかります。

ちなみにマット・デイモンとベン・アフレックに加え、『ある女流作家の罪と罰』(2018)でアカデミー脚色賞にノミネートされたニコール・ホロフセナーも共同脚本として名を連ねます。
マグリット視点の物語は、彼女が執筆したとのことです。

一味違うぞ、マット・デイモン!?

そんなこの超大作は、豪華キャストが彩られます。

エ三―賞や英国アカデミー賞受賞経験のあるジョディ・カマーや、『ブラック・クランズマン』(2018)や『マリッジ・ストーリー』(2019)の名演でオスカーに最も近い俳優の一人といわれるアダム・ドライバーらが熱演。

そして、脚本を務めたマット・デイモンも主演を務めました。

私、正直言ってこれまでマット・デイモンのこと「ハリウッド版木村拓哉」だと思っていたんです。

いつも「自信家で」「責任感が強くて」「正義感がある」みたいな同じような役柄を自分色にその役を染めあげている印象で、下手とは思わないけど「マット・デイモンはいつもマット・デイモンだなぁー」って思ってました。

しかし、今回のマット・デイモンは一味違いました!

今までのマット・デイモン感だけではなく、物語が進むにつれて新たな一面が明らかになっていくのです。

すみません…私はマット・デイモンのことをあなどっていました…(笑)

また同じく脚本を務めたベン・アフレックも出演。
演技への評価はイマイチな彼なのですが、本作の演技は個人的に好きです。

まだまだ精力的なリドリー・スコット

見どころ満載の『最後の決闘裁判』。

その脚本や演技などにより、今年度の賞レースを賑わすことを楽しみにしています。

それはもちろん、この映画をまとめあげた監督のリドリー・スコットも例外ではありません。

そんなリドリー・スコットは長年第一線で活躍してきて現在83歳なんですね。

しかしまだまだ現役バリバリで、『最後の決闘裁判』が公開したばかりなのに、もう一つの新作『ハウス・オブ・グッチ』の公開もすぐ控えています。

しかもこれもこれで、賞レースに絡んできそうな大作感…。

またホアキン・フェニックス主演でのナポレオンの伝記映画の製作も現在進行中とのこと。

さらには、アカデミー賞作品賞を受賞した監督作品『グラディエーター』(2000)の続編にむけ、脚本を執筆中であることまで明かしています。

なんちゅうバイタリティだよって突っ込みたくなる一方で、どれもこれも面白そうなんですよね(笑)。

今後のリドリー・スコットにも目が離せません!


前回記事と、次回予告

先週投稿した記事はこちらから!

これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!

来週は、若き環境活動家グレタ・トゥーンベリを追った"I Am Greta"グレタ ひとりぼっちの挑戦をレビューしようと思います。この作品は、先週から劇場公開がはじまっています。

お楽しみに!