創業社長はやっぱり偉い
仕事柄、色んな経営者の方とお話をする機会があります。
しかも、その人なりの仕事論や経営哲学についてトータル10時間くらいは話すので、最後の方にはめっちゃくちゃパーソナルな話を聞くことができるのが役得だと思っています。
多くの企業のサイトやビジネス書には、基本的には他者やクライアントや株主の顔を気にした、堅くて当たり障りのないことが書かれています。正直、それってつまり、つまんないわけです。
ちょっと話が脱線しますが、僕はいろんな社長の話を聞いてきた中で、めちゃくちゃおもしろいことやってんなーって思うことがしょっちゅうあります。それで、そのおもしろ出来事を構成に織り込んで、本の流れみたいなのを提案するのです。
そのときは、社長も取り巻きの人たちもノリノリ。これは面白い本になるぞ、と。
しかし、取材が進み、原稿があがり、デザイン組みが始まるくらいで様子がおかしくなるのです。ノリノリだった彼らはだんだんトーンダウンしていって、だいたいの企業は「やっぱり過激な表現は控えてくれ」だの「この部分はユーザーがみたら不快に思うだろうから削除してくれ」だの「株主が……」だの「取引先が……」だの、だのだの言ってくるようになります。
そんなわけで最終的にできあがるのは当たり障りのない、ふつうの本。僕はいわゆるアーティストではありませんので、お客さんが「だの」と言ったら素直に変更します。
もちろん、最終的にこうなりますよって最初に忠告してから打ち合わせはスタートします。「↑こんな感じになりませんか?」と。それでも最初は「うちは大丈夫だから」と皆様超強気なのです。だから僕も、最初から半分くらいはひっくり返ると思いながら企画を考え、だのだの言い出したら「ですよねーwwww」という感じでこっそり考えておいた当たり障りないバージョンの構成を差し出すのです。そこにはショックも憤りもありません。
ただ、極稀に、そんな空気を切り裂いて、思い切った構成、表現のまま世に出た本もいくつかあります。その時は社長と「本当にいい本ができたねえ」なんていって1杯やったりするわけです。まあ、面白いからといって、そのすべてが超売れたかっていうと、そうでもないんですが。
で、結局なにがいいたいかっていうと、経営者はやっぱりすごくて、特に創業それなりの会社の創業社長は飛び抜けてるってことです。その人の懐に入って話を聞くとアホほど刺激を受けます。多分、取材って形で何時間も色んな話をしないと聞き出せないことも多いから、僕はこの仕事が好きなんだと思います。経営者だけでなく、色んな人に色んな取材してますが、だいたい全部楽しいし刺激もらえます。
自分にない発想を知ったときや、自分が常識だと思っていたものがガラガラと崩されていくのは、一種の快感でもあるくらい。
そんな体験を僕は皆さんにもしてほしいと思っています。経営者などのスゲー人たちは、そのことをスゲーと思っていないし、思っていたとしても上記のような理由からそれを発信することができないのです。
ということで、今後はポツポツと僕が代わりに発信していきます。まあ7割方、単純に「コレ、この考え、すごくね?」ってことを共有したいだけなのです。企業名を伏せたり、本質でないところは変更したり、と編集者固有スキル「脚色」をふんだんに盛り込みながら紹介していくので、違和感があるかもしれませんが、そこはまあ、そこはまあ、ということで。
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