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「その他大勢」の心理

かしこい経営者のお話シリーズ

僕はビジネス、行動、深層心理などについて詳しくないので、今日の話も含め、今後僕が経営者から「こんな話をきいた」ということが「それって●●の●●行動心理ってやつで、100年前に論文が出てる有名なやつだろ」っていうことがあるでしょう。でもその辺はくれぐれも、あんまり追及しないでください。と、先に言っておくことにします。

そういうわけで、学がない僕は、経営者が自信満々、ドヤ顔でお話してさえいれば、超絶フレッシュなリアクションをとってしまうのです。たとえそれが、ビジネス界では超メジャーな手法や戦略であったとしても。

製造業の創業社長のお話。

創業うん十年の創業社長のなかには、特許を取得した経験がある人がちょくちょくいます。ふわふわの氷がつくれるかき氷機の刃の部分の特許をとった、とか、ガソリンスタンドでは火器や電気機器は危ないので、エアーポンプの力を利用したシステムの特許をとった、とか。もちろんその人たちが特許をとったのはずいぶん昔の話です。

そういう人たちに、どんな時に着想するか、とか、普段どんなことを考えているのかを聞いていくうち、いくつか共通点があることに気づきました。ざっくり、以下3つ示します。

①常に不満をもっている

②「こうすれば人々は喜ぶ」と打算なしに考えている

③常に逆張りの判断をするよう心掛けている

それぞれ説明します。

まず①。これは「既にあるもの」に対する不満です。なんで自分でドアを開けなきゃならんのだ、という不満から自動ドアが生まれ(知らんけど)。なんで自分で団扇であおがにゃならんのだ、という不満から扇風機が生まれ(知らんけど)。というふうに、既にある当たり前を当たり前と思わず、いつも「こうすればもっとよくなるんじゃね」ということを考えています。まあ、なんとなくわかりますよね。

つぎに②。実はこの辺が難しいのかなって思います。常人でも「こうすれば人々は喜ぶ」ってことを考えることはできますが、その先で「で、その結果自分はどのくらい儲かるはず」とか「称賛される(承認欲求が満たせるってこと)」などと考えてしまいがちです。もちろん、そういう打算しまくりでも画期的な発明をやってのける人もたくさんいるでしょう。だけど、僕が色々話を聞いている限り、そういうのは副賞としてついてきたって感じに思っている人が多かったです。素直に、純粋に、誰かのために汗をかいた人の生み出したものって、打算にまみれたものとどこかが違うのだろうな、と思った次第です。

さいごに③。これは改めて考えると「そりゃあそうだよな」案件なのですが、やっぱりその他大勢と同じ枠組みの中で考えたり、行動したりしているうちは、画期的な発想はできないし、成功しない、ということです。面白い発明をした人たちの多くは「みんな制服を着て面白くなかったから、自分は短パン半袖で学生生活を過ごした」とか「子どもにゲームがほしいとせがまれたので、当時海外のビジネスマンが遊んでいたカードゲームを与えた」とか、それが何になるの? っていうとんちめいた行動をとっていたのです。このように、普段から逆張りというか大衆とは反対の方を常に見ているっていう姿勢が、結果的に斬新な着想の元になっているのです。多分。

脱線しますが、かくいう僕にも③の経験はあるんです。中学の美術の時間に「地元の美しい自然をキャンパス上に表現しましょう」という授業がありました。クラスメイトが各々地元の名所を描いているのを尻目に、僕はひとりスケッチブックを携えて学校の横を流れている川へ行きました。

そして、画用紙にたっぷり川の水を染み込ませて教室に戻り、水でしわっしわになった真っ白な画用紙を「美しい地元の水」として提出しました。この発想にたどり着いたときは、「ワイは平成の一休さんや!」と一人興奮したものです。

その後、当然のように先生にスケッチブックで頭をなぐられた僕は、納得がいかずブツブツ文句を言いながら適当に山の絵を描いて投げるように提出したものです。

この経験はそれまで苦い思い出として記憶されていたのですが、こういう経営者の話を聞いているうちに、ああ、あれは③だったんだ、と思うことにしたのでした。

以上

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