見出し画像

私の推し『蒼天航路』勝手に解説① 「袁術」から学ぶ「馬鹿」の正体(正確には一側面)

本当は画像として袁術の間抜け面を載せたかったのですが、無断転載コピーはダメなのでできません。ま~これくらいならいいかもしれませんけどね。どうせネットの画像検索ではそれなりに出てくるしで。却って宣伝になるしで。

 蒼天航路とは 悪名高い「曹操」を主人公にした三国志のお話です。

 テーマはこれ

 「悪人は本当に悪人だったのか?」

 ということですね。

 この漫画は一世を風靡した漫画です。私は1巻目からドクンドクンと胸が高まりました。面白かったです。

 袁術は、「伝国の玉璽」を孫策と孫権の二人から渡されます。(正確には、袁術にはどうせ使いこなせないと考えた孫権によって。)そして大喜び。「伝国の玉璽」は、「それを失った者が国を失い、それを得た者が国を得る」という伝承を持っていたのです。袁術は、それを手に入れることで、「自分が国を得た」と考えてしまうのでした。

 袁術は劉備からも「馬鹿」だと言われています。さて、袁術が馬鹿なのは、一体なぜなのでしょうか。この伝承が嘘だというのでしょうか。

 そのバカさ加減が最も如実に現れたのが、天子僭称事件でした。

 つまり、「人からの評価をそのまま鵜呑みにした」ということです。どういうことかというと、「それを得たものが国を得る」というのは、その人間に国を治める力があるとまでは言っていません。玉璽はただの物なのです。にもかかわらず、袁術は「自分が国を治める力を持っているのだ」とまで考えてしまったのです。そして、自分が天子であると僭称し、「聖戦」の名のもとに曹操に勝負を挑んで、完敗します。

 ただ、ここでかなり辛口なことを言います。私は、この世界に住んでいる多くの人間たちが、「袁術」と同じ気質を持っていると思っています。

 どういうことかというと、あなたが親であるならば、子がいますね。あなたは「親」だから、「子ども」を教育する義務がある。と言われています。「親」は「子供」を教育するものだとか、いろいろなことが巷で言われているわけですね。そして、あなたの「親」も、「親」であることを理由に、あなたにいろいろなことをしてきたと思います。

 ところが、これらは全て「袁術思考」なのです。「親」だからといって、「子供を育てられる能力がある」わけありません。親が自分の子供に言うことが、全て子供のためになったり、正しかったりするはずがないのです。だけど、多くの親は、自分が親であることを頼みに、子供よりも自分の言うことや、考えることが正しいとまで思っているのです。

 これは、「親」という「玉璽」を与えられた人間が、「子を治めることができる」と考えたに等しいのではないでしょうか。

 例えば、学校の先生。「教師」という「玉璽」が与えられれば、「自分は生徒を教育できる力が備わっている!」と考えている教師は多いのではないでしょうか。

 他の職業だって、なんだってそうです。「~士」「社長」「部長」そういった肩書や資格という「玉璽」を与えられれば、自分にはそれだけの力があると考える。

 人の中には尾ひれがついて、「上司」は「部下」に命令ができる。という「玉璽」を貰って、意気揚々と人権侵害に走る上司もいるわけです。そういうやつらを見たら、「あ、この人、袁術タイプだな。」って思っていいでしょう。

 つまり、「袁術」タイプの馬鹿とは、自分の身のほどを全く分かっていないということ。(その割には自分が上司でお前は部下なんだから、部下の分際で~みたいなことを言ってくる。)自分を客観的に捉えることができないということ。周りの評価が自分の価値だと思っているということ。本来何のための上司か、何のための資格か。そういったところが全く理解できておらず、人間の基礎が全くなってない。自分の欲を思う存分満たせるためのお墨付きをもらったような感覚になる。そういったところですね・・・。

 孫堅は、伝国の玉璽を手にしながらも、それを全く表には出しません。袁術のように、印籠として用いないのです。これ持ってるからすごいでしょ!すごいでしょ!じゃないのです。これだと、印籠しかないんかあんたは・・・みたいになってかっこ悪いんですよね。
 それと同様に、僕の資格すごいでしょ!すごいでしょ!みたいになると、「あんたはあんたじゃなくて資格なんだね。」みたいになって、逆に「資格」に完全に負けている人間に見えてくるのです。

 孫堅と袁術 これが何気なく対照的に描かれているところにも注目していただきたいですね。ちなみに孫堅のシーンは第6巻に出てきます。

10巻が袁術の討伐の巻です。文庫本とか、いろいろな形式で販売されていますから、形式によって違います。この本は不朽の名作と言えるでしょう。一生に一度は読むべき本。私の「推し」の本です。



この記事が参加している募集

私のイチオシ

推しのコミックエッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?