「1on1が噛み合いません。どうしたらよいでしょうか?」

「違う部署の後輩と1on1をやっています。私はこういう機会だからこそ、彼にはこの場でもっと将来のキャリアについて考えてほしいと思っています。でも彼はいつも目の前の仕事についてのアドバイスを求めてきます。なんだか噛み合っていない感じがして、とてももどかしいです。彼に対してどのように接するのが良いでしょうか?」

最近ある企業にお勤めの方からこんな相談を受けました。
みなさんならそんなとき、どうしますか?
そして実は他人事ではなく、これに似たようなお悩みを抱えている方は意外と多いのではないでしょうか…?

導入の進む1on1。その一方で…

今では1on1という言葉もかなり浸透してきていますね。
3000名以上の企業では75.7の企業で1on1を施策として導入しているそうです(リクルート調査より)。かなりの浸透具合です。

一方、その実態としては「1on1をやらされている」と感じている方が多いのではないかというのが僕自身が多くの企業の方とお話している中で感じていることです。

その理由として考えられるのは、こんなところではないでしょうか?

  • 1on1を受けたことがないのに、どうやったらいいのかわからない

  • ちょっとコーチング的な集合研修を受けたところですぐに実践できない

  • すぐに効果が出るわけでもないので、楽しくない

  • 仕事も忙しいし、優先度としては下がってしまう

リアルですね…
そうなんです。1on1を効果的に、そして持続的に回していくことは、かなりハードルの高いことなのです。
とは言え、エンゲージメントやWell Beingと言ったテーマが経営にも直結しているこの2022年の組織においては、やらないという選択肢もないのです。
そんな中でもがきながらも立ち向かっている方々のために、まずは冒頭で出てきたようなお悩みについて書いてみたいと思います。

関心を持つこと

さて、前置きを挟みましたがお悩みはこちらでした。

「違う部署の後輩と1on1をやっています。私はこういう機会だからこそ、彼にはこの場でもっと将来のキャリアについて考えてほしいと思っています。でも彼はいつも目の前の仕事についてのアドバイスを求めてきます。なんだか噛み合っていない感じがして、とてももどかしいです。彼に対してどのように接するのが良いでしょうか?」

ご本人も自覚されている通り、噛み合っていないようですね…
と同時に「この機会を活用してほしい、この人には大きな可能性があるはずなんだ!」と後輩さんに対して想い・願いを持っていることも伝わってきます。ご本人にもお伝えしましたが、まずそんな想いを向けてくれている先輩を持っていること自体が、後輩さんにとってはとても幸運なことですよね。

僕自身も部下として経験したことがありますが、「無関心」が実は一番関係性にヒビをつくります。上司が部下に対して無関心なチームと言うのは、必然的にメンバーのエンゲージメントが下がります。ある調査結果では、そのようなチームで「エンゲージしていない」「全くエンゲージしていない」メンバーは97%にものぼります。いわばチームとして崩壊している状態です。(Managers Account for 70% of Variance in Employee Engagement, Gallup)

今回の相談者の方は、まず後輩さんに対して関心が「ある」状態です。なので僕自身相談を受けたとき「全然ヤバい状態ではないし、むしろ素敵だなぁ」と感じていました。

期待値を合わせる3ステップ

で、「噛み合っていない」というところに話題を戻します。
たしかに噛み合ってなさそうです。
ただ、それをご本人は自覚されています。

STEP1:
今1on1を実践している、もしくは上司から1on1を受けている、という方は、今一度「噛み合っているかどうか?」「噛み合ってる度は何%ぐらいか?」考えてみて下さい。

STEP2:
次に、その問いを1on1の場に出してみて、お互いが感じていることを言葉にしてみるのも良いと思います。
自分は噛み合っていると思ってたけど、相手はそう思っていないかった!ガーン!みたいなこともあるでしょう。逆もまた然り。
そしてこれはあらゆる人間関係でも当てはまります。

STEP3:
その上で、この時間をどんな時間にしたいのか、つまりこの時間に期待していることや、この時間を過ごした後に自分がどんな状態になっていたいのか、ということをできるだけ具体的に出し合ってみてはいかがでしょうか?
このステップを踏むことで、お互いの想いが言語化され、初めて相手に伝わります。少しずつ、二人の間の関係性にも変化が生まれはじめます。

加えて言うと、例えば人によってその場をフェアな場、つまり完全に対等な立場で対話をしたいと思う人もいるでしょうし、上下関係がしっかりとあった上で経験などから教えを請いたいと思う人もいるでしょう。
そしてそれは毎回同じではないはずです。そのとき話したいことによって変わってくるはずです。
そのため、これらのステップは1on1の度に毎回やっても絶対に損しません。

一番大切なこと

そして一番大切なことがあります。

「この時間は誰のための時間なのか?」ということです。

もちろん絶対的な正解はありませんが、1on1を受ける側、つまり話を聴いてもらう側にある場合が多いかもしれません。

その問い・意識を持った上で先ほどのステップを踏むと、「自分が正解を持っている/持たなくてはいけない」という意識から解放され、「二人で一緒にその場でつくっていく」という意識に徐々に変化していきます。

「魔法の杖」は存在しない

1on1はつまり対話です。対話とは人間関係そのものです。
仕事以外のプライベートの場でも皆さん散々経験されてきている通り、人間関係において一瞬で効果の出る魔法の杖は存在しません。
地道に、その場その場での関りが関係性を育んでいきます。

僕の敬愛するミスチルの桜井さんもこのように歌っています。

「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返して僕ら
人恋しさを積み木みたいに乗せてゆく

Mr.Children 「Sign」

そう。人間関係は、積み木です。
焦らず、じっくりと、真摯に向き合っていく。
もちろん、その過程でうまくいかなくなることもあります。
想いがあるからこそ考えすぎてしまうこともあるでしょう。

そんなときに一番助けになってくれるのは、やはり相手への「関心」なのではないでしょうか。


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