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社会人ドクター生活〜テーマ設定と執筆

社会人ドクターが規定の3年間で学位を取得する場合には、適切なテーマ選定が最重要課題と言ってもいいかもしれない。
難易度なり研究対象の粒度が小さすぎて、手を動かせばすぐ解決するような問題であればそもそも研究になり得ないし、かと言ってテーマが壮大すぎると結局何も成果が得られぬままま3年間が終わりました、ということにもなりかねない。


もちろん、走り出してから(入学してから)軌道修正というのでも問題ないのだ
が、無駄な時間を過ごさないために、一直線で修了に向かうために、入学時点でなるたけ明確になっていることが肝要だと思う。
ちなみに、定年後に博士課程に進んだという70歳近い知人は、入学してから2年後にテーマを変更、今5年目の学生生活を送っている。生き方として、それはそれで魅力的ではあるのだが、「最短距離で」というのが特に仕事も組織の中心を担う年代で社会人ドクターに通うにとに取っては至上命題だろう。

自分は割と当初設定したテーマから寄り道せずに論文を書き上げることができた。
今考えると、この要因としては
・入学前に、計画をA4一枚にまとめて指導教官と複数回打ち合わせを重ねたこと
・学生時代の早い段階で既往研究のレビューを丁寧に行ったこと
・D論着手前に目次の構成(枠)を考え、執筆を作業としたこと
が挙げられる。

特に、3番目は大事だったように思う。
仮説思考というビジネス書の名著にも多くの実績を残している科学者の論文執筆の方法が引用されている。それによると、実験をする前に論文を書き上げてしまうそうだ。
多くの場合、実験をして、結果を見てどのような論文を書くという流れだろうから、いわば逆のアプローチという訳。

先に論文を書き上げてしまうと、
こんな実験結果が得られたから→こんなことが言える
というのではなく
こんなことを言いたい→だからこんな実験をする
という思考プロセスになる。
勢い、実験の目的も明確になり余計なケースの実施も減る。さらに、期待していた結果が得られない場合にも、もともと想定していたものからのズレとなるので、それ自体も論文なり研究の種になるという一石二鳥なわけ。

実際に着手すると、(自分が優秀じゃないことも相まって)遅々として執筆が進まない。ここに句読点を打つのか、この用語で適切か、文章に過不足はないか、段落わけは適切なのか・・・・くだらない話かもしれないが、本当にこんなこと1つ1つに頭を悩ませながらの作業となる。
(D論を書き上げてから、世に出回っている書籍のありがたみがました気がします・・笑)
多分、パラグラフライティング的に目次とその内容のメモを作ってから執筆に取り掛からなかったら、とんでもない時間を浪費してしまっていただろうと思う。

社会人ドクターの強みは、もしかしたらこんな「会社で得たHACKS」的なものを執筆に応用して多少なりとも効率的に進められることかもしれない。

パラグラフライティングについて解説された書籍も複数出ておりますので、参考になるかもしれませんね。



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