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(本)ビジネスパーソンのための「言語技術」超入門-プレゼン・レポート・交渉の必勝法

日本人の質問下手、プレゼン下手というのは、ビジネス書界の枕詞のようになっています。
”欧米では小さい頃から人前でプレゼンをし、授業でも議論に参加しないと良い成績が得られないという環境なのに対し、日本では〜 などという文言。何度見たことか・・・。クリシェ?”本書では、そんな言い古された日本人批判に対し、”言語技術”という観点から理由を探りつつ、解を提示して来れています。

言語技術とは、英語のLangauge Artsの訳語であり、それは文字から語彙、綴り方、文法、そして聞き方、話し方、読み方、書き方、考え方までを包括的に含む、言葉を操るまでの全ての技術の総称である。

自分も会社に入って、
「先輩になんでも質問してね、と言われたが何がわからないかもわからない」
「なんとなく言いたいことは頭の中にあるが、それを言語化して伝えられない」
「頭の中では大層な考え・アイディアが浮かんだように思えても、文字にするとなんか足りない気がする」
と言った経験を山ほどしてきました・・・。
本書を読むと、それらの苦しみの原因が、単に”プレゼンの機会が足りなかったから”、”質問の訓練が不足しているから”ではなかったことがよくわかります。

・そもそも、日常生活において「結論・主語・理由」を明言する機会が少ない
例えば好きな食べ物はなんですか?」と聞かれた時、どう答えますか?
恐らく、多くの人は「(料理名、素材名)かな〜」という名詞レベルでの返答で終わっているのではないでしょうか。
著者は、日常生活レベルでこの、「結論・主語・理由」を言語化して表現することをトレーニングすることを推奨しています(問答ゲーム)
確かに、プレゼンや他人に説明するときだけ、突如切り替えてそれらを立板に水で話すというのはちょっと想像しづらいですよね。
三森さんの講座に参加すると、こう言ったことを徹底的に”詰められる”訓練ができるそうですが、これについては日常生活レベルで気をつければある程度の能力向上は図れる気がします。というより、社会人生活はこれらの訓練の格好の場かもしれません。
提案のAとB、どちらが良いかと会社で問われたとして、「なんとなくA!」と答えるわけにはいかないですからね・・・
・結論は何か
・なぜそう思ったのか
なんとなく頭の中ではアイディアがあるけど・・・というレベルではなく、ぜひ発言としてでも、文章でも良いので、言語化するトレーニングを積み重ねましょう。

空間配列型の説明
本書で自分にとっての一番の学びは、この空間配置型の説明、でした。
人に何かを説明したいとき。どんな順番で話をするべきか?と悩んだり考え込んでしまうことってないですか?自分は、口頭説明の時にそうなりがちです・・・しゃべるのに一杯一杯になってしまって、どんな順序で話をしたらわかりやすいか、というところまで頭が回らず、資料を上から読んでいくだけになってしまう。。
著者は、本書の中で「どういう順序で説明するべきか・説明するとわかりやすいか」について、明確な答えを提示して来れています。

優先順位を決定するときに要となるのが、要素同士の関係性であり、どの要素が他に対してより包括的かという点である。

説明がうまい人にとっては当たり前で、全体から個別へ、結論から理由へ、なんて標語は耳にタコができるくらい耳にしていたものの、上の説明でストンと腑に落ちました。

例えば、他人に言葉だけでフランスの国旗を説明するとします。みなさんだったら、どんな順番でどんなことを説明ますか?

・赤青白のトリコロールカラー
・縦縞
・旗の形
・配色
と色々ありますよね。著者は、以下の手順を提示して来れていて、少し考える必要はありますが、悩む必要なく、順序が決まるようになっています。

①必要な事項の書き出し
3色、縦縞、均等、縦横比2:3、、横長の長方形・・・・ と言った思いついたことを全て書き出す

②上位概念にグルーピング
色:3色、左から青白赤
模様:縦縞、均等、縞3本
形:横長の長方形、縦横比2:3

③要素同士の関係性を考慮して優先順位を決定
上の色、模様、形、どれを一番最初に説明すべきか?答えを言ってしまうと
①形、②模様、③色になります。
①形を提示しないと、②模様、③色も配置のしようがないですよね。色が3つと先に言われたって、頭の中で像が作られることはなく、単に絵の具なり色なりが宙ぶらりんの状態になってしまう。そのため、まず枠である①を第一に説明します。
で、次は②模様と③色ですが、これも②模様は③色を収める場所になることから、②→③となるわけです。
要は、頭の中に絵描さんがいて、どう言う手順で進めれば完成形のフランス国旗が描けるのか?と考えながらてその手順通りに喋る、そんなイメージです。

今回はフランス国旗という単純な例を提示しましたが、基本的にはいずれの事象もこの一番外側、包括するものから仔細にという流れは変わりません。
家の作り方を説明する時には、まず場所なり大きさなどからスタートし、突然、大黒柱の素材なりモルタルの水分量なりの話をされても??ですもんね。


実はこの言語技術、スポーツ業界でも導入され、効果を上げているとのこと(定量的な観察や実験がされているわけではないので、確実なことは言えませんが)。
野村監督、エディージョーンズ、オシム監督。なんか、名将と言われる人に共通するのは、その采配の力というよりも ”フィールドで自分の頭で考え・最適解の動きができる選手”をいかに育成したかという点にあるように自分は考えて、そういう意味では、この言語技術の習得・習熟により、選手が競技の技術も伸びることは納得がいくところです。

気持ちが入りすぎて、長文になってしいましたが・・・
言語化能力って大事ですね。

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