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(漫画)〇〇マスター黒沢

web上で伝説的人気を誇った『オナニーマスター黒沢』がついに電子書籍化!中学二年生の黒沢の楽しみ…。それは学校の女子トイレで同級生をオカズに自慰にふけること。しかし、クラスでイジメに遭っている少女に見つかってしまい……。

自分が学生だった時に、「どえらいタイトルの漫画が」ということで噂?になってました。そのタイトルのどぎつさから、避けてきた人も多いのでは。
ちなみに、Amazonでクリックするとキチンと年齢確認がなされます 笑

今回、ゆる言語学ラジオの堀本氏が推薦していることもあったのと、キンドルで全巻無料で配信がなされていたので読んでみました。
タイトルと冒頭の主人公の変態ぷりにページを捲る手が止まりかけましたが、全4巻、ストーリとしての面白さ、キャラクターの描き方には素晴らしいものがあります。ほんと、もう少しタイトル(とオナ●ー以外の表現手段)であったなら、時代を代表する作品になっていたのでは?と思う完成度。

●あらすじ
主人公黒沢は、女子トイレの個室て毎日自慰行為に励むちゃんとした変態(でも、ちょっとイケメン)。ふとした時に、いじめに遭っている少女・北原に見つかってしまい、行為を黙っておく代わりにいじめの報復をすることを契約させられる。
報復を続けるうちに、黒沢の心の中に疑問が芽生え始め、徐々に肥大化。ついに、クラス全員の前で、「いたずら」の犯人が自分であったことを名乗り出ます。
至極当然、いたずらのお返しとして、いじめのような扱いを受ける黒沢。そんな黒沢を見て、今度は周囲の生徒の気持ちにも徐々に変化が生じてきます。
結末やいかに・・・

というストーリー。

●感想
罪を打ち明けた黒沢、打ち明けられなかった北原。
時間の経過につれ、黒沢は日常を取り戻していきますが、北原は卒業間近にクラスメイトにちょっかいを出されたことを契機に彫刻刀で自分の手を刺すという事件を起こしてしまい、高校に入っても不登校・引きこもりの日々を送ります。

黒沢の困難を乗り越えての成長、という構図。スポーツものでも冒険ものでも同じようなものは枚挙に暇がないですね。
女子トイレで行為に耽るのだってどう見ても気持ち悪いし、いじめの報復手段だって相当えげつない。でも、避難を承知で黒沢は告白の道を選んだ。多分、黙っていれば穏便に日々を過ごすことができたでしょう。でも、彼には告白をしなきゃ乗り越えられない、告白しなきゃいけないという思いがあった。

一方、正直に打ち明けた黒沢を許してあげられない側の生徒の心理描写もすごく丁寧になされています。主人公と仲の良かった滝川という女子生徒は、いじめの報復に遭っている(で、嘔吐までしてる)。でも、勇気を出して告白をした黒沢を許してあげたい、でも、「許してあげる」の一言がなかなか出てこない。
自分も含め、言いたいけど言えない時ってありますよね。こういう時って、自分が悪いことをしたわけでもないのに、「なぜ許すの一言をかけてあげられないのだろう」という自分の狭量さを責めたりすることもよくあります。ありがとうの一言が掛けられない問題、も同じかもしれないですね。
で、結局多くの場合は相手に伝えることなく、日々が過ぎてしまう。

いじめへの報復の告白が通過儀礼として描写されていますが、人間、生きていると大なり小なり、飛び込まなければいけないシーンに何回か遭遇します。
そんな時に、楽な道と厳しい道のどちらを選ぶか。
どちらが正解、というわけではないのでしょうが、自分の気持ちに正直に生きた方が、一時的には辛い思いをしても、清々しくいきられる。
もしかしたら著者が伝えたいメッセージはそこなのかもしれない。
そんな気がします。

ワシントンの桜の木を切ってしまったエピソード、然りかもですね。

少年漫画ながら、心理描写がすごく丁寧で大人が読んでも面白い。
タイトルとオナ●ーの描写だけデフォルメすれば、もっと一般受けしそうなのに・・・なぜにイバラの道を歩んだんだ、作者さん!



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