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社会人ドクターを研究面で支援するようなシステムができないものか、と思った話

先月、無事に3年間の社会人博士課程を終え、学位(工学)を取得することができました。
フル英語のゼミ、研究室でのゼミ、外部での発表、査読付き論文の投稿、普通の会社員生活では得られぬ体験をすることができ、負担は決して小さくなかったものの、入学を決めてよかった。そう思います。

周りの環境に恵まれていたことも、今考えると有り難かったです。
・約10年前にも在籍していた研究室であり指導教官となる先生も顔見知りだったこと
・学部生時代+修士2年間の経験で、ある程度の素養・知識があったこと
・同じ会社から編入する方がいたこと
・会社の業務でもそこそこ高いレベルの資料が求められていたので、論文の執筆とそれほど質的な乖離がなかったこと。

今、ちょっとした縁で自分より半年遅れで入学された社会人ドクターの方の博士論文のドラフトを添削するという作業をしております。ドラフトを送ってもらって、自分がコメントを返すという壁打ち的なやり取りです。

決して自分が頭がキレキレだったり、その方の執筆している分野の知識に明るいわけではないので、あくまで文章として読んで、
・説得力がない
・論理的に繋がってない
・わからない
というようなことをコメントするだけなのですが、結構役には立っているようです。
その方は50歳近い年齢で知識も経験も豊富なのですが、論文となると一筋縄ではいかないようで、毎回結構厳しいコメントを返しています。
考えてみると、学術的に問題なく、説得力のある文章を書く能力というのはちょっと特殊な能力なのかもしれません。短く端的にわかりやすく、という一般的に言われる会社の文書とは少し質が異なるというか。
この辺はどうしても経験なりトレーニングの量がものを言う世界な気がします。

で、思ったのが社会人ドクターが博士号取得者とつながって、気軽にやり取りできるコミュニティがあれば良いのではと言うこと。
看護師資格を持ってるが看護師をしていない人が結構おり、コロナの対応で活用しましょうなんていう話もありましたが、同じように時間的なゆとりのある博士号取得者も一定の数いそうなので、彼・彼女らと苦しむ社会人ドクターとが、論文の執筆含めてコミュニケーションを取れる場があれば、社会人ドクターの底上げというか日本としての研究力の向上に寄与するような気がしました。

社会人ドクターは業務も抱えている人が大半であり、必要最低限の指導しか受けない=些細なことを相談・解決するのが困難な場合が多いと思われます。
国としてもリスキリング・学び直しの流れを作ろうとしているところなので、ぜひ、検討してもらいたいものです。

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