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『歴史物を書くときの注意点』

どこがオリジナルなのかをはっきりさせる

戦国武将や歴史上の偉人を題材にした小説・あらすじの添削をしていて、いつも困ってしまうのは、どこまでが史実でどこからが創作、つまりオリジナルなのかということです。
歴史物を題材にするぐらいですから、作者は歴史に非常に詳しく、私の知らないことが色々と書かれています。
ですから、へぇ〜と興味を持って読み進めることはできるのですが、私自身が特に歴史に詳しいとは言えないので、史実とオリジナルの区別がつきません。

でも、ちょっと考えてみてください。歴史物ばかりを扱っているコンクールであれば下読みの方々も歴史に詳しいと思いますが、それ以外は下読みの方が歴史に詳しいとは限らないのです。
つまり、よくわからないからと早い段階で捨てられてしまう可能性もあるということです。


家康がウンコを漏らした!?

以前、小説サークルで「家康がウンコを漏らして逃げた話」を題材にした方がいらっしゃいました。
「三方ヶ原の戦い」で武田信玄に敗れた徳川家康が、逃げる際にあまりの恐怖で脱糞してしまい、家臣がそれを伝えると「これはクソではなくミソだ」と言い訳をしたという話です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、事実かどうかは不明です。

この話は今まで誰も書いていないと本人は得意満面だったのですが、この手の話を書く方の一番悪い癖が出ていました。
何を書いているのか、さっぱりわからないのです。100枚ほどの原稿を読み解くのに7時間もかかってしまったほど、滅茶苦茶なのです。何がいけなかったのかというと……、

・登場人物が30人近く出て来て、誰が誰だかわからなくなった。
・主役を家康ではなく家臣にしたが、主役としての役目を果たせていない。
・史実をただ追っているだけで、クライマックスが盛り上がっていない。
・なぜ家康が馬上で脱糞したのか、謎が解けていない。
・視点がコロコロ変わり、主役が知らないこともどんどん進んでしまう。
・ワンセンテンスが長く、内容がわかりにくい。


大河ドラマ風のナレーション原稿にしない

歴史上の人物は、ただでさえ名前が難しく、読者にとっては覚えるのも一苦労です。大事な人物だと思って必死に覚えて読んだのに、1回しか出て来なかったらイラっとしませんか。
これでは作品に対して読者が負の感情を持つことになるので、主要な人物とそうではない人物を書き分けることが大事になります。   (長くなるので、この方法はまた別の機会にお話しします)

また、史実にとらわれすぎて、余計なエピソードを入れる方もよくいます。   なぜこれがいけないのかというと、メインと外れた話を入れる事で、メインの話がわかりにくくなってしまうからです。

歴史物を書く方の多くは、NHKの「大河ドラマ」のイメージで書いてくるのですが、あれは映像が付いてナレーションがあるから大人数でも理解できるのです。


フィクションとノンフィクションを絶妙に混ぜる

歴史上の人物を描いた傑作を書く作家として誰もが思い浮かべるのは、司馬遼太郎さんではないでしょうか?
私も中学生の時に『竜馬がゆく』を読んで、すっかり竜馬ファンになってしまいました。この作品は、主人公を魅力的に描くお手本ですよね。

その竜馬を暗殺したと言われる佐々木只三郎を主人公とした『幕末イグニッション』。こちらは漫画ですが、世間から見たら悪役である人物を魅力的に描く参考になると思います。 https://news.kodansha.co.jp/7934

チンギス・ハーンは実は平義経ではないか?という伝説が元になって書かれた漫画『ハーン -草と鉄と羊-』も参考になります。https://news.kodansha.co.jp/6403

どんな内容かわかるよう、講談社コミックプラスに私が書かせて頂いたレビューを載せておきます。どちらもフィクションとノンフィクションが絶妙で、実在する人物と架空の人物の使い方も、とても勉強になると思います。

歴史に詳しい人ほど、歴史上の出来事を忠実に描こうとします。
しかし、小説など創作物の場合は、作者の考えで大胆に作り変えてもいいのです。それこそが、歴史物を書く楽しみではないでしょうか。


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最後まで読んでいただきありがとうございます。書きたいことは色々とあるのに、なかなかUPできなくてすみません。スキやフォローもありがとうございます!! 




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