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日記「19XX年7月7日」

コンビニで弁当を買い、君の家に向かっている。ぽつりぽつりと夕方の雨に降られたが、幸い本降りにはならなそうだ。最近続く雨のせいで頭が痛い。もう会わないと心に決めたのも何度目だろうか。それでもまた、僕は君の「遊びに来ない?」という誘いに応じて君の家に向かっている。
306号室のボタンを押し、君を呼び出す。君は僕の名前を呼び、ドアが開く。何も言わずに僕は中に入り、荷物を下ろした。君は下着姿で洗濯物を干していた。少しは女性としての恥じらいを身に着けてほしいものだ。それは未だに僕のことを信頼しているということでもあり、余計に僕の頭を悩ませた。早く忘れてくれればいいのに。

コンビニで買った弁当を食べながら、君が録画したアニメを観る。僕はアニメを観る傍ら、ハローワークの求人を検索していた。もう道北の山麓では紅葉が始まっていた。仕事探しも少しばかり焦りを覚え、かといってこれといった求人が見つかるでもない。時間ばかりが過ぎていく。

アニメがひと段落すると、君はシャワーを浴びに行った。その間、僕は最近ハマっているオンラインゲームをやる。1対4の鬼ごっこなのだが、これがまた奥が深い。キャラクターの衣装が可愛いのも魅力的。今月は既に2万円課金してしまったので、生活費がピンチだ。

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シャワーを浴びた君は僕が寝っ転がっていた布団に潜り込んできた。どうやら甘えたいらしい。僕は君を適当にあしらいながら、パソコンで求人検索を続ける。そして気になる求人を保存していく。

気がつくと、君は僕の服のボタンを外し始めていた。全く。僕はダメだと思いつつ、君の誘いに応じることにした。僕らは優しくお互いの体を隅々まで愛撫した。君の陰部は濡れていた。僕は指を挿入し優しく撫でまわす。君が気持ちよさそうな様子を見て、僕の体も熱くなる。僕は君の陰部にキスをした。今度は舌で。君は短めに声を上げた。前儀にたっぷりと時間を掛け、硬くなったペニスを君の中に挿入する。生々しい感覚がゴムを通じて伝わってくる。僕は君の中に射精した。

その後、僕らは裸で語り合った。君に僕とは別に体の関係を持った人がいること。その人と寝たら自分が空っぽになった感覚になったこと。僕らの関係のこと。かもめのこと。

好きな人と一緒にいたいと思うのは当然のことだ。だが、それがひとりである必要があるのだろうか。「日常」にいてほしい人と、「特別」に会いたい人は違うような気がするのだ。君との「特別」はとても気持ちが良く幸せだった。だが、そうした関係性の感覚を共有できる人間はそう多くないだろう。ましてや、恋愛関係になった人との中でそうした関係性を維持できるだろうか。

ただ、そうしたことを考える前に僕にはやることがある。これからのお相手探しも大事だが、明日の仕事探しの方が遥かに大事だ。よって、この話題については当分自分の中では答えを出さないでおこうと思う。

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