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美しすぎる北アルプス・前編

皆さんこんにちは!先日、北アルプスにある山、唐松岳に登ってきたのでその旅を写真と共に振り返りたいと思います。今まで気付いていなかったのですが、これだけ山に登っていてnoteに山の記事を書くのはこれが初めてでした。ヒーコさんに山の記事を寄稿させて頂いていたのでてっきり書いていたものと思っていました。

是非こちら記事もこの後に読んでみてください!

さて、今回は東京から長野県白馬の八方尾根スキー場まで車で片道約4時間の旅となります。

唐松岳は標高2696mの山です。どのくらいの山かわかりやすく言うと、皆さんご存知の日本一高い山の富士山が3776m、一度はその名前を聞いたこともあるであろう八ヶ岳最高峰の赤岳が2899m、関東地方では知られている手頃な山の高尾山が599m、そして人工物では東京タワーが333mとなります。

難易度的には雪山に慣れていれば、難しい山ではありません。唐松岳はスキー場のゴンドラリフトを乗り継いで1830mまで一気に標高を稼ぐことができます。たまに山は麓から自分の足で登れ!などと言う山の頑固ヤローがいますが、そんなことはどうでもいい。僕は使えるものは使い、楽に登れるならそれに越したことはないと思ってます。

さて、この日の天気予報は晴れ。ただし風速15m前後の予報でした。スキー場のリフトに乗っている時点で濃霧でほぼ前が見えないような状態。リフトを降り、登山口から登り始めた時もこんな感じでした。

友人と10mも離れたら見えなくなるほどの濃霧
横を見ても数m先は全く見えません

登り始めてから30分くらいでしょうか。今のところ風は無風に近く濃霧だけ。いつも参考にしている天気予報は高確率で当たるので期待して待っていたところ、太陽が出てきて少し視界が開けてきました。

好天に期待大

そしてその10秒後です。太陽がはっきりと輪郭を現し、雲海が見えてきました。この時に視界がバッと晴れた光景が頭に張り付いています。

ここで一気にテンションが上がってきます。
先ほどまで濃霧で見えなかった青空も山の形状もはっきりわかります。
右手を見るとこの景色
左手にはこの景色
後ろを振り返ればこの景色

もう360度どこも絶景です!右手には白馬三山(白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳)、左手には雄大な五竜岳と鹿島槍ヶ岳、これぞ北アルプスという山々が僕らを出迎えてくれました。しかし、山の天気は変わりやすい。そんなことをよく言いますね。このようにまた数分経つとガスってきたりします。

霧や雲の中を「ガスってる」山ではそう言います。
「ケルン」登山道や山頂にある石が積み上げられたもの。ケルンは道標と慰霊や安全祈願などの意味があるようです。
雲海の横で絶景に息を呑む友人。この景色は映えますね
どんどん近づいてくる隣にある山、五竜岳と鹿島槍ヶ岳

いつもそうなのですが、僕と友人は登るのが非常に遅い。登山は競争ではないですし、スピード勝負でもないので構わないのですが、僕らが遅い理由は写真をずっと撮っていたり、ふざけあったり、話しながらゆったりと登っています。登山は友人と過ごす時間や景色を楽しむことができるのも醍醐味の一つですね。

ミニチュアの作り物のような景色ですね。
先行者があんなにも小さく見えます。

今回の登山に持っていったレンズはCanon 24-105mm F4L ISM USMになります。2005年に発売された古いレンズですが、サイズもコンパクトで描写も未だに素晴らしいレンズです。

登る山によって持っていくレンズは変えています。今回はロープウェイを使えるとはいえ、往復約6時間を雪山の中で歩き続けます。また最終ロープウェイの時間を考えるとなるべく早い行動が必要だったため、今回はこのレンズ1本にしました。後になってからこちらも山でよく使うCanon 70-300m F4-5.6L IS USMも持ってくれば良かったなと思いましたが、なるべく軽い荷物にしたかったのもあり、今回は置いてきました。

距離にもよりますが、105mmではこのくらいが限界。
300mmでもう少し岩肌に寄りたかった。
雲の形状が差し込む光と相待ってアートに見えます。
ここまで天気も良く、寒くない、風もない、平日で混んでいない。最高のコンディションです。
人越しに山を撮る。人を前ボケにすることでよりその場の臨場感が写し出せます。
その逆で人にピントを合わせ、山をボケさせます。
このミニチュア感なんか気に入ってます笑
雄大なスケール、そしてその自然の中での人間のちっぽけさが伺えます。
今回の写真で気に入っている内の一つ。木がぽつん。
構図によって印象が変わります。雲のグラデーションが綺麗ですね。
たった一つの被写体でも切り取り方でこんなにも違って見える。
写真の面白いところです。
風が織りなす雲と雪のアート。あたかも自然が計算したかのような雪の形状の規則性。
ポツンと小屋。奥の雲が台風の目のような面白い形をしています。

さて、登り始めて山頂まで1/5を終えたぐらいでしょうか。いやー歩くの遅い笑
先ほどのミニチュアの人と同じタイミングで登り始めたのですが、差がどんどん開きます。この辺りで計画より20〜30分遅れだったかな?ただ、登山計画はいつも余裕を持たせて作っているので全く問題はありません。最悪、頂上まで行けなくてもてもいい。そのくらいの感覚をいつも持っていると十分に山と写真を楽しめます。

友人もこのとおり楽しんでいます。山に行くパートナーは性格も似ている人がいいですね。
ゆっくり行きたい人とせっかちな人では山では相性が悪いです。
彼とは約3年くらい様々な山を登っています。
#山と写真と人が好き 僕の好きなワードです。
青と白のコントラストが美しいですね。

今回の写真ですが、全くと言っていいほど編集、レタッチなどはしていません。
なので皆さんがここで見ている写真のそのままの色、そのままの景色がそこには広がっています。写真を始めた頃はどれだけ派手にできるか、また映えるように編集していたところもありましたが、今はそのままの美しさを表現するようにしています。
写真は引き算。色味や背景をどれだけ足すかではなく、むしろどれだけシンプルにできるか。僕は写真をそのように捉えています。

撮影の時点で余分なものは写さず、編集では色味も抑えつつ、伝えたいことを残す。
雪山ってなんでこんなに美しいんでしょうね。
雄大な中にある山肌の繊細さ。
同じ山でもどこをどう切り取るか。編集時にはトリミングはしません。撮影時に切り取った画角が僕にとっては既に完成されたものとなります。
スケールの大きい山だけではなく、木も絵になる。
木を使って奥行き感を出したり
何本かの木をメインの被写体にしたり
たった一本の木でも太陽の光と雲の流れを同時に切り取ることによって、そこに必死に生きている木の力強さ、生命力を写し出せます。
登っている間に同じ景色を何度見ても北アルプスの山々はかっこいい!

だいぶ登ってきましたね。最初の頃、左手に正面を構え見えていた五竜岳と鹿島槍ヶ岳もだいぶ横向きになってきました。
さて、今回の前編はここらで終わりたいと思います。特にトピックもなくここまで登ってきたのであまり書くことも大してありませんでしたが、今回は文字よりも写真を楽しんで頂けたら嬉しいです。次回、美しすぎる北アルプス後編をお楽しみに!


石橋純

東京を拠点に様々な国や地域の自然に触れながら登山活動をする写真家。 山岳写真をはじめ東京・南青山にあるジャズクラブ BLUE NOTE TOKYO では国内外のトップアーティストを撮影し、雑誌やアルバムジャケットなどの撮影やコラム執筆など幅広い仕事を行っている。
またユネスコの無形文化遺産であるブラジルの伝統芸能「カポエイラ」を25年間学び、LAを本部に置くCapoeira Batuque カポエイラバトゥーキではContra Mestre(副師範) の位を持つ。15年以上子供から大人までを教えながらTVやCM、アーティストのMVや広告などでカポエイラの監修や指導をしながら自身もパフォーマー兼モデルとして活動する。2022年に写真集「Life is Fleeting」を刊行。

Jun Ishibashi is a Tokyo-based photographer. He travels around the globe, engaging in mountaineering and other nature-related activities. His wide range of work includes writing columns and photographing mountains, fashion, album covers, and top artists worldwide̶including ones in Japan’s BLUE NOTE TOKYO, a famous jazz club in Tokyo. He also studied Capoeira for 24 years, a traditional Brazilian art form that is listed in UNESCO’s Intangible Cultural Heritage. As a certified Contra Mestre in the LA- based group Capoeira Batuque, he has been teaching people of all ages for over 15 years. Furthermore, he is a performer and model, supervising and teaching Capoeira on TV, such as in commercials, music videos, and advertisements for artists.

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