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生きるとは自分の物語をつくること


本のタイトル、著者名に触れて、思わず頷いてしまった。
著者は河合隼雄氏と作家の小川洋子氏。

今年は、藤原新也氏、柳田邦男氏、星野道夫氏、ル・グウィン氏、河合隼雄氏等の著書に導かれていくように出会う中、物語を通して普遍的なものが伝わっていくことを強く意識させられてきた。


本著での小川洋子氏の言葉が心に染みた。

人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです。


そして、河合隼雄氏の長年の臨床経験から滲み出てきた言葉。

私は、「物語」ということをとても大事にしています。来られた人が自分の物語を発見し、自分の物語を生きていけるような「場」を提供している、という気持ちがものすごく強いです。


そして小川洋子氏があとがきで引用された河合隼雄氏の物語に関しての思想は、ひとつひとつの表現がとても深層的である。


その恐怖や悲しみを受け入れるために、物語が必要になってくる。死に続く生、無の中の有を思い描くこと、つまり物語ることによってようやく、死の存在と折り合いをつけられる。物語を持つことによって初めて人間は、身体と精神、外界と内界、意識と無意識を結びつけ、自分を一つに統合できる。
人間は表層の悩みによって、深層世界に落ち込んでいる悩みを感じないようにして生きている。表面的な部分は理性によって強化できるが、内面の深いところにある混沌は論理的な言語では表現できない。それを表出させ、表層の意識とつなげて心を一つの全体とし、更に他人ともつながってゆく。そのために必要なのが物語である、物語に託せば、言葉にできない混沌を言葉にする、という不条理が可能になる。生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作り上げてゆくことに他ならない。


そしてこの河合氏の言葉を自分に重ねた場合、ホロスコープと出会い、惑星がサインというフィルターを通して現実世界に働いている力を意識でき、自分の暮らしをアートとして日常の出来事、出合ったものをひとつの物語として俳句、写真、ブログで表現してきたことと重なる。

以前のnoteでも何度か触れたが、私は3室牡牛座水星があり、5室蟹座金星
9室蠍座海王星が調停というアスペクトを形成し、3室牡牛座太陽の輝きが強調されている。


2年前に意識の学問としてホロスコープを学びはじめ、私自身の過去を振り返ってみたときに、自分の存在を確かめるため、また他者からの承認を求めるためにミニコミ誌を発行したり、俳句で日常を表現することで何とか正気を保ってきた。

そしてネイタルの月乙女座がおとなしくなるに従い、3室牡牛座太陽としてまたASC水瓶座を発揮して蟹座金星、牡牛座水星と連携しつつブログやインスタグラムもはじめ、暮らしを物語として表現していくことに生きる喜びが沸き上がるようになった。

そういう意味でも小川洋子さんが引用された河合隼雄氏の思想はまさに普遍的なこととして私の中に響いてくるのである。


小川洋子さんの著作は読んだことがなかったが、今回の出会いを機に
本書でも登場した「博士の愛した数式」を含めて何冊か読んでみた。
「博士の愛した数式」は80分間しか記憶できない元数学研究家との関係性の変化がとても興味深い。

主人公である元数学研究家が、ある場面で黙って紙にオイラーの公式を書いて立ち去ったことがとても象徴的であった。
オイラーの公式は世界で最も美しい数式と言われている。その公式が小説の一見、関係のないような場面で登場するという意外性が新鮮であった。
物語の展開とは一見関連がないようで、突然、示されたオイラーの公式。
そこに意味はなく、俳句と同じように読み手の解釈に任せられている。
私は、生きていく上での美学、誇りのようなものをそこに感じた。


eiπ+1=0

「生きるとは自分の物語をつくりこと」のメッセージは、ホロスコープを通しての学びにより自分自身の太陽の輝きを意識できたことで、この言葉の意味合いがより味わい深く感じる。

8月の次男の出来事を通しても、過去の経緯を悔いることなく、次男との関係性こそ、自分自身の意識の変革、浄化のための扉であると受け止めることができ、それもまた物語として表現していきたいと思う。


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つゆ草や偽りのなきことを言ふ



※インスタグラムで写真/俳句日記を毎日更新中

junchan(@junchan3926) • Instagram写真と動画

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