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アイスランド旅日記 (7)

11月24日(3日目)
Icelandアイスランドにはオーロラを見ることができる施設が2つあるそうです。いずれもそれは Reikjavikレイキャヴィクにあるのですが、きっとレイキャヴィクの訪問客の多くはオーロラを実際に見ようと思っているのではないでしょうか。それなのにこうした施設があるというのは、実はオーロラはそれほど見られないのではないか、と思えます。現に僕たちも昨夜わざわざ船に乗ってその甲板で寒風の中に3時間も立って空を眺めたのだったけれど、結局はその幻想的な姿を見ることはできなかったではないか。

それで僕たちは、翌日さっそく2つあるという施設の一つ、Perlanペルラン(Pearl=真珠)へ行ってみました。ホテルから歩いても行けると言う距離にあったのですが、実はこれがまたたいへん。というのは、地図を見れば方向はわかりますが、歩く道が凍っています。Apple Mapsや Google Mapsを見ながら歩くのですが、その地図には工事中のことは書いていないので、指示通りには歩けない、道を変えると雪が遮る、道がなくて通れないと思ったら地下の小さなトンネルがあったり。それで1時間と少し歩いてやっと着いたのですが、着いてみたら正面の大通りではなくて、裏側の小道からでした。だから正面から見た時の感動はありません。

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それはともかく、この建物は「真珠」というくらいですから、中央の天空にある大きな半球を真珠に見立てて、それを5つの円筒形のタンクが支えています。内部は博物館になっていて、最初に建物中央の観客席に案内されて、天井がスクリーンになっている半球内部に映し出されるオーロラのさまざまな映像や画像を約20分間見せてもらえます。それから館内には展示や解説があって、オーロラに関する情報がまとめられていますし、アイスランドの壮大な大自然の展示・解説、それから圧巻は Ice Caveアイス ケーブ、これは館内の2フロアに氷の洞窟を作り、氷点下の洞窟を探検して回ることができます。実際の氷の洞窟を経験するには島全体を回る Ring Roadリング ロードツアーに行かなければなりませんが、ここでならば同じような状況を経験することはできます。

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それから最上階のドアの外に出ると、ぐるりと市内を展望できます。ただし、この時期は風が強くて寒いです。とにかく何をやるにしても寒いです。僕たちは周囲の遠景を iPhoneに納め、身体がすっかり冷え切ってしまったので、中に戻ってアイス クリームをいただきました。これもまた冷たかったけれども、甘くて美味しかったですよ。^^

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こうしてオーロラの博物館を回り終えた僕らは、急いでホテルに戻りました。次の予定が待っています。3時にはお迎えのバスが来る、というので早足で歩く。帰りの道は迷うことがないので安心ですが、滑らないように用心、用心。こうしてホテルには充分に時間的余裕があるように戻ることができました。
「次は3時だから…」と予約確認の書類を見ると「時間の30分前にフロントへ」と書いてあります。「あ〜、今2時半!間に合わない!」と、とにかく簡単に準備をしてフロントへ。あぁ、バスがちょうど出ていく!すぐにフロントに行って確認したら「今のバスが Sky Lagoonスカイ ラグーン行きのバスでした」。残念、乗り遅れました。いやー、旅先ではいろいろあるものです。
「スカイ ラグーン」というのは、これもアイスランド名物の温泉です。レイキャヴィクでは Blue Lagoonブルー ラグーンが大きくて有名ですが、「スカイ ラグーン」はそれに対抗して今年開業したばかりの温泉、規模こそ敵いませんが、設備は整っていました。そこへ行くために集合するのが、例のバス ターミナル。これですね、初日に空港からまず行ったのが同じバス ターミナルでした。何かと出発点になっています。
で、僕らはフロントの勧めに従ってタクシーでバス ターミナルへ。タクシー ドライバーも事情を了解してスピード アップ、横道、近道、右に左にアクセル踏んで、バスにはターミナルで追いつきました。タクシーから走る僕たちの姿を見つけて、バスが待ってくれたのです。
バスに乗ったらほぼ満員で空席はない。その時、二人の少年がパッと立ち上がって「こちらにどうぞ」と譲ってくれた。これは嬉しかった、けれども(そうか、今までは席を譲る側だと思っていたが、僕もいよいよ譲ってもらう年齢になったか)という悲哀もありました。さて、その温泉スカイ ラグーンに到着です。

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受付のデザインがモダンで、ロッカー ルームも瀟洒しょうしゃ、海岸に沿って作られた40メートルほどの中央プールがあり、周囲やプールのあちこちには岩、まぁ自然を模した雰囲気の中で僕らは湯の中に身体を沈めたり、スローモーションで移動したり。プールと海との間に仕切りがあるので、そこからの眺めは海を見晴るかし、遠景には白い山脈が見える、はずですがそれよりも僕らは湯の中を移動して奥の方のバーに行き、スパークリング ワインを一杯、あーいい湯だ。^^
中央プール以外にもサウナ各種の部屋があってゆっくりと緊張を解く環境を楽しんだのでした。これは3時から6時までのコースで、ゆっくりと過ごしました。
そうして一通り終わった後、「さてバスでターミナルかな」と思ったら、なんと6時までの3時間コース、終わってみたら最終バスはすでに出た後でした。こういうプログラムの作り方はよくないですね。しょうがないのでタクシーでホテルまで。

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そして今日の最後のスケジュールはディナー、メニューは鯨です。でもこれは気をつけないといけない話題ということになるのかな。というのは、クジラは食べるものでもあるという意識が僕にはあって、しかし鯨肉食を非難する人たちがいることは知っています。また現代では捕鯨そのものに反対する人々や組織があって、国際問題として拡散されたりもしています。
しかし、それを栄養素として日常に食する文化があったり、クジラから摂取できる油で大きな産業を築いていた社会もあります。いやむしろ欧米を始めとする国際社会では、それが主流でした。それが今では批判の対象になっています。捕鯨が廃れていったのは、石油の採掘・加工技術が発展していったからという時代背景があったわけですが、現在の状況によって過去を断罪するのは正しくないと僕は考えているので、ここは議論があるところでしょうか。日本はアイスランド、ノルウェイと共に、捕鯨を続けている国です。

とにかく過去の思い出もあって僕のセンチメンタルな判断ということになりますが、アイスランドで鯨肉を食したいという気持ちはありました。僕の世代の人たちは、昭和30年代、学校給食で鯨肉を食べていたという経験があります。それは栄養の摂取のために食していたもので、僕ら子どもたちはほぼ誰しも同じように、硬くて噛み切るのが大変だった、不味い肉だった、という否定的な感想が聞かれるものですが、そういう印象はいつまでも残っているもので、(それでもいいから、一度は食べたい)と考えていました。直美はその僕の気持ちを汲んで、ディナーを予約してくれていました。
そして、料理されて出てきたものがこのミンク鯨のステーキです。デカい。

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それから、直美が注文したものが、これもアイスランドでは定番のラム(羊)。

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この2つを比べると、間違いなく鯨肉の勝ちでした。外側は濃いソースをからめてソテーしていますが、内側の肉はほぼレアで、たいへんに柔らかくて美味しいものでした。(もう少し小さくてもよかったけれど。)

この夜は肉とワインですっかり満足しましたが、外に出るとやっぱり寒くて冷たい風。その夜の暗い道をいつものように用心しながら、ホテルまで30分、ゆっくり歩いて帰りました。翌日は2回目のバス ツアーです、ぐっすり眠っておかなければ。

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