見出し画像

映画「ウィッチ」感想・考察~普通の女の子を魔女にする方法は?


    いわゆる信頼できない語り部による物語だと思います。

    実際に起きたこととしてはサムはトマシンが子守りをしているときに不慮の事故で死亡、それを隠すために急に消えてしまったと嘘をついたトマシンもだんだん嘘が現実のように思えてしまう。ケイレグも姉への性愛に自己嫌悪して森のなかで魔女に誘惑される幻覚をみたのち、錯乱して死亡。集団ヒステリーに陥った家族はトマシンと双子を幽閉し、怒ったトマシンは小屋を破壊して家畜と双子を殺す。それを見た父と母はトマシンを魔女とののしり殺そうとしたのでトマシンは父母も殺した。黒いヤギは現実には存在せず、トマシンの自分を信じてくれない家族への憎しみが具現化したものだったのでしょう。ラストの浮遊する魔女たちもトマシンの幻覚だったかもしれません。

    登場人物みんな古い価値観にしばられており、原始的なキリスト教を信仰し、非科学的な考えを信じたことで家庭内殺人が起きてしまいました。もうちょっと村の人とか外部の助けがあればこんな悲劇は起きなかったのかもしれません。「パンズラビリンス」のように、少女がつらい現実から逃れるためにファンタジックな夢を見た、とも捉えられるし、本当に魔女や黒いヤギが存在していて少女をつらい現実から異世界に連れていってくれた、とも捉えられます。どちらにせよ救いはないですね。家族という閉鎖空間の恐ろしさを描いていたと思います。

    それにしてもなぜキリスト教ではヤギはわるものなのでしょう?羊は信者の象徴で、ロバはキリストの乗り物なのに。ヤギもかわいいのに、キリスト教メタファー映画ではわるものにされてかわいそうです!


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?