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映画「ハッチング -孵化-」感想・考察~美しい少女の隠した本性は醜い怪物?


   アッリは美しいティンヤが隠した醜い本性であって、実在はしていないのかな?とも思ったのですが、寝ている母親に触ったあとにデロデロの粘液を残していたり、ティンヤが大会に出ている間にテロの赤ちゃんを襲ったりしていたので、実際に人外の怪物として誕生してしまっているようですね。アッリは母親の愛を求め、完全な人間の肉体を得て、これからどうするのでしょう?

    母親はテロにフラれたあと「あなただけはわたしを幸せにしてくれると思ったのに」とティンヤをなじりました。母親は幸せじゃないんでしょうね。そもそも本当に幸せなら執拗に動画配信をして、全世界に幸せアピールする必要なんてないんです。父親はやさしいだけで、母親がティンヤに厳しくしすぎても姉弟差別しても浮気してても、何のアクションも起こしません。裕福でりっぱな家に住んでいても、愚鈍な夫、かわいくない息子、大会で一番になれない娘が家族なら幸せじゃない。この母親は自分が愛されて賞賛を受けることにどん欲で、愛を与える側にはなれない人間です。おそらく母親の足の傷は過去に自分が体操をしていたときにできたもので、その怪我が原因で一番になれなかった、それで家族からの愛を失った、といった経験が子供時代にあるのでしょう。

    条件付きの幸せしか感じられない、条件付きの愛情しか実娘に与えられない。ひたすらひどい母親にみえますが、かわいそうな人であり、だからこそ最愛の娘を失うという罰を受けてしまったのかもしれません。



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