【毒親】過去と現在で分裂した心~自分に呪いをかけた話~
私は子供の頃、自分に呪いをかけてしまった。
自分を助けるために、もしかしたら一生解けない呪いをかけた。
そのことに気が付いたのは、ほんの1年半ほど前。
この話はもしかしたらなかなか理解されないかもしれないので、少し話すのが怖い。
でも全部本当の話だ。
子供の頃の私は、昼夜を問わず母にキレられていた。
昼夜を問わずというのは、夜寝ている間もいきなり叩き起こされて
意味も分からずキレ散らかされることがあるのだ。
小さな足音で目を覚ましては、部屋に母が来るかどうか耳を澄ましていた。
もし来そうであれば、ドアを開けられる瞬間に押さえられるように待機する。
いきなり対面すると危険なので、ドアの攻防戦で少しでも相手の体力を削るのだ。
安心して眠ることもできない毎日は、小中学生の私には耐えがたかった。
でも、子供なりに「こんなのはおかしい」という気持ちはあった。
父親は無関心で、兄弟はいなかった。
話がめぐりめぐってバレたら怖いので、親戚や友達に話すこともできなかった。
私は味方がほしかった。
誰かひとりでも私を肯定してくれないと、いまにも消えてなくなりそうだった。
そのとき、私は「いいこと」を思いついた。
大人になった私に味方になってもらえばいいじゃん!
大人になった私は母と違ってやさしいし、母と違ってかしこいから、
絶対に絶対に私の味方になってくれると思った。天才か。
大人の私、お願い!私は間違ってないよって励まして!
そう強く念じていたら、大人の私が心の中で話してくれるようになった。
大人の私は、辛いとき、とても穏やかな声で私を慰めてくれた。
『大丈夫だよ、間違ってないよ』
まるで、秘密の魔法が使えるようになった気分だった。
しかも、こんなことも教えてくれた。
『大人になったら、あなたはとってもやさしい人と結婚するよ。
その人はあなたのことが大好きだし、なんでも話を聞いてくれる。
だからその人と会うまではがんばろう。もったいないから』
何度もそう言うので、私はだんだんそれが本当に起こることのように思えて、そのことを支えになんとか自分を強く持っていた。
だけど私は、話すだけで実際に助けてはくれない大人の私に苛立ちも感じていた。
ただ単に、抑え込まれた感情をどこにぶつけていいかわからなかっただけだと思う。
そこで私は、自分に呪いをかけてしまったのだ。
「大人の私にお願いがあるの。
大人になっても、私がこんなに悲しい思いをしていること、絶対に忘れないで。
お母さんのことを絶対に許さないで。
それさえ約束してくれたら、私はもう少しがんばれるから」
わかった、と大人の私は答えた。
そして私は大人になった。
(ここから先は繊細な話となるので有料ゾーンとさせていただきます。)
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