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朝ごはんは卯二つ時に

はじめてのらねこ会議を見た日から
8年たった初夏の朝、ウォーキングがてら神社に詣でた。
八面玲瓏はちめん-れいろうの空気が澄み渡る中、
神社正門の階段を登ると、
舌なめずりする数匹のねこが現れた。
誰かを待っているようだ。
還暦を越えた頃の女性が大荷物を抱えて道を渡り、
こちらに向かってくるのがわかると、
さらにねこの数は増える。一匹、二匹、三匹……
大鳥居下はあっという間に大勢のねこらでにぎわった。

食事タイムはねこたちの情報交換の場でもある

ねこの餌やり……その存在に、やや安心した。
飢えてはおらず、毎日十分な食事、神社境内という環境、
ねこたちは幸せなのだろう(飼い主がなくとも)、おそらく。
聞けば、その女性が神社ねこたちに朝ご飯を振る舞う生活は
この時点で10年目を迎えているそうな。
「すごいですね、毎日ですか? なかなかできることではない」。
ねこたちに変わってお礼を申し上げたくなった。
すっかり気を良くした女性は、ここで生活する
全員のねこに名前があること、
ご自身のほかに昼担当と、夜とねこたちを病院へ連れていく担当の
3人で世話をしているなどの詳細も教えてくれた。

これが、奇妙なねこミステリーに巻き込まれる発端になった日だった。




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