見出し画像

失敗は気づきのドライバー

ジェイテクトが第二期中期経営計画を発表して1か月が経ちました。8月27日の説明会では、機関投資家やメディアの皆様に私たちの熱い思いをお伝えすることができました。あらゆる方面から激励の言葉をいただき、ジェイテクトの未来にご期待いただいていることに感謝申し上げます。
この1か月の間に、私たちはすでにさまざまな活動を進めています。第二期中計期間を通してみれば、ジェイテクトは数多くの取り組みにチャレンジすることになります。しかし、チャレンジには失敗が付き物です。私もこれまでにたくさんの失敗をしてきました。大切なのは、失敗を次にどう生かすのかを真剣に考え、行動に移すということです。
今回は、「失敗は気づきのドライバー」というテーマでお話をしたいと思います。


失敗学を学ぶ書物がトレンド

書店をめぐると、「失敗」から始まるタイトルの書物が数多く目につくかと思います。
これらの本には、「まずは失敗を素直に受け入れること」、「同じ失敗を繰り返さないこと」、「計画には具体性を持たせること」など、失敗から学ぶべき内容が書かれており、多くの人に支持されています。
そもそも人間は失敗する生き物です。実際に失敗した時、「仕方がない」だけで終わらせるのか、それとも「この失敗を糧に次は成功するように学びを得よう」とするのか、どちらの考えに至るかが、人として成長するかしないかの分かれ目なのだと思います。
自らの成長のために積極的に学びを得ようとする人にとって、こうした書物は失敗からの気づきを強くサポートしてくれます。

私の失敗:生産技術編

さて、私自身の話になりますが、私はトヨタ自動車での大半の時間を生産技術で過ごし、2020年には新しい生産技術を生み出す「モノづくり開発センター」のセンター長に就任しました。社内外の人から成功する秘訣をよく聞かれますが、私の体感ではチャレンジしたことの95%は失敗です。しかし、たくさんの失敗を重ねることで学んだことがあります。それは、「失敗は気づきのドライバー」であること、そして失敗の積み重ねこそが新たなソリューションを生み出す源泉だということです。
多くの生産ライン立ち上げを通してたくさんの失敗をしてきましたが、失敗の学びから仲間と一緒にそれらを乗り越え成長することができました。そうした経験から、「失敗する」ということは、まだできていないことへのチャレンジの裏返しだと気づき、失敗は悪いものではなく仲間と一緒に成長する糧であると気づきました。
そしてモノ開時代には、新たなチャレンジによる失敗から得た気づきを積み重ねたことで、次世代モータ・電池の製造設備やギガキャストを生み出すことにつながったのだと思います。

私の失敗:クラウンコンフォート編

時は遡り1994年、私は生産技術から異動し、ドライブトレーン技術の設計を担当していました。この時担当した車両が「クラウンコンフォート」。タクシー用として走行距離100万kmの耐久性能を目標に開発が進められたクルマです。クラウンコンフォートの開発ではデフの耐久性を上げることに大変苦労し、原因究明にチャレンジしては失敗を繰り返す日々が続きました。当時から「失敗は気づきのドライバー」と認識していたのかどうか記憶が定かではありませんが、失敗したことを無駄にはしないという気概は持ち合わせており、気づきを得ては新たなことにチャレンジしていたことは鮮明に覚えています。
一年以上の原因究明の末、アクスルシャフトの表面被膜が酸化して落下した煤がベアリングに悪さをしていることが原因だと突き止めたのですが、この原因特定は失敗しては気づきを重ねた賜物であると確信しています。
苦難の中でも考え続けることを徹底すればいつか閃きや答えにつながる。そういう経験によって、人生の中で考え続けることの大切さを学びました。
このクラウンコンフォートの思い出話は、第3回「自らの道を切り開くには」でも紹介していますので、お時間のある方はぜひご覧ください。

チャレンジして学ぶことを“喜び”にできる会社へ

私はジェイテクトグループを、チャレンジして学ぶことを“喜び”にできる企業グループにしたいと考えています。失敗を恐れずにチャレンジすることで人は成長し、それが新たなソリューションを生み出す力になるからです。ゴールにたどり着くまでに発生する失敗は気づきの集積です。失敗を恐れて何もチャレンジしないことこそが、真の失敗と言えますよね。
私は社会人になって36年間、失敗を繰り返しながらも最後には必ず報われる経験をしてきました。成功までの失敗は全く卑下することなく、むしろありがたいことだと思っています。「次はそうならないようにすれば大丈夫」という感覚をグループ全体で持ち、「失敗は学びだ」という前向きな気持ちで捉えられ、みんながイキイキと働ける企業風土をつくっていきたいと思います。
たとえ失敗しても次にどうするべきかを考えてチャレンジを続けられる人が、仕事の達成感を得られ、人生の幸福度も高くなると思います。
ジェイテクトでもジェイテクト以外でも、仲間のチャレンジを歓迎し、失敗を糧に成長できる職場が広がればとても素敵なことだと思います。チャレンジと失敗を繰り返し、皆で一緒に成長したら、その先にはきっとアカルイミライが待っています。

「チャレンジ」の大切さをジェイテクトの第二期中計発表資料でも伝えています

次回予告

ジェイテクトは第二期中計で、社外のステークホルダーと共創して新たなソリューション創出を目指すことを発表しました。次回は、スタートアップとのマッチングについてお話ししたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?