見出し画像

『掛け金上限5.5万円に上げ』で格差是正

当マガジン(本連載)全体の目次はこちら

企業型確定拠出年金の拠出枠拡大

2020年11月8日(日)の日経新聞朝刊に、企業型確定拠出年金の掛け金額上限の変更に関する記事が出ていました。

#日経COMEMO #NIKKEI

今回の話が対象となる方は、どちらかというと大きな企業にお勤めの方が多いかと思います。会社で確定『給付』企業年金制度がある方がそうなのですが、その制度がある会社で、確定『拠出』企業年金制度も併用する時に、その確定『拠出』企業年金の拠出上限額を、

月2.75万円から、確定『給付』企業年金制度と2つ合わせて月5.5万円

とするという変更です。

なお、確定給付と確定拠出の違いについては、当マガジン『イデコ(iDeCo)とお金のおはなし』の、【4】『確定給付?確定拠出?あなたの退職金の種類は???』をご参照ください。

イマイチわかりにくいが・・・

なんだかややこしい感じもします。税金の制度などもそうですが、最初の作りからして複雑なのに、いろいろ不具合や要望が出ると、ちょこちょことマイナーチェンジをするため、ついていくのが大変です。

ちなみに現在の状態は、

①【確定『給付』年金制度がなくて、確定『拠出』年金制度がある場合】
確定拠出年金制度の月拠出限度額:5.5万円

②【確定『給付』年金制度があり、確定『拠出』年金制度もある場合】
確定拠出年金制度の月拠出限度額:2.75万円

で、これの②(下)の方を、

②【確定『給付』年金制度があり、確定『拠出』年金制度もある場合】
確定拠出年金制度の月拠出限度額:確定給付と合わせて5.5万円

に変えるということが、今回のはなしです。

もともと国はこの決まりを作った際に、確定『給付』企業年金制度を持っている企業では、その

確定『給付』企業年金に、月2.75万円程度拠出しているもの

と想定して、

確定『拠出』年金の方も、月2.75万円まで

とし、

足して5.5万円だから同じでしょ

と考えていました。ところが、確定『給付』企業年金の掛け金拠出額の実態は、月平均13,000円程ということで、

確定『給付』1.3万円+確定『拠出』2.75万円=上限4万円くらい

で、『不公平だ!』ということで、その是正を図るということだそうです。

大企業向けのはなし

今回の制度改正の対象となる会社員は、800万人程度ではと言われております。それなりの数ではありますが、そもそも確定『給付』企業年金制度は、

1階:20歳以上強制加入の国民年金(強制加入)
2階:一般的な会社員が加入の厚生年金(強制加入)

それにさらに3階として、

3階:企業独自でそれらに上乗せする企業年金(企業が任意で導入)

の1つでありますから、基本的に体力のある企業でないと導入ができないものです。すなわち、今回のはなしは、大企業にお勤めの方が主に対象となると申し上げました。

ちなみに3階(企業年金)がない会社にお勤めの方が同じように積立をする場合は、イデコ(iDeCo、個人型『確定』拠出年金)に加入して、自分で積立していくわけですが、この方の

月々掛金拠出限度額は、月2.3万円

です。より自助努力が必要な方の枠の方が小さいというのも不公平な感じがします。

動きが活発に!ということは・・・???

2001年に導入された『確定拠出年金(DC)』制度ですが、ここ数年で、制度の見直しが結構行われています。多くの方が加入できるよう間口が広がっていますし、加入上限額も高くなっていっています。

多くの方に選択肢が広がることは良いことだと思います。一方で、国がこれだけ国民向けに制度の改正等を行うということは、さらに多くの方に利用を促している裏返しでもあると思います。

人生100年時代と言われるようになり、世界で最も高齢化が進む日本において、年金や医療などの社会保障制度の維持が大きな課題となっています。現在『75歳以上の方の医療費自己負担割合を2割へ』といったことも議論されていますし、年金制度にもさらにメスを入れざるを得ないと思います。

もはや人生を、『~学校卒業(22歳くらいまで)』『働く時代(23~65歳)』『老後(65歳以降)』という、3つの段階に機械的に区切って考えるライフプランでは、安心して(楽しんで)生きていくことは難しいかもしれません。

また、国の保障が今よりも手厚くなるということも考えにくいですから、それぞれの方が『生きる力』を高めていく必要があるのではないかと思います。そのために、こういった変化を把握し、それに対応していける知恵をつけるために、学び続けることが大切なのだとあらためて思います。

⇩⇩⇩ 当マガジン(本連載)全体の目次はこちら

私が『生命保険セカンドオピニオン相談』を行っている、株式会社ライフヴィジョンのホームページです。『シンプルイズベスト』がテーマ、そして『易しく、優しい(わかり易く、財布に優しい)』をモットーとした、生命保険の活用をお勧めしています。
【https://lifevision-tokyo.com/16019617283910】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?