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【10】粒子線治療の照射条件~『がん保険』のトリセツ~

前回は、粒子線治療のメリットについてみてきました。たしかに先進医療にはメリットがありますが、簡単には受けられない、受けるための条件が細かく決められているという事実もあります。今回は国が指定する

粒子線治療の照射条件

について、一緒にみていきたいと思います。

末期がんを治す夢の治療!?

『先進医療』とか『最先端の治療』などと聞くと、がんに関して言えば、

末期がんでも治してくれる!

なんてイメージを持ってしまいそうですよね!?粒子線治療を受けるための最初の条件ですが、原則として

転移がない

ということがあります(一部転移がんへの対応もあります)。末期がんというのは、基本的に、全身にがんが転移してしまっている状態です。粒子線治療は、そういった状態では受けることができません。すなわち、転移がない、いわゆる早期のがんに対応する治療ということです。

過去に放射線治療をしていないこと

次に、過去の治療歴で、

放射線治療をしていないこと

が条件となっています。これは、粒子線治療は、非常にパワーの強い放射線を照射するため、過去に放射線を当てた箇所に、さらに粒子線を当てると、重篤な副作用のリスクがあるからだと言われています。ただし、過去の放射線治療の部位が別の箇所であれば、受けられる場合もあるそうです。

がんなら何でもいいわけはない!

あとは、すべてのがんが対象ではないということです。胃とか大腸とか、不規則な動きをする臓器は対象外となっております。国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構QST病院(旧 放射線医学総合研究所病院)によると、大腸がんについては、大腸がんそのものは対象外ですが、最初の大腸がんの手術後に、付近に再発した場合は、重粒子線治療の対象になるとあります。

このようにひとつの部位をとっても、対象となる場合とならない場合にわかれてくるようです。もちろんこのようなことをすべて覚えておくことはできませんが、がんになってしまった際に、いろいろな可能性があるというふうに思っておくと良いのかもしれません。

そしてこれらの条件も変わっていく可能性もある

もろもろ細かい条件があり、やはり簡単には受けられないようですが、でもこれらの条件は、あくまで今のはなしであって、時間の経過とともに研究が進み、対象となるがんが増えたり、若しくは前立腺がんのように健康保険の適用となったり、患者さんにとって選択肢が増えていく可能性があります。

ですから今の時点では、

・がん治療の研究が常に行われていること
・もしがんになってしまったら、その時点の最新情報を集めること

などが大切だというふうに思っていただければよいのではないでしょうか。次回は、肺がんの治療について、標準治療と重粒子線治療の比較といったことをみていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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