2020年10月後半の頭の中のまとめ

Twitterに流れてきたものなど、目にした論文などの個人的まとめです。デスクトップパソコンを買った結果、作業効率が大幅に上がりましたので、やろうと思っていたことを開始します。読んで思ったこと、その他背景などについて簡単に触れていく予定です。時間に余裕がある時に随時更新しつつ、2週間ごとにまとめていこうと思います。お値段は300円とさせて頂きますので、読んで使えるものがありましたら購入いただけると幸いです。12月以降は公開範囲をより限定していこうかと思います。

10月31日
Anterior-posterior ground reaction forces across a range of running speeds in unilateral transfemoral amputees
義足のランナーは連続した2ステップ(バイオメカニクスでは1ストライドとも表現される)で速度の維持をしている。義足の選手を指導する際は、片方を最大化するのではなくて連続動作を繰り返すことで速度を向上させていく、という観点が大事ということですね。これはどうしても義足側では十分な接地、力を加えることができないためでしょう。一般的なランナーを指導する場合と比べるとどうしてもバランスが悪く見えたりしてしまいますが、それによって安定しているという見方もできることを忘れてはいけないと言えるかと思います。この点に関しては、よくマラソンなどの解説で言われる上下動のない動きという話にもつながるかな、と。本当に上下動が無かったら走りに必要な成分が十分に生まれていないのでは、となりますし。

Caffeine Timing Improves Lower-Body Muscular Performance: A Randomized Trial
カフェインの摂取タイミングと男女差は意外と知られていないということで、体重あたり6㎎の摂取を実施したら1時間前が一番効果的、女性は男性に比べるとあまり効果がない。90分でも効果が高いようなので、60分後に競技が始まってすぐに終わるような種目でなければ、競技中にピークが来るように摂取するのが大事かな、と思われます。100m走であれば60分前でも10秒前後の世界ですので一番効果的でしょうが、走高跳のように回数をこなす種目となると1本目にピークが来るよりは少しズラした方が良いでしょうし。野球の投手であれば、投げ始めをピークにした場合その後は落ちていくと考えることと、最初は出力が高まっているから力を出し過ぎてエネルギー源が早く減ってしまうという点の意識なんかが必要だろうな、と思うところです。

Effects of resistance training intensity on the sleep quality and strength recovery in trained men: a randomized cross-over study
ウエイトトレーニングを実施しているトレーニングされた被験者において、rep数を繰り返して上げられなくなる負荷で設定してしまうと、翌日以降のダメージが大きくなる。筋肉の損傷が大きくなることが原因と思われますが、睡眠の質などに関しては特に変化がなさそうでもあるので、やはり練習の組み方というのは大事ですね。特に連日トレーニングをするという観点からすると、その日のトレーニング効果を最大にするよりは一連の流れの中で最大にしていくという考えを持つことは大事だと思われます。論文になってる研究などでは一回のトレーニング効果の最大化であり、そのダメージなどを考慮していない場合も散見されます。これは基礎研究で条件を同じにするためということが理由となりますが、応用が増えてくるとこうした形で翌日やその後の影響など中長期的に見たものが増えてきます。


10月27日
Aerobic capacity modulates adaptive thermogenesis: Contribution of non-resting energy expenditure
食事制限をすることで1日の活動も減ってしまうということは意外と知られていないかと思います。そして酸素摂取能力が高い方が活動が制限されるということみたいなので、持久的な種目をやっている人が痩せようとして食事制限をかけるのはイマイチ効果が出にくいのでは、という推測ができます。ただ、動物実験なので人間で同様のことが言えるかはわかりません。

Recreational football practice attenuates postprandial lipaemia in normal and overweight individuals
走らないと脂肪が減らないかということはなく、サッカーみたいな運動でも良さげということで。BMIが29で60分間のサッカーが楽なのかはげしすぎてキツいのかはわからないですが、とにかく運動をすれば良し、健康のためにも身体を動かしましょうということで。

Whole body passive heating versus dynamic lower body exercise: A comparison of peripheral hemodynamic profiles
適度に運動をしている若者が42度のお風呂に30分入ることで上昇する心拍数は、トレーニング効果になるのかという疑問に対しての確認ですね。血流など似た数値にはなるが低負荷の運動程度のものであり、同じ心拍数ならばやはり運動の方が効果が高いと。


Weekly Vitamin D3 supplementation improves aerobic performance in combat sport athletes
1年以上の格闘技経験のある若者にビタミンD3の投与を行った研究です。格闘技の人の持久力という観点は研究があまりされていないため、ということで。1週間につき50000IUの摂取を超えても明確な効果が高まるわけではないという話でした。
このビタミンDの話は何かと話題にあがる昨今ですが、フォローしている人たちの意見としてあるのが、イギリス人を被験者にしてる場合のデータの見方って大事だよね、というものです。イギリスは日照時間が短い、曇りや雨が多いためビタミンDが作られにくい生活をしているから、そりゃ摂取したら効果あるだろ、という話です。それを受けて受容体が大事という話も常に指摘されています。太陽を浴びることとビタミンDだけで筋肉が増えるという話をしてしまったら、イギリス人は筋肉不測の人だらけになるぞ、受容体がしっかりと機能しているから少ないビタミンDを効率よく活用しているのでは、という指摘です。こうした話を見ていると、人種や住んでいる地域という観点は大事であり、追加の実験を行うのは大事、それを見るのは大事ということになるかと思います。昔言われていたことと違うじゃん、という話ではなくて、より限定していくと異なる場合が出てくるよね、という話ですね。

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