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【歩き遍路】傾向と対策 [歩く] 肉刺(まめ)と戦う

マメ対策

乾かすか、乾かさないか、それが問題だ。

歩き遍路の最大の敵が「肉刺(マメ)」である。これは必ず出来る。予防もむつかしい。歩き始めて3、4日は肉刺に苦しめられる。最初は対処の仕方が分からなくてキズを大きくしてしまった。

右足指に大きな肉刺が出来て雨の中を足を引きずって歩いていたら、車で通りがかったご婦人が「お遍路さん、肉刺でしょ。車に乗りなさい」とご親切に病院まで連れて行ってくださった。病院で手当と予防法を詳しく聞いた。これが大変ためになった。

肉刺と靴擦れ

マメが出来るのは私の場合、足の裏の母指球(親指の付け根あたり)、親指の内側、小指の外側、内側だった。また足の甲の親指側と小指側には靴擦れが出来た。

また徳島市のスポーツ店では丁寧に靴と靴下を見てもらって、ウールの靴下を勧められた。また靴の中敷きも大事で、私の中敷きは大丈夫だと言うことだった。

お医者さんに聞いた治療法予防法ウール靴下で、それ以後ぴたりと肉刺がなくなった。

宿の先輩方に聞いたり宿の人に相談しながらあれやこれやと試してみた結果、次の方法が私には一番よかった。歩き出してから一週間でマメは落ち着いてきた。

寝る前に
・水ぶくれしたマメを水で洗う
・ライターで焼いた安全ピンを刺す
・ティッシュで水を絞り出す
・そのまま乾かす(寝る)
・(湿潤法の場合はパッドを貼る)

翌日、出発前に
・乾いたマメの上すべてに絆創膏を貼る
・指は指全体を包み込むように絆創膏を貼る
足の裏にはソルボバン(後述)を使った
靴擦れが出来たところ、出来そうなところにも予防に絆創膏を貼る

歩いているとき
・少しでも違和感があったらすぐ靴と靴下を脱ぐ
・足の裏、指をよく観察する
・危ないところを絆創膏で手当てする
・長い休憩時には靴(靴下も)を脱いで足を乾かす

宿に着いたら
・すぐ靴下を脱いですべての絆創膏を外す
・風呂に入る
・上記、マメの手入れをする



とにかく、「マメの水を出して徹底的に乾かす」、「歩く前にすべて絆創膏でマメを保護する」ことが私には最適だった。

また小指などの指には「指用」や小さい絆創膏が使いやすい。指全体を包み込むように貼れるので便利だ。ただこれは大型のドラッグストアなどでないと売っていないので見かけたらすぐ買うようにしていた。

大量の絆創膏とソルボバン 安全ピンも必需品

消毒薬のマキロン、傷薬の軟膏は持って行ったけれど結局使わなかった。
消毒薬はマメから染み出てくる水の本来の再生機能を奪うので使わない方がよいと医者に言われたからだ。傷口はただ水洗いするだけでよいそうだ。

水仕事用の防水絆創膏(キズパワーパッド)は使わなかった。その厚みが歩くと違和感になるからだ。また防水型は接着力も強いので、剥がすときマメの皮も一緒に剥がしてしまった。これは痛かった。ただ、これは私が知らなかっただけで、防水型は風呂場でお湯を掛けながらはがすときれいにはがれるそうだ。

これは完全防水で湿潤液を逃さない保湿タイプになる。湿潤法の場合はモイストヒーリングパッドを使う。

肉刺には大きめの普通の絆創膏が一番いいと思う。

ソルボバン
徳島の登山用品店で勧められたのが「ソルボバン」。超薄型の人工筋肉とそれを押さえる保護テープ。通気性防水性に優れている。シートになっていて患部に合わせてカットして使う。

ソルボバンは弾性があるので、力がかかる所の圧力を逃がしてくれる特徴がある。そのため肉刺の保護には向いているのだ。特に痛かった母指球(親指の付け根)のマメに効果的だった。貼りにくい小指外側のマメには絆創膏を使った。

なにはなくてもソルボバン 大変お世話になった


ソルボバンは人工的に筋肉と同じ弾力性を作り出しているもので超薄型なので、足裏のマメを覆うには最適のものだった。歩いていても全く違和感がない。

乾かすか、乾かさないか


試行錯誤したマメの治療だが、乾湿法、湿潤法どちらも私には効果的だった。私はどちらかというと乾湿法、乾かす方が痛みがなく早くよくなったように思う。

ただ、遍路後半では、手当てをして水抜きをした肉刺がこすれて痛いので、水抜きをしたあと絆創膏で覆っていた。これは乾湿法湿潤法中間になるかもしれない。知らない間に湿潤法に近い手当てをしていたのかもしれない。

どちらがより効果的か、これは各自で試してもらうほかないが、乾かして治す方法(乾湿法)とジュクジュクのまま治す方法(湿潤療法)と二つあることは覚えておいていい。

ここで湿潤療法にもふれておかねばなるまい。「湿潤療法」とは、傷口を乾かさないで治療する方法。傷口をラップで覆う方法がTVなどでも紹介されている。「傷口を水で洗う」「水気をしっかり取る」「患部をラップや高機能絆創膏で覆う」というやり方である。要するに患部を乾かさない方法で、ハイドロコロイド絆創膏というのを使う。

湿潤療法のやり方はこちら

マメの治し方についてお遍路先輩の中では二つの考え方があった。一つは私がやった「乾かす」方法。もう一つは全く反対の「湿潤療法」である。

へんろ宿では、マメは乾かした方がいい、いやじゅくじゅくにしておいた方が治りが早い、と全く違う意見が聞かれた。後で考えてみれば、私は小指も母指球も湿潤法に近い乾湿法で治したことになる。

どちらの方法を使うにしても、マメの手当の方法は基本的には同じ手順で行う。「患部を水で洗う」「水ぶくれの水を出す」「水をよく拭う」「マメを覆う」。最後にマメを覆うのに、通気性のある絆創膏を使うか、体液を保って湿潤にするハイドロコロイド絆創膏を使うか、だけが違いである。

ハイドロコロイド絆創膏
キズパワーパッド

ドラグストアーではバンドエイドの「キズパワーパッド」を勧められた。ただ、患部を覆う部分が厚くて足裏に貼ると違和感があって歩きにくかった。また小指にも貼りにくかったので私は使わなかった。足裏にはソルボバンの方がよかった。

余談だが、遍路道沿いの小さな薬局で絆創膏を求めたところ在庫がなくて、賞味期限切れのキズパワーパッドをご接待でいただいたことがある。絆創膏に賞味期限?と思いつつも使ってみたところ、粘着部がねちゃねちゃしていて使う気にはなれなかった。絆創膏にも賞味期限があるんだ、と納得した。


歩く


靴下

もう一つ、マメ対策に絶大な威力を発揮したものがある。ウールの靴下である。これは大いにお勧め出来る。

徳島のスポーツ用品店でマメを見てもらったところ、これは靴下が硬すぎますと言われた。履いていたのはモンベルのサポーテックソックス。土ふまずやくるぶしをぎゅっと締めてサポートするタイプのもので、素材も耐久性を高めた硬いものだった。

この靴下では靴内部で指先を圧迫するし、硬くて指が滑らないのでマメが出来やすいと言う。私には合ってなかったのだ。

勧められたのがウールFITS。ふかふかで履いてみるとかかとがすぽんと入って気持ちがいい。歩いてみてもクッション性がよくて歩きやすい。予備も含めて二足買った。これは大正解だった。

FITSのウールソックス(中厚手)

この靴下を穿いてからまったくマメが出来なくなった。それまででマメの対処に慣れてきたためもあるだろうが、その日から新しいマメが出来ることはなかった。この靴下は1200km歩いた後はさすがに指の穴が開いてしまったけれど、それでも二足で充分全へんろ道を走破出来た。

ウールは洗濯した後乾きにくいのではないか、縮むのではないかと心配したがそんなことはなかった。乾燥機を30分掛けた後、多少湿っている感じがあったが、ハンガーに掛けておけば翌朝はしっかり乾いていた。

ちなみに、遍路から帰ってきて「首都圏自然歩道」を歩いた時には、モンベルのウイックロンのトレッキングソックスを使った。これはクッション性がよく、またよく乾くのがよかった。

区切り打ちの前半はマメに苦しんだのだけれども、後半は全くマメが出来なかった。ウールの靴下と毎日の的確な予防、処理がよかったのだと思う。ただ、雨の日はやはり靴の中が湿るのでマメが出来やすくなった。ただそれも宿に着いてから手当をすれば翌日は痛くなく歩くことが出来た。


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