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のっぽのスイブル

土木学会事務局です。

土木や土木に関連することを題材にした児童書は意外とたくさん発行されています。が、そうした年齢のお子さんお孫さんがおられないと、大人はなかなか書店や図書館で児童書コーナーに足が向かないもの。そこで、不定期にはなりますが、大人が読んでも面白い本、ためになる本を「土木技術者も読みたい児童書 #土木の本 」として紹介していきたいと思います。

まずはじめに取りあげるのは「のっぽのスイブル155」(こもりまこと 著、偕成社)です。

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「そうだ! ぼくは こんなところでも こうじが できるんだ!」
東日本大震災をきっかけに息をふきかえした
あるブルドーザーのものがたり

2011年3月11日の地震による大津波でこわされてしまった、日本の港や橋。建設機械の会社の人たちは「いまこそあいつの出番だ!」と思い、1台の水陸両用ブルドーザー「D155W」(スイブル)の修理を思いたちます。すでに活躍の場もへり、ボロボロになっていたスイブルでしたが、14か月にもおよぶ大修理をへて、2012年冬、ほぼ新品となってよみがえります。こうして忘れられていた1台のブルドーザーは、ふたたび海や川で活躍することとなったのです。-偕成社ホームページより

50年以上前にコマツが世界で初めて実用化した水陸両用ブルドーザー、通称「スイブル」-コマツD155W-1。ラジコン操作で水中作業が可能という、ユニークな重機です。1970年代から販売されましたが、活躍の場が限定されることから総生産数は全世界で36台に留まり、1996年を最後に生産は終了。2011年まで現存していたのは、日本で青木あすなろ建設が保有していた5台だけだったそうです。

そして2011年の東日本大震災。

青木あすなろ建設は被災地の復旧・復興支援のため、保有していたスイブルの修理をコマツに依頼します。コマツ大阪工場と約100社の協力企業が力を合わせ約9ヶ月をかけてレストアされました。実際には修理というより新品の機械をつくるのとほとんど変わらなかったそうです。2012年9月に復旧を終えたスイブルは実地テストののち、2013年1月に宮城県名取市の橋梁復旧工事に投入されました。

この復活の物語を絵本にしたのが「のっぽのスイブル155」です。作者は、自動車に関する絵本をたくさん手がけられている、こもりまことさん。

お近くの書店や図書館で見かけられたら、ぜひ。

ちなみに2020年時点でも、現存する5台のスイブルはすべて青木あすなろ建設さんが保有、運用されているとのことで、ホームページで詳しく解説されています。

そしてなんと先日、矢作ダムで開催された地域の防災イベントで操作体験ができたとか!うらやましすぎですこどもたち!

ミニカーもあったみたいですね。プレミアついてます。

スイブル復活の詳しい内容は、コマツの「ケンケンキッキ」で詳しく紹介されていますので、こちらもオススメです。

参考資料:コマツ 第144期報告書
https://home.komatsu/jp/ir/library/report/__icsFiles/afieldfile/2017/03/13/144th_1.pdf

これからも「土木」に関連するこども向けの本を大人向けに紹介していきたいと思いますので、絵本クラスタ・児童書クラスタのかた、絵本・児童書の出版社の中の人のみなさま、土木・建機・防災など、弊会の方々が興味をもちそうなオススメの絵本・図鑑・児童書があったら「#土木の本」のタグをつけて、noteやtwitterでご紹介ください!twitterDMでも結構です。

ぜひぜひ、よろしくお願いいたします。

#土木の本 #絵本 #のっぽのスイブル #ブルドーザー #偕成社 #コマツ #青木あすなろ建設

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