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コミュニティとは何なのか?コミュニティの定義について

コミュニティマネージャーのための無料マガジン「コミュニティマネージャーズ」の第2回は「コミュニティの定義」についてです。

▼第1回

コミュニティという言葉がよく飛び交っていますが、非常に定義が広くかつ曖昧で、なんでもかんでもコミュニティと言われている現状があります。

ただあいまいに使うと認識の齟齬が発生して、コミュニティマネジメントに支障をきたしたり、コミュニケーションのすれ違いが起きることもありえます。

そういった事態を防ぐためにも、改めてコミュニティの定義をしてみる必要があるのではないかと考えました。

これはあくまで現時点における私たちがコミュニティを解釈した結果であるので、どんどんアップデートしていきたいとも思っていますし、ご意見があればぜひいただきたいです!


コミュニティについて歴史上どのように定義されてきたか?

私たちがコミュニティについて語るはるか昔からコミュニティという言葉は存在していて、その定義についても議論されてきています。

なので改めて私たちが定義するよりも、今までどのような定義をされてきたを知って整理をしたほうが、より正確な定義ができるはず。

ということで、今までどのように定義されてきたかをご紹介します。

マッキーバーの定義

コロンビアの名誉教授でもあり、アメリカ社会学の中で最も優れた理論社会学者であったマッキーバーは著書の中で「コミュニティ」の反対の概念として「アソシエーション」という社会集団を下記のように定義しています。

▼アソシエーション
・ある特定の関心を追求し,一定の目的を達成するためにつくられる社会組織
・コミュニティを基盤としてそのうえに個々の人間の共通関心に従って人為的,計画的に形成される結びつき

対してコミュニティは下記のように定義されています。

▼コミュニティ
・一定の地域のうえに展開される自生的な共同生活

現代の「コミュニティ」だとインターネットの登場で、決して地域に縛られないものになってきたという意味で、このマッキーバーの定義を使えるとは考えていません。

ただ、ここで重要なのはアソシエーションは「人為的」であり、コミュニティは「自生的(自然発生的)」である、という点です。

つまりコミュニティは「自然発生的に生まれるもの」と言えます。

マクミラン&チャビスの定義

「Sense of Community」という1986年に心理学者であるマクミランとチャビスが発表した論文によると、コミュニティに必要なのは下記の要素だと唱えています。

メンバーがお互いの存在に価値を感じ自分の貢献がほかの参加者にプラスに波及すると信じられる状態

バーナードの定義

経営学者であるバーナードは1971年に書いた「経営者の役割」において、組織を「公式組織」と「非公式組織」2つ分けています。

公式組織の定義は「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」としていて、先程のマッキーバーによる「アソシエーション」の定義に近いものがあります。

なのでその逆の「非公式組織」がコミュニティと同様のものだと考えられます。

その公式組織と非公式組織が有する要素は以下のように著書で述べられています。

▼公式組織(≒アソシエーション)
・共通目的
・意思疎通
・貢献意欲
▼非公式組織(≒コミュニティ)
・意思疎通
・貢献意欲

つまりコミュニティには「共通目的がない」と言えます。

私たちが考えるコミュニティの定義

以上の先人たちによるコミュニティの定義や、私たちがコミュニティを運営してきた経験を踏まえて考える、私たちなりの「コミュニティの定義」は下記の通りになります。

▼コミュニティの定義
・何かを核として自然発生的に集まった集団
・メンバーがお互いの存在に価値を感じ自分の貢献がほかの参加者にプラスに波及していると信じられる状態を有する
・特定の目的に限定されない

なぜこの定義にしたのか、補足をしつつ説明をしていきます。

コミュニティは「つくる」ものではない

まず最初の定義「何かを核として自然発生的に集まった集団」についてです。

よくコミュニティを「つくる」という言葉が飛び交っている様子を目にしますが、その言葉は適切ではありません。

コミュニティマネージャーは確かにそのコミュニティをこの世に誕生させる部分から携わることは多いですが、コミュニティは「つくる」のではなく「促進させる」感覚を持つべきだと考えています。

なぜなら私たちが定義した(あるいはマッキーバーが定義した)ように、本来コミュニティは自然発生的に生まれるものであるからです。

つまり、コミュニティマネージャーがいなくても少し未来に生まれていたであろうコミュニティを少し早く生まれるようにした、あるいは誰かが倒すはずだったドミノの1枚目をコミュニティマネージャーが倒した。

そんな感覚を持つべきだと思うのです。

この定義にこだわる理由としては、コミュニティを「つくる」感覚でいると、いきなりSlackやFacebookグループでガーッと人を集めてしまい、あまり活性化せずにしぼんでいく「コミュニティ的なもの」をつくってしまいがちだからです。

コミュニティは最初、コミュニティの核となるものにすでに集まっている人たちと対話をし、コミュニティのニーズが有るかどうかを探る必要があります。

このあたりの「コミュニティ最初の1歩」は後日記事にする予定です。

果たして「交流」は必要なのか?

続いての定義「メンバーがお互いの存在に価値を感じ自分の貢献がほかの参加者にプラスに波及していると信じられる状態を有する」についてです。

この定義にあえて「コミュニケーション」を入れていません。

これはコミュニティの条件である「自分の貢献がほかの参加者にプラスに波及しているとお互いに信じられる」ために必要なものの1つがコミュニケーションであり、決して必須条件ではないと考えているためです。

最近のコミュニティは、やたらと「イベントをやる」「オフラインが大事」と言われているように感じます。

確かにそういった一面もあるのですが、オフラインで知り合いになることによる弊害も数多く存在することを忘れてはいけません。

なぜならオフラインでの関係値が悪くなった場合、その修復は関係値をつくる以上に難しくなるからです。

ちなみにコスメの口コミサイトである「アットコスメ」は、この観点からあえて交流をさせないサービス設計になっている…という記事が以前NewsPicksにありました。

なので安易に「交流会をすれば良い」「何かしらグループを作れば良い」という思考を防ぐ意味でも、定義の中でコミュニケーションについて言及しないようにしました。

「メンバーがお互いの存在に価値を感じ自分の貢献がほかの参加者にプラスに波及していると信じられる状態」をつくるためにはどうすればよいか?

この問いをもとにコミュニケーション設計を考えるようにしていくべきでしょう。

このあたりについても後日記事にしていきます。

コミュニティマネージャーとプロジェクトマネージャーの境界線

最後の「特定の目的に限定されない」についてです。

特定の目的に限定された集団はコミュニティよりも「チーム」や「プロジェクト」と言えます。

例えば、甲子園に行くという目的で意思統一されている野球部は「チーム」です。

しかし野球を楽しみたい、健康が気になる、野球がうまくなりたいなど、様々な目的で集まっている草野球サークルは「コミュニティ」です。

特定の目的に限定されたチームもコミュニティに含んでしまうと、その目的を達成するためのモチベーション管理であったりリソース管理といった別のスキルが必要になります。

本来コミュニティマネージャーの役割はそのコミュニティの熱量を絶やさない(≠高める)こと。

もちろんコミュニティの中に特定の目的を持ったプロジェクトが立ち上がることはよくありますが、そのプロジェクトの達成までコミュニティマネージャーが責任を持つ必要はなく、都度コミュニティ内にリーダーを立てて、その人がプロジェクトマネジメントをしていく形が理想的なのではと考えております。

また特定の目的に「限定されない」としているのは、そもそも目的が存在しない場合もありますし、コミュニティの中で複数のプロジェクトが生まれたり逆になくなったりするなどして増減することもあるためです。

コミュニティにもグラデーションがある

以上のようにコミュニティについて定義してきましたが、もう1つ重要な事実は「コミュニティにもグラデーションがある」ということです。

さきほど説明しましたとおりコミュニティの中にプロジェクトやアソシエーションが生まれることもありますし、逆にアソシエーションの中にもコミュニティ的な要素が含まれることもあります。

アソシエーションの中にもコミュニティ的な要素が含まれる例でいうと「会社」がわかりやすいです。

会社は人為的に作られた集団であるため「アソシエーション」に分類されます。

しかし会社でよく設けられるビジョンやミッションを「多様な解釈ができるもの」にすることで「特定の目的を限定されない」ようにしてコミュニティ的な要素をもたせて永続性を高めています。

なのであまり定義に縛られすぎるもの良くないです。

が、今マネジメントしているのは果たして「コミュニティ」なのか「アソシエーション」なのか、そしてその中に「コミュニティ的な要素」や「アソシエーション的な要素」を混ぜることでどのようなメリットが有るのか?

このあたりを考えながらアクションをすることで、より良い「コミュニティマネジメント」や「プロジェクトマネジメント」ができるようになるでしょう。


長くなってしまいましたが、改めてコミュニティの定義をおさらいしますと…

▼コミュニティの定義
・何かを核として自然発生的に集まった集団
・メンバーがお互いの存在に価値を感じ自分の貢献がほかの参加者にプラスに波及していると信じられる状態を有する
・特定の目的に限定されない

これを意識してコミュニティマネジメントに取り組んでみると、よりよいコミュニティができあがっていくはずですよ!


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★このnoteはコミュニティマネージャーのための無料マガジン「コミュニティマネージャーズ」に含まれています。コミュニティマネージャーの方はぜひフォローをよろしくおねがいします!

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文責:坂口淳一
監修:長田涼宮本昌尚



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コメント (1)
興味深く拝読いたしました。
このところ会社の性質が「コミュニティ」に寄っていっているという感覚をなんとなく持っていたのですが、「特定の目的」の共有・存在意義の共有が弱体化していっていることによるものなのかもと思い至りまして、何か腹落ちしました。
会社自体は自然発生的に生まれるものではないので完全に「コミュニティ」にはなり得ないのかもしれませんが、「アソシエーション」としての性質が弱くなっていっているということだったのかもしれません。(現代の会社全般というより、私が所属している会社特有かもしれませんが。)

他の記事も読ませていただきます。ありがとうございました。
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