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読書録70 男色ディーノ著「イロモノの野望」

ディーノ氏の文章力が巧みで読みやすく「イロモノ」と自称しつつも正統派の「ビジネス本」になっていて、なるほどと納得しながら楽しく読んだ。

個人的に、プロレスは自身の「強弱」だけではなく「価値観」や「存在感」をいかに打ち出すかだと思っているので、ディーノ氏の考え方や「ゲイレスラー」としての立ち回りは「王道」だと思う。

とにかく「プロレス界」と「自身の立ち位置」等の全てを俯瞰で見えているのが読んでいて心地良く、ディーノ氏がビジネスマンになっていたとしても、かなりの実績を上げただろうと思う。

巻末の山里亮太氏との対談も楽しく、読み応えもあって良かった。

しかしながら、そこに存在するだけでプロレスラーとして成立していた「ジャイアント馬場」に対抗すべく「真剣勝負」「プロレス最強」という価値観を打ち出して、自身も虚実の狭間を生きて死んだ「アントニオ猪木の魔性」の凄みと、いまだその魔性の強い影響下にあるプロレス界の中で、その「価値観」の隙間からディーノ氏みたいな逸材が出てくるってのは本当に面白いし、本来ものすごく広い「プロレス」という「器」を価値観で狭めてしまうのは損だよなぁと思った。

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