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読書録88 喜瀬雅則著「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」

ホークス、バファローズに続く著者のプロ野球ノンフィクション3作目だが、とにかく面白かった。

前2作が、どちらかといえば球団としての「システム」をテーマにキーパーソンを通じて描いていく形だったのに比べると、今作は球団をとりまく「風土」がメインとして描かれている。

元ドラフト1位の選手達を中心にした前半部は、取材を断られる人物も多く苦労されたようだが、中込と山村という2人のインタビューがとても素晴らしく、長年の答え合わせというか、プロ野球全体特に独自の風土を持つ阪神球団周辺に多い「報道」の問題が浮き彫りになって面白かった。

長年、悪役とされてきた中込伸氏の豪快で繊細な人柄も魅力的だった。

後半の、著者自身が巻き込まれた「監督交代」を巡るゴタゴタも臨場感があって、球団、本社、マスコミも含めた「椅子取りゲーム」に関西特有の風土が織り混じった政治劇、群像劇はNetflixかなんかでドラマ化してほしい位に面白い。

著者は、記者時代に担当した球団についての作品を書かれているので、我らが「中日ドラゴンズ」についても書いていただきたいなぁ!

とても面白い作品でした。

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